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ギルド

「うは!!ドラゴンだ、ドラゴン!」

 

 全裸の俺は、黒いドラゴンに飛び掛かる。

 あれ ?シルバードラゴンって言うくらいだから銀色だと思ったのに黒いぞ。


「ちょっ、おまっ」


 ドラゴンが何か言ってるが、気になど止めない。

 何故なら全ての少年達の憧れドラゴンが目の前に居るのだから。


「ウヒャヒャヒャヒャ!!鱗気持ちいい!!」


 鱗に頬ずるというか体全体を擦り付ける、マジ俺歓喜!!


「やめるのじゃ、、なんか当たってる、なんか硬くなってる!!」


 ドラゴンが何か言ってるが、気になど止めない。

 何故なら以下略なのだから。


「ペロペロしちゃうもんね、ペロペロ」


 ドラゴンの鱗を舐める、いやどんな味するかなぁと思ったけど心なしか甘い気がする、ドラゴンって甘いのか。


「や、やめるのじゃ、そこは逆鱗近が近いのじゃ、やばいのじゃ!!」


 ドラゴンが何か以下略。


「なんか鱗が逆に生えてる部分があるな、ここはどんな味がするんだろうな、フヒヒ」


 ドラゴンの体が俺を跳ね除けようとするが、全力でしがみつく。


「やめるのじゃ、卵温めてるんじゃぞ、逆鱗なんぞ触れたら卵が、卵がああ」


 ドラゴンが何か言っている、卵?ああ、卵を温めてるんだったな卵、いいなドラゴンの卵。


「いいなぁ、卵、なぁ、おい俺にも卵くれよ、俺の卵も産んでくれよ、なぁ、なぁ!!」


 俺用に卵を産んでもらって、育てて俺竜騎士になるんだ!!










「悪夢だ。」


 何か酷い夢をみた様な気がする。

 枕の高さが合わないからと言って、枕の下に例の本を仕込んだのが原因だろうか?

 日も昇り始めた早朝、俺は宿屋のベットで頭を抱えていた。

 というか、昨日から頭を抱えてばかりな気がする。

 夢の内容は覚えていない、覚えていないんだ、とてつもなく嫌な夢だったが、見てる最中は凄い幸せだったが、目がさめて、朝の生理現象具合に鱗フェチの気でもあるのかと疑ったりしたが、絶対俺は夢の内容を覚えていないんだ!!


「無いわー」


 自己嫌悪に似た何かを抱えながら、部屋を出て階段を降りていきカウンターのおばちゃんに、店裏にある井戸を借り顔を洗い寝癖をなおす。

 昨日から、食事の注文をしたり代金を払ったり井戸を借りたりと、宿での振る舞いが極自然に出来ている事に今更ながら気付いた。

 体が覚えていると言う事なのだろうか? 勇者として旅をしていたなら宿の使い方なんてお手の物という事なんだろうか?

 そう言えば、田舎で暮らし始めた頃、爺さんに猪とか兎とか雉とか解体させられたけど、凄いしっくり来てた覚えがあるなぁ。

 

 そんなこんなで、朝食を食べた後に宿を出てギルドに向かう、ちなみに朝食はキャサントンのスープとパンだった。

 宿の名前の通りキャサントン押しらしい、いやスープはスープで旨かったけど。

 昨日は気付かなかったが、獣人やエルフの姿をよく見かける。

 と言ってもオッサンエルフだったり、猫耳のおばちゃんだったりしてなんだか残念だ。

 そもそも、美少女エルフや獣人なんて、現実社会で普通に美少女探すよりも難易度高いのかもしれない。

 ギルドの場所は宿屋を出る時に聞いて置いた。


 ギルドの建物はしっかりとしたゴツイ建物だった、ドラゴンの体を貫通するように書かれた剣のマークが特徴的だった。

 内装は、受付カウンターが沢山ある市役所の用な物をイメージして貰えば分かるだろうか?

 後、依頼を貼っつけてる掲示板も沢山あるが今はそこに用はない、と言うより俺は金はあるんだから働く必要ないよなと思う。

 兎も角、近場のカウンターを目指し歩みを進める。

 人は多くいるが並んで居る人はあまり居なく、直ぐに自分の番になる。

 黒縁眼鏡をかけたどこかおっとりしてそうな女性だ、柔らかい表情にこちらの頬も緩む。

 カウンターにギルドカードを置き、声を駆ける。

 勇者だとバレて騒がれても、記憶が無いから昔の知り合いを紹介して欲しいと頼もう。

 なんなら依頼としてお金を出しても良いだろう、うんそうしよう。


「すみません、ギルドカードの更新をしたいんですけど」

「ギルドカードの更新ですね、10年も更新して無いなんてどこか辺境の地にいらしたんですか?」

「まぁ、少し遠くに居まして、そこにはギルドが無かった物で」

「本人確認をしますんで、こちらのクリスタルに手を置いてください……はい、大丈夫です、10年分の更新料として30,000G頂きますがよろしいでしょうか?」


 俺は袋から30,000G取り出しカウンターに置く、ちなみに大きな金貨が3枚である。


「はい、確かに受け取りました。更新完了しました。」

「……」

「……」


目と目があったまま、俺は反応を伺う。

ヤバイ、沈黙が痛い。


「あの、俺の見た目で10年前に登録したってなんか可笑しいとかならないですかね?」

「あっ、そういう事でしたか? あまりに真剣に見つめて来るからびっくりしました。冒険者の方々、よく呪いとかで見た目が変わったり、最悪、種族や性別まで変わられる方が居ますので見た目より、クリスタルでの検査をに重きを置いていますんで大丈夫ですよ。貴方はしっかり本人確認できましたから」

「あーそうですか。えっと」

「まだ、何かありますか?」

「俺の名前とかその、……聞いた事ないですかね?」

「やっぱりナンパですか?もう、こっちは勇者様の名前語って偽名登録する人なんて慣れてるんですよ? 10年前って、勇者様が活躍為さられた頃から勇者様の偽名を名乗ってるって生粋の人なんですか? だいたい全裸の勇者の名前語ってナンパとか恥ずかしくないんですか?」

「いや……あの…すみません、ごめんなさい」


 俺は更新したカードを握りしめて、ギルドを後にした。





「畜生、畜生、言えるかよ、俺こそが本物の全裸勇者ですって言えるか? 言えねぇよ」

「そりゃそうだ、全裸勇者様の名前を語る奴は、沢山居るからな」


 数時間後、俺はギルドの近くの酒場でくだを巻いていた。

 ちなみに、俺の相手をしてくれてるのは、同じように昼間から酒飲んでくだ巻いてたおっさんである。

 お酒をたかられたから、奢ってあげると機嫌よく俺の話を聞いてくれる良い人である。


「俺が言うのも何だけどね? 全裸勇者の名を語るってなによ? 何のメリットになるの? 恥ずかしいだけじゃん」

「あー、この国のお姫さんが、面白がって全裸ネタで本だしちまったせいでこの国じゃそのイメージだけど、本当は真面目に色んな所救って歩いたらしいぞ、あっ、儂の酒空になっちゃった、ボトル新しいの頼んでいいか?」

「マジか、マトモな事もやってんだ?良かった、良かったぜ。というか俺は本物よ? 本物の全裸勇者よ? 人様の名前をネトゲで有名キャラの名前つける乗りで語るんじゃねーぞって話だわ。ボトルと言わず樽ごと頼んでいいぞ、今日は俺の奢りで好きなだけ飲んでくれ。そうだマスター、他の客にも全員いっぱいずつ俺の奢りで飲ませてやってくれ」

「お客様、申し訳ありませんが、こんな昼間っから飲んでる屑はお二人だけです」


このマスター渋い、ナイスミドルの初老の男性である、コップを磨く様が凄く様になっていて素敵である。


「おっ、気前いいねぇ、じゃあ遠慮無くフォレストウッドの10年物頼むぜマスター」

「なにそれ、旨いの? その酒、俺もそれ一杯」

「おう、動く大樹と言われるフォレストウッドって魔物から樽を作った酒でな。これが旨いんだ、儂のお気に入り」

「お客様、あまり飲み過ぎないように」

「えーと、じゃあ乾杯しようじゃないか、あれだ、全裸勇者に乾杯」

「よしてくれ俺に乾杯とか照れる、全裸勇者に乾杯」


グラス同士をぶつけて、お互いに酒を飲み干す。


「うはっ、ウィスキーかよ、効くなぁこれ。」

「そうじゃろ? 腹の奥から熱くなるじゃろ?」

「そうだな、熱くなって来たなぁ、脱ごうかな」

「脱ぐな阿呆、儂は男の裸にいい思い出がない」

「男の裸にいい思い出がある男はなんかやばいから」

「あっ、そそそそ、そうじゃな、でも見苦しいから脱ぐじゃないぞ、トラウマなんだからな」

「あーそういうのか、じゃあ我慢するわー、でも熱いし気持ちいいからなぁ」

「えーい、脱ぐなよ、そんな事よりもっと飲むのじゃ飲んで忘れるのじゃー」


 うは、気持ちいい、頭がふわふわってする。

 酔っ払いすぎだ俺、目の前のおっさんが時折りどっかで見たことある幼女に見えるくらい酔っ払ってる。

 にしても熱いな、脱いじまおうかなぁ。




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