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endless the World War  作者: うぃざーど。
第3章 Revenge of the Despair
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3-11 sally

一度始めたら、行きつくところまで行くしかない。

止める術を持たない軍人は、止められると信じて侵攻を続ける。


ここに、この時代の新たな局面を迎えようとしている。



 誰が正義で、誰が悪なのか。誰のための戦争で、誰のための勝敗なのか。そこに正義はあるのか。


 平和とは、一体何なのか。

それでも、彼らは前へ進むしかない。自分たちのしていることを、理解していながら、止める術を持たない。いや、持てなかったのだ。


 連邦軍は、予定通りの進軍を決行する決断を行った。ギガント公国から派遣された部隊も合流し、大規模な南部侵攻作戦が再び再開される。彼らにしても、また両軍にとっても気になる、エールバシオン郊外の基地を強襲した方法だが、結局分からず仕舞いとなった。調査活動により、幾つかの予測はついたものの、それを確証というには信憑性が薄かった。しかし、大量破壊兵器またはそれに類するものが使用されたということは、断定しても良いところまで来ていた。

 ネオスが言っていた、自分たちのために人に対して平然とこのようなことをやってしまう、とは、その方法があまりに強烈で、かつ強力なものであったことを、意味しているのかもしれない。


 「今のうちに、君たちにも教えておこう。エルジア軍は、この先に広がるセプテブルク丘陵地帯に布陣し、我々の侵攻を食い止める気だ」


 「丘陵地帯…」


 クロス大佐と同じ車両で移動していた彼らは、大佐本人から、これからの作戦内容を聞いた。恐らく、空では大規模な空戦が、陸では大規模な陸戦が展開されるだろう、と大佐は予測していた。既にソロモンもギガントも、空戦を行う用意は整っていて、ソロモン連邦の野戦飛行場に戦闘機が続々集結しているという。


 「私はまだ、君たちの力を知らない。見せてもらいたいところだが、無理はしないでほしい。こんな戦争で、死に急ぐ必要はない」


 大佐は、少しだけ笑顔を見せて、彼らにそう言った。無意味な戦争を続けている一人であることを自覚しながら、戦争行為を止めることが出来ないのを、クロスはよく知っている。その結果が、この50年間の戦争なのだから。自分も罪深き人間だということを、自分自身で理解し、言い聞かせていたのかもしれない。


 「…はい」


 エルジア領土に広がる、セプテブルク丘陵地帯。かつては自然豊富な土地として、名を馳せた場所だと言われている。が、しかし。この戦争が始まって以降は、人々の手によって汚され続けてきた。昔の美しさは、もうない。

 丘陵地帯まで、ソロモン、ギガント連合軍は邪魔されることなく、侵攻を続けた。エルジア領深く侵攻を続け、そして遂に反応が現れる。


 「レーダーに機影確認。大陸南部から出撃してきたと思われる、エルジアの航空戦力です!」


 「来たな…総員戦闘態勢!すぐに戦闘機を出撃させろ!」


 ソロモン連邦の野戦飛行場にあるレーダーが、出撃するエルジア航空機の機影をキャッチした。進路コースを見ても、間違いなく丘陵地帯へ向かっている、とのことだった。機影の数は正確に把握できないものの、足の早いものからそうでないものまで、多数接近してきている、という。その情報が、クロス大佐のもとへもたらされる。


 「なるほどな…となると、そろそろ陸戦になるな」

 「なぜ分かるんですか?」


 「皮肉かもしれないが、慣れすぎた勘だ」


 クロス大佐の戦闘経験が豊富であることを、その場で彼らは理解する。大佐はすぐに戦闘態勢を整えるよう、各隊に通達する。各隊が準備を進めている頃、前方に布陣する部隊を発見したと、情報が入ってきた。まさに大佐の勘が当たった瞬間であった。


 「よし、降りるんだ。日が暮れるまでには、決着をつけたいところだ」


 大佐がそういって先に車を降り、それに続いて彼らも降りていく。見晴らしが良い位置に停止した。彼らはそこから、黒い物体が幾つもあるのをその目で見た。エルジア軍の陸戦部隊である。彼らは、エルジアとの交戦を既にソウル大陸で経験している。その経験が生きているのか、心に少し余裕はあった。それも皮肉かもしれないが、戦争に慣れてきた、ということが出来るだろうか、とカリウスは心の中で思った。

 ソロモンの各部隊が敵部隊の左右から進行するのに対し、ギガントの部隊は真正面から堂々と戦いを始める。徐々に間隔を詰めていき、最終的には挟撃する態勢を作る。これが、連合軍の基本的な戦略であった。上手く成功すれば、敵を各個撃破する好機となるが、失敗すれば、混戦による混乱が待ち構えている。どちらにしても、彼らは優位な状況で戦うことを許されない。


 「攻撃、開始!」

 「前進だ!!」


 セプテブルク丘陵地帯での、戦闘。ソロモン連邦とギガント公国の連合軍。それに対する、エルジア王国。はじめは、平凡な形でお互いの戦力がぶつかり合う形がとられた。連合軍は、すぐに挟撃態勢を整えるために、左右から陸戦部隊が接近していく。しかし、それに対してエルジアは、全軍を同等の速度で前進させ、左、中央、右、と三ヶ所同時で戦闘を行う手段を取った。これには連合軍の上層部も驚かされたようで、あっという間に混戦状態が発生してしまう。連合軍は、挟撃態勢を取れば、敵は部隊の陣形を広めながら後退する、と考えていたのだ。


 「カリウス、後ろだ!」

 「どこも敵だらけだ…!!」


 戦闘が始まって、30分もしないうちに混戦状態となり、カリウス、レイ、アイクも苦戦を強いられる。近接戦闘で敵軍兵士を倒していくが、その数があまりに多く、また、左右や後方といったところからも、攻撃を受けそうになる。それでも三人は、次々と現れる敵に上手く対処をし続けていた。


 …一方。



 「強襲機を発進させる。各員は十分に注意されたし」

 「武装チェック!急がせろ!!」


 大陸の内部で戦闘が起こっている裏で、新たな種をまこうとする者がいた。連合軍も、エルジアも、今は目の前の戦闘に集中で、その存在を考えてはいなかった。


 「バトラー少佐!いつでも行けます!!」

 「よし、出せ!!」



 新たな部隊が、連合軍の後方から、接近する。そして、この戦いにおける決定的展開をもたらす者が、今、空へ上がった。



 …。




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