1-3 方向
漠然とした目的に襲い掛かる旅路の苦難。
方向を決め、焦点を絞り、その場所で情報収集をする。
その街でもまた、新たな出来事が三人を迎える。
「俺はアイクという。これから、よろしく頼むぞ!」
…アイク。豪腕の戦斧使いの名前であった。
彼の強さはカリウスもよく分かり、彼の境遇からも、ぜひ自分たちの仲間にしたいとカリウスは考えていた。アイクもこのまま一人で流浪するよりも、今出会ったこの器の広い人たちについていきたいと思い、迷わず返答をした。まだグランバート城から出て日にちは全然経っていないが、早くも一人の協力者を得ることが出来たのである。
大国グランバートに町は幾つもあり、三人は立寄った町ごとに情報収集を進めた。しかし、いずれも小さな町であったためか、有力な手掛かりを掴むことが出来ない。
ある日の晩。グランバート王国領の南部へ入ろうかというところ、小さな村で三人は宿を取った。
「流石に疲れたな」
「あぁ。それにしても、結構な町を見てきたが手掛かりなしか…なぁカリウス、奴の行きそうな場所とか分からないのか?」
「まだはっきりとはしないね…道化師が何を目的に杖を使うかが分かれば、また話は変わってくるとは思うけど」
「目的か…よし、取り敢えず方向を決めよう。この先大きな街が数ヶ所あるが、方向は違う」
アイクは、ちょうど宿屋の部屋に置いてあった大陸地図を持ってきて、布団の上に置く。メロディとカリウスも、アイクの考えに同意して方向を決めることにした。
南下すると、旧シェイル共和国自治領に入る。小さな山や森、湖などが点在する天然自然スポットが多く、それより南へ進むと歴史溢れる町アラドがある。
一方、もう一つの方向として考えられたのは、大陸の西部にある旧シェイル自治領現グランバート領土、レイラの街であった。大陸間の交流の場として知られ、流通システムの拡大に成功した街の一つである。
「アラドとレイラ…なんか似てるような」
メロディが少し笑いながらそう答えると、二人も何となくそんな気がする、と回答する。
「二つとも街はデカイが、規模が違うな。レイラの方が人は多いし、何よりアラドとは違って今風の活気がある」
「なるほど…そこにあの道化師はいないだろうが、情報集めには良いかもしれない」
「だね!そうしようーっ」
まるで自分たちは旅をしているかのような、そんな気持ちにもあるが、具体的な目的があっても漠然としすぎているためか、今はそうするべきだろうという気持ちが強まったため、この流れでレイラへ行くことになった。今度こそは何か良い情報が得られると良い、そう三人は思っていた。
翌日。あいにくの雨模様で、今日一日は日差しが期待出来無さそうだった。それでも三人は目的地へと歩き続け、レイラの街並みを見下ろせる丘陵へ、2日半で辿り着いた。
「お…?」
「…様子が変だ」
三人が街の郊外へ入り始めた頃、まだ住宅地の少ない大きな通りで、一人の女性が集団に囲まれているのを、三人は見る。
…。




