3-3 evil road of darkness
島の奥、ついに彼らは道化師と対峙する。
一人ひとり共通の目的を持ち、異なる感情を抱く。
その思いを持って、正面から対する。
…ネオス。
人が近づくような場所ではない、そう呼ばれていた孤島に、彼らは辿り着いた。そのような話があるからこそ、あの道化師がこの島にいるのではないか、という可能性を信じて。
彼らの本来の目的は、道化師から杖を奪い返すこと。戦争でも、旅でもない。ただそれ一つ。そのはずであった。すべての元凶であり、彼らの行く末を左右する存在の一つとも、言える。
その道化師が、今。
彼らの目の前にいる。
「見つけたぞ…ネオス。院長の仇、ここで取らせてもらう!」
「この間何も出来なかった貴方たちに、私を倒すのは、不可能ですよ」
「黙れ。もう逃がしはしない…!!」
レイがそう言うと、カリウスとアイクは一斉に武器をとりだした。一方、非戦闘員であるメロディとフィルは、彼らの間合いから大きく外れ、後方で見守る態勢を整えた。今二人の心境としては、この二人を手助けしてあげたい、しかし、それが出来ない自分たちに悔しさも覚えていた。だが、今は彼らの戦闘の足かせになってはいけない。その気持ちのほうが、強かったかもしれない。
「…では受けて立ちましょう。どうせ、すぐに終わらせますけどね!」
「…言っておくが、そう簡単に負けるつもりは、ない」
カリウスがそう言い放った瞬間、ネオスはその場で強風を巻き起こした。前回戦ったときも、よく用いていた攻撃手段であった。その勢いがあまりにも強かったためか、フィルとメロディは飛ばされ壁に打ち付けられる。
カリウスたちも飛ばされそうになるが、視線を変えない。その場を維持し続けたのち、今度は彼から攻撃を仕掛ける。ネオスはその攻撃を自分の杖で受け止め、そして衝撃波を走らせるように、カリウスを吹っ飛ばした。カリウスは空中で三回転し、地面に片膝を付けて着地する。続けてアイクとレイも同じように攻撃を加えるが、すべて目の前で阻止される。
…なんだ、この感じは。
気のせいか…?
ネオスは、この時点で既に、いつもとは違う何かを感じ始めていた。その正体は分からなかった。しかし、何か自分にとって良い方向に運びそうにない、一種不安のようなものを感じていた。
長期戦は、自分にとってもダメージが大きい。そう思ったネオスは、短期戦に持ち込み、一気に片を付ける手に出た。
「すぐ、終わりにしましょう」
何か良からぬ不安感が現実に投影される前に、始末しよう。そうしてネオスは、杖に力を込め、魔道の力を一気に解放する。冷気が一瞬彼らの全身を襲う。今までの風圧のような攻撃とは、まったく別物であった。
「…しまった、動けない!」
「野郎!!」
ネオスの放った攻撃により、彼らは動きを封じられる。間違いなく魔道による攻撃だと彼らは決定づけた。しかし、気付いた時には、もう何もすることは出来なかった。手足を動かすことも出来ず、各機能に命令したところで、何も伝わらなかった。アイクとレイに、冷や汗が背中から流れ始める。このままの状態では、何も出来ないまま殺されてしまう。ネオスは、杖を地面につけて一呼吸置くと、視線をレイのほうへ向けた。少しだけ、ネオスから感じる禍々しい気が弱まったような、そんな気がした。
「言ったでしょう、すぐ終わりにするって」
そう言うと、ネオスは、レイのほうへ自身の杖を高速で投げた。決して曲がることなく、ただ一直線に向かってくる杖。もちろんその軌道は見えなかったが、明らかに自分が狙われていることは確かだった。レイは、一瞬目を閉じる。だが、それから数秒経っても、何も起こらない。
「…な、に…?」
ネオスが絶句した、その視線の先に映る、杖を掴んだ男。
「言っただろう。そう簡単に、負けるつもりはない、と」
…カリウスであった。
…。




