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endless the World War  作者: うぃざーど。
第2章 戦火
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2-3 思わぬ接触

ギルド街襲撃事件の目的は、まだ分からない。

しかし放っておくほど、単純な事件でないことは明らかであった。


そこへ、思わぬ人物が彼らに接触をする。



 ギルド街襲撃事件。後にこの事件はそのように、歴史上に刻まれるようになる。突如として現れた軍勢が街の至る所に砲撃を加え、火災を発生させた。駐留するグランバート軍は無く、街の中で警備の役を担っていた一部の軍人のみが対抗するという、一方的な防戦をするしか手が無かった。ギルド街についたばかりの彼らも巻き込まれたが、彼ら自身の意志で進軍する国籍不明軍の目的であろう、評議会講堂へ足を運んだ。

 恐らく、何かを奪うためにこの街を襲撃したのだろう。地下室には大きな金属製の箱が開いたままで、その大きさから中に入っていたものの大きさに予想がついた。そして、箱の側面に描かれた、ハザードシンボル。彼らは敵軍兵士と対峙した時、それがエルジア軍でないことに気付いた。理由は、自分たちが倒した敵兵は、エルジアと異なるワッペンを身に着けていたことにあった。彼らは先日、エルジア軍の分隊と遭遇し、全滅させている。その時の紋章とは全く異なるものであったからだ。

 生まれ故郷がたった一晩で壊滅的打撃を受けたショックは、大きい。しかしアイクはそれ以上に、エルジアではない何者かの軍を気にしていた。他の人も、同様に。


 「どうする?これから」

 「んー…この事件の当事者である以上、放っておく訳にもいかない気もするが…」


 しかし、今の自分たちの目的は、あくまで道化師ネオスの行方を追うこと、その情報を得るために、ギガント公国へ行くことだった。本来の目的とは異なった事件に巻き込まれていることを、彼らは理解していたが、特にカリウスはこの一件を、ただの事件で終わらせて良いものではないだろうと、思っていた。普段見かけることのないハザードシンボルには、危険を表す意味合いが込められているに違いない。


 「…だが、今はとにかく公国を目指そう」


 この一件の情報をギガント公国に携えて報告しようと、彼らは考えていた。それによって公国がこの一件にどう関わるかまでは、彼らには予想さえ出来なかったが。

 夜明け。まだ煙臭さの残る街を彼らは離れていく。ギガント公国までの道のりはまだ長く、どのくらいの日程で到着するかは分からない。そう思いながらもしばらく歩き続けると、突然遠くから轟音が鳴っているのに彼らは気付いた。自分たちから、かなり距離がある。その音の正体は、空を飛び南下していく何らかの物体であった。


 「たぶん戦闘機だろうね」

 「雲引いてる…あまり見られないよね」


 大陸の南側へ向かっているということは、もしかしたらギガント公国の所有する戦闘機の可能性がある。その時は公国の先進技術を大して気にすることは無かった。また彼らは歩き出すが、しばらく経つと、今度はわりと近くから、車の音が接近してくる。誰かは分からないが、背後から車が見えてきた。


 「すまない、お前たち少し良いだろうか!」


 ヘッドライトを点滅させ、小刻みにクラクションを鳴らしながら接近してきた黒い車。正体も分からず、表面では見せなくても彼らは警戒していた。車が彼らのすぐ隣で止まると、助手席の男が自分の身分証を提示しながら名乗った。


 「私はギガント公国軍、北部防衛陸戦部隊所属、ワーレンだ」

 「ギガント公国だ…!?」


 男が彼らに名乗ると、流石に彼らは驚き、アイクは声を出した。まさかこのような場所で公国軍の人と出会うとは、予想もしていなかったからだ。とにかくも彼らは、話を聞く。


 「突然申し訳ない。この先のギルド街で昨晩起こった事件、何か知っているだろうか」


 「こういうのもあれですが…私たちは、その、微妙に当事者だったりします」


 メロディがそう答えると、少し疑問を浮かべたような顔をするワーレンと、運転手。恐らく悪い意味での当事者ではないと、二人は考えていたが、メロディの話を聞き続けた。彼らが戦闘に巻き込まれたこと、国籍も分からない何者かが得体の知れない何かを持っていったこと。


 「なるほど…遅かったか」


 ワーレンはその場で無線を使って、すぐに現場検証を行うように指示をしていた。そして当事者たる者を早速発見した、と伝える。


 「お前たち、この後何か予定はあるだろうか」

 「実は私たち、これからギガント公国へ向かおうと思っていたんです」

 「ギガントに…何故?」

 「ラズール聖堂院の聖堂騎士団長クラインさんから、親書を預かっています」


 それを聞くとまた、ワーレンは驚いた。そして同時に、この人たちは一体何者なのだろうか、と頭の中で疑問が生まれた。ギルド街の当事者でそこから移動してきた人だけなら、特に目立って気にすることも無い。しかし、聖堂騎士団長から親書をもらいそれを届ける任務にあるということは、一般の人には出来ないことであっただろう。


 「…クラインから…よし分かった。ならちょうどいい。ギルド街で起こったことを、ぜひ我々に教えてほしいのだ。詳しくは本国で、ということになるが、この一件は事が非常に大きい」


 「…分かりました、お願いします!」


 ギガント公国までの道のりは相当に遠い。親書を渡す機会としても、今回は別の意味で恵まれていたと言うことが出来るだろう。狭い車だが、何とか五人全員を乗せ移動し始めた。車は速度を出して移動を続けたが、たとえ車を使っても本国までは相当遠い。道中、彼らは車の中でエルジアとは異なる部隊がここ最近、各地で見かけられていることを告げる。ギルド街を襲撃したのもその一つだろう、と彼らはほぼ決定づけた。

 1時間ほど移動を続けると、何もない土地の上に、何か黒く大きな物体がいくつも止まっている。そしてそれに近づくごとに、轟音のようなものが接近してくるように感じた。


 「お前たち、あれに乗って本国まで行ってくれ。中にいる人には、ある程度の事情は伝わっている。私はまだいろいろと確かめなければならないことが多い」


 何と、彼らが今目の前で見ている物体は、推進装置を使用して空を飛ぶ飛行機であった。彼らもこんなに間近で現物を見るのは初めてであった。

 こうして彼らは、一気に予定を短縮することに成功し、ギガント公国へと向かう。


 自分たちがどのようなことに巻き込まれているのか、その不安と異なる事件に秘められた、目的を探りながら。



 …。



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