表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
endless the World War  作者: うぃざーど。
第1章 大地へ
18/65

1-10 魔道の力

レイラの街での一件と直接的な繋がりを探す四人。

調べを進めるうちに、徐々に不安が心の中を支配していく。


そして、その不安はやがて現実のものとなる。


 魔道に関する情報を四人は入手し、聖堂院に来てからの毎日は知識を蓄えることが多かった。魔道を操る道化師を追うために、魔道のことを知る。聖堂騎士団長クラインの助言によるものであったが、四人としても見えてくるものはあった。


 「この間の雇い主の話…なんか気になるんだよな、俺」

 「どういうこと?アイク」


 昼間のことだった。図書館内の小さな閲覧スペースで話をしていた四人。もちろん魔道に関することと、道化師に関する内容であったが、ここでアイクは前にフィルが話していた雇い主の話を思い出した。フィルの仕事先の雇い主は魔道を知る者であった。そして話によると、グランバートで以前魔道の調査を担当していたという。


 「わざわざあの道化師が、一人殺すためにレイラを訪れたにしちゃぁ、無駄足な気がする。魔道の力を試すんだったら、わざわざ人を選ぶことはしねぇだろ?やはり奴の目的にぁ、何かパターンのようなものがないだろうかってな」


 「うーん…パターンかぁ…」


 やはりそこで考え付いた結果。道化師にとって魔道の何らかを知る者、あるいは魔道の件で接点があった者は排除したい、という考え。もちろん正しいかどうかは分からない。誰にも答えは分からないのだから。しかし、魔道に関する本を読み返す度に、その考えが強くなっているような気がしていた。

 「もしそれが本当の目的だとしたら、次に奴は必ず接点のある奴を殺しにかかるよな」


 アイクがそう言った時、カリウスは周りをにらむようにして視線をゆっくりと回した。心の中で何かが揺れ動く。まるで魔道の杖を奪われるあの日を思い出すかのような、不安を感じる。他の誰よりも、強く。


 「…何もなければ良いが…」


 しかし、カリウスや他の人たちの不安は、やがて強いものへと変わっていく。その日の夜。満月となった月明かりが、聖堂院の外壁を照らす。窓ガラスから光があふれ、室内をもまぶしく照らす日であった。何かが気になり、ずっと眠ることが出来ずにいたカリウスは、目を閉じながら頭の中でずっと考え事をしていた。

 しかし。突然その時間は破られる。


 「なんだ!?」

 「…?」


 一瞬月明かりよりもまぶしい、閃光のようにも思えた光がカリウスの視覚を刺激した。そう、目を閉じていても分かるほどの強さで。そして次の瞬間には、強烈な爆発音と室内を襲う激しい揺れに驚愕した。そばにいたアイクも異常に気付き、目をこすって起き上がる。


 「何が起こった…!?」

 「分からない…アイク、あれを!」


 二人の視界に移った、真夜中に燃え盛る火の色。ハッキリと見える火災に二人はすぐに行動を開始する。突然何かが爆発したのか、それとも違う何かか。カリウスは心の中を圧迫する強烈な禍々しい気に耐えながら、火災が発生した方向、院長室の方へと向かう。

 二人が大きな広間から階段を上がっていく時には、既に聖堂騎士団が動き出していた。異常を発見した団員がすぐ院長室の方へと向かって行く。二人が移動している最中、走って現場に向かうレイと出会った。


 「君たちも手伝ってくれ!これは事故ではない…!!」

 「…行くぞカリウス!」


 三人は一緒に階段を上り、2階の大きな広間から通じる広い廊下へ向かう。この先が院長室だが、廊下は火災が発生していて、中々前に進めない様子だった。団員たちが次々と院長室へ向かおうとするが、一方で火災も酷くなり始め、激しい熱さと炎が往く手を阻む。


 「…進む以外に、道はない!」


 レイがそういうと、彼は勢いよく広い廊下を走って抜け始めた。何人かの団員が止めようと彼に声をかけるが、レイはそれをすべて無視した。レイの後に二人も続いて、廊下を駆け抜ける。それから1分ほど経過して、メロディたちも到着し、そして廊下を走り抜ける。その後で、廊下の天井から瓦礫が降ってきて、崩落の危険を感じた団員たちは、外へ回って院長室の裏から中へ入ることに決めた。

 カリウスたちが到着すると、既に無残な光景が広がっている。息をしない者、体に大きな傷を負った者、まだ戦い続け、そして敗れていく団員の光景。そして目の前に見える、奇妙な格好をした者。


 「団長には近づけさせん!!」

 「それは、どうですかな?」


 カリウスは確信した。間違いなく、あの道化師だと。他の団員が倒れて動けない状態でいる中、スレンダー院長の前に残る団員は、団長クラインただ一人であった。クラインが目一杯踏み込んで剣で攻撃を仕掛けに行くと、道化師は杖を持っていない右手を向かってくるクラインに向けた。クラインが間合いに入る瞬間に右手から電撃が放出され、クラインに直撃する。全身を襲う強烈な痛みと痺れで前へ進めなくなると、道化師は一瞬でクラインを壁へと突き飛ばす。彼もまた、他の団員と同様に倒れて動けなくなる。まだ息をしていたが。

 その道化師はすぐに、後ろに誰かがいることに気付いた。それでも何も攻撃せず、ただゆっくりと後ろを振り返った。


 「…なるほど、先程から近づいてくる感覚は貴方でしたか。カリウス殿」

 「何…!?」


 「それにしても…あの爆発でよく生き延びていたものですな。あの宝物庫にいなければ、即死だったでしょうに」


 カリウスは道化師の話など聞かずに、すぐ剣を抜いて道化師のもとへ走り出す。道化師は同じようにして間合いの外で放電する。しかしカリウスはそれを剣で受け流し、側面から瞬時に斬撃を加えようとした。道化師の反応も早かったが、その時見えた道化師の表情は不気味にも笑みで、同時に少し驚いたような表情にも見えた。


 「ほう…?中々やるではないですか…」


 声までも、その時は不気味なように感じられた。それを思い出したのは更に後のことであったが。カリウスが目の前の戦闘に集中していると、レイとアイクもすぐ加わり、3対1での状態を作り出す。はじめ道化師は杖で3人の攻撃を切り抜けていたが、やがてアイクの攻撃を弾き返し、間もなく攻撃してきたレイの剣を杖で受け止めると、何も持っていない右手で魔道の力を引き出し、レイの首を絞める。一切手を使わずに絞められるその強さは、手で絞めつけられているものと全く同じに感じた。側面から攻撃を仕掛けてくるカリウスへの対応のため、道化師はレイもその場で吹き飛ばす。道化師は向かってくるカリウスを右足で顔面を蹴り飛ばし、怯ませる。続いて再度アイクが攻撃を仕掛けてくるが、それも杖で受け止め、魔道の力を瞬時に発動させて壁に突き出す。

 わずか10秒ほどの激しい攻防だったが、それだけの短時間で1対1という状況に作り出し、なお相手が怯んでいるという好機にまで状況を作った道化師。右手で野球ボールほどの火の玉を作り出し、すぐにカリウスに向かって投げつける。転倒しながらもそれを見ていたカリウスは、何と火の玉を剣で弾き返し、再び攻撃に転じた。


 「いくら足掻こうとも…所詮これが運命!」


 間合いの中に入ってきたカリウスを蹴って外へ追い出し、一瞬で電撃を放出しカリウスに直撃させる。カリウスがその場に転倒すると、遂に道化師はその力をスレンダーへ向ける。一瞬まばゆい光が室内を覆ったが、やがて見えた光景にその場にいた人は驚愕する。魔道の力を、スレンダーは受け止めていた。道化師の表情が歪むと、後ろからレイが斬撃を加える。道化師には命中しなかったが、彼は間合いを一気に詰め至近から攻撃を加える。これには道化師も杖のみで対応するしかなく、それでも早い攻撃を繰り出してくるレイのすべてに対応した。

 しかし、攻撃の間隔を突いた道化師がレイを吹き飛ばすと、目標を定めた。


 「しまった…!!」



 その時。

 レイの視界が突然真っ白になる。



 …。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ