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endless the World War  作者: うぃざーど。
第1章 大地へ
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1-8 魔道の素質

久しく出会わなかった、強烈な感覚を持つ者。

その者の身体に流れる力に気付き、彼に近づいた院長。


そして彼の動力源に、プレッシャーを感じ取る。



 突然背後から聞こえた男の声に、思わずカリウスは驚き勢いよく振り返る。目の前に立っていたのは、既にご高齢の男性であった。少し笑みを浮かべ、彼の方を見ている。まさかこんな夜中に本を熱心に読む人がいるとは思わなかったのだろうか。カリウスも、図書館内に人がいるのは分かっていたが、自分に話しかけてくるような人はいないだろう、と当然のように思っていた。


 「貴方は…?」

 「その本を書いた者じゃ。わしは、この聖堂院の院長を務めておる」


 「…貴方が、スレンダー院長…?」


 突然自分がスレンダーだと言われ、中々すぐに信じられなかった。無理もないことだろう。カリウスは一度も院長の話を聞いたことが無かった。スレンダーはカリウスから視線を移して、図書館内の広い通りの奥を向く。


 「…クラインが言っていた道化師を追う旅人とは、お主たちのことじゃったか。なにゆえ、奴を追う?」


 「道化師は、グランバートに保管してあった魔道の杖を強奪しました…あれは、世に出回ってはいけないものだと聞きます」


 「…その通りじゃ。魔道の杖は、決して生身の人間が扱えるようなものではない。あの杖に宿る魔道は異常なほど強く、容易く魔道を可視化できる。たとえ強い兵士であっても、敵わぬじゃろう。…しかし、お主になら、奴に対抗できる」


 「…え…?」


 魔道の力がそれほどまでに強大で恐ろしいものなのか。カリウスにはまだ自覚が持てなかったが、彼が見るに、スレンダーはその力を知っているようにも見えた。スレンダーは一度彼を見ると、ゆっくりと歩き始めた。そしてカリウスについてきて欲しいと言った。

 これから何が始まるのか。当然彼には予測も出来なかった。だが、スレンダーが無言で歩いたその道筋は、やがて普通の団員や係員には入ることの出来ない場所なのだと気付く。やがて入った空間は、とても神秘的な造りをしている聖堂院と同じ場所だとは思えないところであった。まるで洞窟のような場所で、何か不気味な感覚を彼は感じ取っていた。


 「お主には、分かるはずじゃ。この空間いっぱいに存在する不思議な感覚…ここは、あえてそうしておる」


 「なぜ私をここへ?」

 「自分自身で、その理由はもう分かっておるはずじゃ。お主は、それを確信付け善の導きに従い、力を手に入れる必要がある」


 そういうと、スレンダーは静かに移動し、恐らく機械のような物が置いてあるとこのそばで止まった。何か操作するような姿が彼には見えたが、何も言うことは出来なかった。やがて小さな機械音と共に、気付くと自分の真上から球体のような得体の知れない物が、ゆっくりと下りてきているのが見えた。

 スレンダー院長は言う。それから10歩離れるように、と。


 「何をしろと言うんですか?」

 「自分の剣を取るのじゃ。その球体からは、銃弾のようなものが射出される。無論本物ではないが…それを弾き返すのじゃ」


 そんなものに命中すれば相当な傷を負う。流石にカリウスはそれを口にして懸念したが、スレンダーはその必要はないと言った。感覚的に一瞬熱いと思うくらいだと言った。

 そして機械が作動する。何秒か経った後、突然小さな音を立ててハッキリ見える光のようなものが彼に一発向かって行く。突然すぎて彼は反応できず、左腕に受ける。確かに熱いと言う感覚はあったが、それもすぐに消えた。カリウスはその場に静止したまま、タイミングをずらして射出される光の弾に対応しようと、剣を扱う。


 「もっと流れるように剣を使うのじゃ…そう、そうだその調子。感じるぞ…お主の中のプレッシャーを…」


 気付けば向かってくる弾はほぼすべて剣に当てられるようになっていた。まだ始めてから3分と経過していないが、カリウスには時間など分からなかった。スレンダーがいったん機械を止めると、今度はヘルメットのようなものを彼のもとに持ってきた。今度は、それを被って弾くように言った。


 「これでは前が見えません」

 「大丈夫だ。やってみると良い…しっかりと、導いてくれる」


 当然と言うべきか。最初の数発は体に直撃を食らった。目の前が見えない以上当たり前のことだとは思うが、次第にカリウスも何か感覚のようなものを掴んでいた。周りに流れる雰囲気、空気、感覚を掴みとり、そして4発目と5発目が早い間隔で打ち出された時、彼はそれを見事に弾き返した。


 「見事…これほど早く適応できる人は、今までわしが見た中で殆どいなかった。お主の中には魔道の力が流れておる」


 「では、私はあの道化師のように…」


 自分も魔道の力を駆使して、その力に踊らされるのではないだろうか。その言葉に、スレンダーは真剣な表情をして返した。


 「…魔道と呼ばれる力が全て邪悪なものとは限らない。あの本にも書いたように、魔道には善と悪が存在する。他の人とは隔離された、超絶なる力。その力に酔いしれ、溺れ、そして魔道の地獄的側面を見る者がおる。それがあの道化師じゃ。しかし…お主はまだ、その状態ではない。魔道の善と悪を理解しきっていない…当たり前のことだが、今の打ち合いでお主は魔道の助けを得ることが出来た」



 …お主には、強いプレッシャーを感じる。



 …。




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