表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
endless the World War  作者: うぃざーど。
第3章 Revenge of the Despair
44/65

3-13 nuclear power

誰がその世界を望んでいたであろうか。

誰が情勢の転覆を、このような形で成立させたかったであろうか。


一つの事件は、世界情勢を転覆させた。



 誰が望んだことであろうか。

 誰が信じ続けていたであろうか。


 人類史が始まってから、過去数え切れないほど、戦いは発生している。その度に犠牲が生まれ、その犠牲の上に新たな道筋が描かれていった。人類史はそれを何度も経験し、まるでその行程が当たり前かのような認識を、人類に植え付けた。

 その代償は、人が人のために人を傷つける、という矛盾。どの生物にも成し得ない、愚行。更なるものを求めるあまり、発展を続けた科学。時代の変化とともに悪用され続けた、技術。



 人の行動は、もはや人でさえ止めることが出来ない。起こってしまったものは、行き着くところまで、行くしかない。この一件は、その象徴であった。



 「…一体…」


 冷静に考えようとするも、全身に伝わる痛みと出血が、それを遮っていた。一瞬にして何かが起き、そして静まり返った。目が覚めると、自分の態勢が先ほどとは全然違うことに気付き、周りの異変も同時に感じ取った。とにかくも、一番先に起きたカリウスは、先に車外へ出た。周りの人たちはまだ目を覚まさないが、まず、何が起こったのか、彼は調べた。

 頭から流れる血を手につけながら、彼が見た先に映る光景。


 「…馬鹿な…」


 辺り一面砂埃が舞い、まるで砂漠のような、あるいは荒野のような状況と化した、自然。やや熱いと感じる感覚を皮膚で受け、視線の先に向かってやや強く風が吹く。視線の先には、大きなきのこの形をした、黒い雲。辺り一面を雲が覆い、目立ってきのこ雲が不気味なほどゆっくり、はっきりと空へ向かっているのが見える。風は、東側へ吹いていた。

 ようやく冷静に考えられるようになってきた彼は、痛みを引きずりながらも、その時はその光景を眺め続けた。あまりに衝撃的で、あまりに残酷な絵を。



 後々、ソロモン連邦政府が公表した公式記録によると、この一件での死者は7万人、死傷者を合わせると、その数は10万人を超えるだろう、と推測された。もっとも、公式記録でさえ正確な記録を打ち出すことが出来ず、政府の情報に信憑性を訴えることは出来なかった。ただしかし、この一件の下、多くの人が地獄さながらの光景を目にしたことは明らかで、その影響を受けた人は膨大な数になると、はっきりとしていた。

 丘陵地帯であったはずのこの土地が、まるで荒れ果てた大地に変わってしまった。たった一発で、これほどまでに人を、自然を、何もかも破壊してしまうようであった。


 「皆、大丈夫か…?」

 「…な、なんとか…」


 彼らも、その一件の影響を直に受けた。幸い爆心地からは離れることが出来たため、最小限の被害で済んだということが出来るだろう。カリウスは、何度も横転したであろう車内から、全員を車外へ引っ張り出して救出した。彼らも体中に傷を負い、手当が必要な状況であった。車の中にあった物で応急処置をすることは出来たが、この先長持ちするかといえば、そうは思えなかった。


 「酷過ぎる…こんなことって…」


 「これが戦争なのだとしたら…これは、地獄だ」



 人は人に対して、ここまで出来るようになった。そうしなければならない状況を、それを達成出来る技術を、人は作りだした。


 戦争よりも愚かなのは、人だった。人の愚かさに、人が人へ絶望という名で虐げていることに、もっと早く気付くべきだった。



 …何のための、戦争だ。

誰のための、正義だ。ただ、何もかもが悲しみと絶望に満ちていた。










 無国籍軍、セプテブルクを強襲する。この情報は、瞬く間に全世界へ広まり、世界情勢の転覆、変化が一瞬にして現れた。この戦いにより、ソロモン連邦は全体の軍事力の3割弱を損失。一方、エルジア軍は、セプテブルクを防衛線に多大な戦力を布陣していたため、実に全体の7割強という、極めて甚大な損失を出した。エールバシオン街の襲撃から、立て続けにエルジア軍は戦力を前線に投入し、侵攻を防がなければならない状況が作り出されていた。そしてここにきて、軍が壊滅する規模での被害を受けたのである。ギガント公国は、オーク大陸へ派遣した部隊の半数以上を消滅させられる状況に至った。まさに、地獄さながらの光景であった。



 この結果。4日後に、エルジア軍は全戦力の停止を宣言した。




 …。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ