2-11 再び大地へ
奇妙な目撃情報を頼りに、彼らは動き出す。
その力を自分たちで理解しないまま、他者に評価されながら。
大陸を目指し移動し始める。
―結局、今の我々は、政府の意向があり、そのもとで動いている。軍人は自由気ままに動くことが出来ないからね。
軍人として国家に仕える者から聞いた、現場の生身の言葉。たったそれだけの言葉が、文章が、とても重たく感じられる。この人とは違う人生を歩み、今これから同じ方面を進もうとしている彼らには、特に深い話であっただろう。
軍人は、国に忠を尽くす。国のため、国民のため、そして、政府のため。奴隷のごとく扱われ、国内での戦闘に行けと命じる。政府の公人たちが、円卓で話し合った結果によって、人の命さえも左右されるのだ。
それをカリウスが分かった時。ある一つの考えが生まれた。
戦艦を譲渡する話を成立させてから、3日後。肌寒い朝、霧の濃い中、ドックから戦艦が動き出そうとしている。搭乗員は彼ら5人以外にいない。5人で戦艦が動くというのだから、彼らも驚きであった。戦艦に乗りこむ彼らを、ワーレンやベッケナー、整備兵が見送る。
「ありがとうございました!」
「こちらこそ、色々とありがとう!また助けを求めるだろうから、その時はよろしく頼むぞ!」
ギガント公国との同盟関係。彼らは一個人の集団でしかなかったが、公国軍にとって、もはや彼らは必要不可欠な存在となっていた。その彼らが、戦艦アエリアで公国を離脱していく。道化師の情報を掴んだ彼らは、その不気味な島とやらへ移動を始める。
戦争は、これからも続くだろう。そんな時、彼らの力が必要になる。ワーレンは、そうするしかない状況を悔やみ、そして申し訳なく思っていた。誰もが戦時中という言葉に束縛され、本来の感覚を失いつつある。
「行ってしまいましたな、大尉」
「…あぁ」
また、彼らを必要とする時期が来るだろう。予備戦力として参加した彼らが、緊急時とはいっても、第一戦として活躍してくれた。その評価は、軍内部でも高いものであることは、疑いようもない。
「…子供、なのに」
戦艦がドックから離れ、海に向かって行くのを、ドゴールも見ていた。徐々に離れていく様子を、一人で見続けながら。数々の困難を乗り越えてきたであろう彼らを、必要と感じていながら、ドゴールは自分の手中には置かなかった。政府は、彼らを必要としていたし、その気になれば、軍に入れることも出来ただろう。
ドゴールには、それが出来なかったし、何より勧められなかった。彼らは、強い以前に、まだ二十歳さえ超えていない若者の集団であったから。
まだ見ぬ力を持つ、強い者達であることを、否定は出来なかった。
秋が深まり、もうすぐ冬がやってくる。寒さが身に染みて、その精神さえも凍えさせようとする。
季節が移ろい往くと共に、時代にささやかな変化が訪れる。
…。
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