1-5 目的への協力
自分たちの素性を明かし、改めて関連性を考える。
道化師がある人々を対象にしている、という可能性。
苦難の予感の中で、協力者を得る。
「フィルさん。我々は恐らく、貴方の雇い主を殺害した人を追っています。噂には聞いていると思いますが、先日…」
フィルの雇い主が何者かによって殺害された事件。街の陰で発生した、人にはほとんど触れられない小さな事件だが、フィルにとっては大きな事件であることに変わりはない。雇い主が殺害されてから数日。道具屋の経営も出来なくなり、ただ一人の生活を繰り返していた彼女に、三人は自分たちの身分を明かす。魔道の力を使う道化師を追い続けていること、そして自分たちはグランバートの悲劇から生き残った人たちであることを。
「なるほど…確かに、数日前から街でも城の話は広まっています。道化師…そうですね、あの人を殺した得体の知れない者も、その人なのかもしれません」
そう決定づけることは出来ないが、三人には既に考えがまとまっていて、恐らく道化師が雇い主を殺したという展開になっていた。まさか見ず知らずの女性を助け、その女性から聞いた話で自分たちの目的と繋がりを見出せるとは思っていなかった。
「あの、もし良かったらなのですが…私も、皆さんの目的に同行させていただけませんか?」
フィルが視線を変えカリウスに向ける。カリウスの視界に見える、フィルの真剣な眼差し。一瞬の空気の変わりようを彼は感じたようだった。
「復讐とか、そういうのは考えていません。ですが私自身も気になります…魔道のこと。色々聞いてきたので、何かお役に立てるかもしれません。戦闘とかは駄目ですけど、他に出来ることはします!」
「そんなに気遣う必要はないよ」
カリウスがそう言うと、アイクとメロディはその場に立ち上がったカリウスに視線を移した。彼はフィルに笑顔を見せていて、そしてこう言った。
「でも、フィルの力が必要になる時が来る。ぜひ、来てもらえるだろうか」
「…はい…!」
これから先、どのような苦難が待ち受けているか、当然分かるはずがない。しかし、道化師を追い続けるこの目的は終わりの見えない何かを感じさせ、それ自体が苦難となるであろう。そんな時、フィルという女性が新たに四人目として仲間に加わった。
カリウス等は出発を明日だとフィルに言って、フィルは今晩中に荷造りをすることにした。その間三人は安いボロの宿屋で一夜を過ごすことにした。
「しかしカリウス、フィル大丈夫だろうか?相当長い道のりになると思うが…」
「大丈夫だと、俺は信じているよ。こう何か、直感でフィルになら頼れそうだと思ってね」
蝋燭に火をともし、部屋の電気だけを消して三人は話していた。旅費を多く使えないため、全員が同じ部屋で泊まることを第一と考えている。これからフィルも加わるので、その辺りも少し考え直さなくてはならないかもしれない。カリウスはそんなことも考えていた。
「フィルの言っていた得体の知れない者が奴だって言うなら…二人は、どう話を繋げる?」
「そうね…その雇い主と道化師が魔道の関係で、何か接点があったとか、かな?」
メロディが言ったことは、恐らく正しいだろうと二人も考えることが出来た。そうでなければ、あの強力な魔道の力を手に入れたであろう道化師が、わざわざ街に来て人一人を殺害するとは思えない。杖を使った実験だとしても、この街には大勢の人がいる。実験対象など誰でも良かったはずだ。しかし、雇い主は魔道の知識に優れた者だという話がある。
「あの道化師にとって魔道の何かを知る者は、邪魔な存在ということになるだろう…その何か、が…」
それからも結局答えを導くことは出来なかった。そんな簡単に出るものではないと思ってはいるが、それでもレイラの街に来て、ある程度のヒントを得ることは出来た。
次へ、繋げるために。
…。




