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endless the World War  作者: うぃざーど。
第3章 Revenge of the Despair
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3-9 absolute power

エールバシオンへの移動を開始した、彼ら。

幾つかの激戦地を超え、一週間かけて移動を続ける。


そして街の手前まで到着し、連邦軍と合流する。



 カリウスたちは、ギガント公国軍ワーレン大尉より、ソロモン連邦共和国との同盟関係を結ぶことを告げられた。公国の政府が取り決めを行ったようで、軍人の一部には、それに反対する者もいた、という話もあった。カリウスとしてみれば、まるで人権のない人間として扱われる軍人に不満が募るのは、謂わば当然であると考えていた。彼が、その一部の考えを理解していたからでもある。

 しかし、今は戦時中。そのようなことを言っていられず、カリウスたちは、ワーレンに指示された通りに、エールバシオン周辺でソロモン連邦と合流するために、メディばあさんの家を離れる。メディばあさんの家からエールバシオンまでは、世界地図で見ても相当な距離がある。大陸の南部へ向かっていくということなので、気の遠くなるような期間がかかるだろう、と想定された。しかし、ソロモン連邦の陸軍もゆっくりと南部への信仰を続けているというので、それに追いつけるようなペースで移動すれば、さほど問題はないのではないだろうか、と彼らは考えた。


 「おいカリウス、本当に運転できるのか?」

 「やったことはない。でも、やるしかないさ」


 ギガント公国との同盟で資金を多少は得ている彼らは、近くの町で車を購入した。民間車両で比較的安いものを選んだ。ナビゲーションのようなものは一切なく、やや大きめのトランクとやや広いスペースが売りの車であった。暖房設備があまり強力でないことが、若干気になるところではあった。


 「よし、動いた」

 「ちょっとカリウス急発進は駄目!」

 「んーすまないすまない」


 メロディがそういうと、今度カリウスは速度を落とすために、ブレーキを踏んだ。その勢いも強く、今度は急ブレーキも駄目、とメロディに叱られる。その場は笑いに包まれたが、正直な話、周りから見れば無謀な挑戦とも呼べるだろう。しかしこの状況下では、車を使わない移動こそ、無謀というべきであった。飛行機で移動すれば、かなり時間を短縮していけるのだが、先日の強襲の件と、戦時中における制空権の問題から、一般の旅客機は現在すべて運行を見合わせている。車を使うしか、方法はなかった。

 その日の晩。どこの町にも辿り着かず、肌寒い中夜を超すことにした。幸い風がほとんど吹かなかったため、車のドアを開け、そのそばで火を熾して暖を取った。皆が寝る準備を進める中、カリウスは近くの高台から、周りを眺めていた。


 「カリウスー。もう、他の人寝ちゃったよ?」


 カリウスのもとにメロディが来る。寝る準備を始めてから、既に30分以上は経過している。カリウスは、腕を組んで空を見上げていた。


 「メロディ、上見なよ。綺麗な星空だ」

 「…本当だ、凄い」


 周りに何の明かりもない、大地の上。雲ひとつない夜空に浮かぶ、数え切れないほどの星々。それぞれ明るさも、大きさも異なるであろうものが、どの方角を見てもいっぱいに見えた。


 「昔…そう、子供の頃のこと。夜空に浮かぶ星を、自分の手に掴もうと、手を伸ばしたことがある。だけど、今の自分の手では、あの星には届かない。そう理解するのに、時間は必要なかった」


 




 星に手が届かなくても、星を、もっと近くで見てみたい。それを実現できる技術は、きっとある。問題なのは、今のこの情勢。戦争という状況が、あらゆるものへの進歩を妨げている。そんな気がする。いや、多分そうだ。もっとこうするべきだろう、そう思うことが多い。


 「もう少し…、俺に権力と力があったとしたら…」


 「…カリウス…」




 次の日も、そしてまた、次の日も。ひたすら彼らは移動を続ける。幸いにして、激戦地を通過する機会は少なく、舗装された道路も比較的多く残っていたため、早く移動を進めることが出来た。途中休憩を入れつつも、彼らは5日間かけて数千キロを移動した。大陸の南北に伸びる山々を避け、中央部からエールバシオン郊外へと向かった。町が徐々に近づいてくると、幾つも連邦軍の検問を通過しなくてはならなかった。一つひとつに事情を説明する必要があったが、4度目の検問時には、すぐに通過することが出来た。おそらく連邦軍の兵士たちに、カリウスたちが近づいてくるのが伝わっていたのだろう。


 「なんか、皆落ち着いてるみてぇだな」

 「人の違い、なのかな…?」


 フィルは、大陸で人種が異なる点を挙げて、そう推測した。が、それが正しいとは言い切れない。ギガント公国軍の兵士たちは、比較的皆大らかなイメージがあり、ユーモアでもあった。しかし、連邦兵士は礼儀正しいような、イメージを植え付けられた。

 カリウスたちは、遂に町に到達する前に、連邦軍の最後尾の陸戦部隊と合流することが出来た。


 「公国から話は聞いている。君たちはこれから、公国以外にも、我々連邦軍第三陸戦師団の指揮下に入ってもらう。私は、この部隊の指揮を執っている、クロス大佐だ」


 「大佐…!」


 フィルが若干反応するが、それはおそらく今までに見たことがない、高い階級だからであろう。クロスは、カリウスたちの名前を既に知っていて、その噂もすべて聞いている、という。


 「噂…ってのぁ、なんだ?」

 「エルジアの分隊に子供が勝つとか、前線で功績を立てるとか…その噂がオークに流れ込んできたときには、一体何者なのか、と思った」


 クロス大佐以外にも、その話を聞いて驚く者は多かった、という。それは彼らが単に前線で活躍した、という点ではなく、エルジア陸軍を相手に翻弄し、なおかつ、傷一つなく生還したことにあった。以降、カリウスら5人組の子供の噂は、連邦軍の諸部隊に話のネタになったと、クロスは説明した。決して、悪い意味ではなかった。

 クロスは、さらに南部への出撃を4日後と定めていることを、彼らに伝える。それまでは、自由に行動することを許された。


 「…とはいっても、何もないが…」

 「ど、どういう意味ですか…?」


 「…君たちも、街へ行ってみるが良い。特に、街の東側にな」



 …。




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