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endless the World War  作者: うぃざーど。
第3章 Revenge of the Despair
36/65

3-5 escape

道化師にとって、何かの意味を成していたはずの島が、崩れ落ちる。

戦いによる疲労は強く、彼らはある一軒の家を訪れた。


そこで、思わぬ話を聞くことになる。



 ネオスでさえ、驚きを自覚するほどの戦闘だった。気付いてみれば、圧倒的な力を持っているはずのネオスが、不利な状況に立たされていた。明らかに感じる、強いプレッシャー。魔道の力。それを持つ者を目の前にした時、ネオスが今まで殆ど思うことがなかった、ある一つの思いが、ネオスの中で生まれた。

 ネオスが消えた後、すぐに訪れた大きな揺れ。彼らはすぐに接岸した船のある場所まで、向かう。来た道をただ戻るだけでは、間違いなく間に合わない。そこで、彼らは建物の外に止めてあった車両を使い、危険運転をしながら、脱出を始めた。島全体が大きく揺れ、所々崩壊している場所もあるので、それを避けながらも、とにかく急いで逃げた。車から降り、戦艦アエリアに乗る前のこと、突如発生した地割れに、危うくカリウスが巻き込まれそうになる。その際彼は負傷し、出血を発生させた。


 「出せ!!」

 「今起動させてる!もう少し待って!」


 ネオスにとって、既にこの島は必要なかったのか。この島は、一体何の目的でこのような建物が建てられたのか。結局のところ、その理由を突き止めることは出来なかった。戦艦が離脱して数分後、高波が島全体を襲い始めた。その光景までは、彼らも見ていた。カリウスは、負傷したうえ、さすがにネオスとの戦闘で力を使いきったのか、相当疲弊していた。傷の一時手当を行い、彼は少しだけ休んだ。

 彼らは、再び道化師を見失った。今度こそ、手掛かりなく、道化師は動き出すだろう。そう考えた時、目の前の空間が真っ暗になるような、そんな思いを感じずにはいられなかった。


 それからのこと。彼らはついに、オーク大陸へ到達する。まるで洞窟のような場所に、すっぽり入りこんだ戦艦。ここから先、陸地を進むには、この戦艦は必要なくなる。ちょうどよい隠し場所だと判断し、そこですべての機能を停止させた。無線などは持ち歩くようにして、地上へあがる。今度は本当の夜がやってきて、かなり肌寒くなってきた。野宿するには厳しい環境であった。季節が冬へ向かっているだけに、日中の気温でさえ、寒いと感じ始める頃であったから、夜の気温低下は特に厳しいものであった。

 彼らは、近くにあった一軒家を訪ね、一人で生活をしているという、メディという女性のおばあさんに、良くしてもらった。


 「すまねぇなばあさん。あんたのシーツのおかげだ」

 「いえいえ、気にしなくて良いのですよ。二人分しかなくて申し訳ありませんが…でも、若い子がいてくれると、嬉しいものです」


 傷と戦闘による、重圧とした疲労感もあり、カリウスは先に休んでいた。深い眠りに入ったのだろうか。本当に静かに寝る男だと、メディは感心していた。


 「ところで貴方たち、こんな辺境へ何しに…?」

 「私たちは、ある男を追っています。特別な力を持つ…」

 「もしかして、グランバートの悲劇…魔道と、関係があるのではありませんか?」


 その時彼らは、なぜこのおばあさんが、グランバートの悲劇に魔道が関係していることを知っているのか、疑問に思った。鋭い洞察力だけでは、到底導き出せない答えであっただろう。メロディは正直に話すと、メディは一度小さな溜め息をした。


 「私は、この戦争を50年と見てきました。色々な戦場を見ましたが、どれも言葉には表せない光景ばかりです。人は、人のためならば、人が良いと思わないことさえする。無抵抗の市民からの略奪、強姦、そして殺戮…いつも、中身を知らされない市民は、国家の犠牲でした。そんな戦争ですが…ここ最近、わずかに今までとは違う変化を、私も分かるようになりました。それが、魔道です」


 「…どういうこと、でしょうか」


 「魔道の力を、戦争に利用できることに気付く者が現れたのです」


 彼らは、そんなに多く魔道の力が広まっているとは、思っていなかった。事態が深刻な方向へ進まないのは、魔道という存在そのものを知らない人が多すぎるだからだと、メディは言う。ここでメディは、自分も魔道に通じる人間であることを、彼らに明かした。


 「魔道は、方法によっては、誰にでも手に入れることは出来ます。しかし、その方法が増えてはいけません」


 「どうして、なんだ?」


 「その魔道は、人工的に作り出されたものだからです。自然界に流れる魔道は、そう多くはありません。感じない人が多いのも、当然でしょう。しかし…魔道を知る者が人工的にそれを作ってしまえば、たとえそれが人以外であっても、その力の影響を受けることは、可能となるでしょう」


 …私は、このようにされた人を、強化人間、と呼んでいます。


 その時。彼らは、あの島で戦った兵士たちのことを、思い出した。あれも、人工的に魔道を植え付けられた強化人間であったかもしれない、と。では、あの場所にあった機械とは…


 「確証はありません。ただ、今の国家技術で、出来ることは間違いないでしょう。かつて、魔道を悪用した者たちを排除する密かな動きがあったように…」


 その話は、彼らが聖堂院で読んだ本にも、書かれていたことであった。メディばあさんは、魔道を知っている。恐らくスレンダー院長のことも、知っていたであろう。まさかこのようなところで、また魔道に関する話を聞くことになるとは、彼らも思ってはいなかった。


 「メディさんも…魔道の乱れで、苦労なさっている、のですね…」

 「でも、魔道を強く感じる者が抱く苦痛よりは、はるかに楽です。私は、彼のように、戦っていませんから…」


 メディがそう言うと、彼女は視線をカリウスのほうへ向けた。既に休み、目を閉じている彼の顔を見て、メディは少し、落ち込んだ顔をした。


 「魔道もそうですが…今は、世界情勢も非常に危険な状態になっています」


 長い間生き続ける者として、感じる脅威。それが、今の時代には非常に強いものだと、メディは彼らに話した。



 …。

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