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全裸勇者ドラゴンと対峙する

 竜銀鉱山と言う山を知っているだろうか?

 竜銀という最高級の魔法鉱石を採掘できる鉱山で、シルバードラゴンが住んでいる。

 一説によるとシルバードラゴンの糞の一部が鉱石化した物で、その山には一匹のシルバードラゴンが住んでおり、ドラゴンから許可を得て一部のドワーフ達が少量ずつ採掘をしていたのである。

 ここで、ドラゴンの生体について説明しよう、ドラゴンは産卵時期になると、凶暴化(バーサク)する。

 これは、ドラゴンに限らず色んな動物や魔物に見られる事なのだが、ドラゴンは産卵後、卵を温める時期になると理性的に警戒心が高くなり余計手におえなくなる。

 知能高いドラゴンは理性的な方が恐ろしいのだ。

 ドラゴンの卵が孵るまでの期間は5年から10年とまばらで、ドラゴンが卵を産む事じたい、100年から500年に一度と言われている。

 ドラゴンの肉体が再び卵を産める状態になるには産卵後、10年程で産める様になるが、良い雄と巡り合い子を無してもよいと思うのに数百年かかるらしい。

 500年越しとか大恋愛にも程がある。

 

 さて、勇者は己の武器の為に竜銀を必要としてたのだが、市場に出回っている竜銀は希少で尚且つ所有者が決まっており、竜銀を求め鉱山に来ていた。

 しかし、運が悪い事にシルバードラゴンは産卵を終え卵を温め始めた頃だった。

 ドワーフの名工に竜銀を求めるが、シルバードラゴンが恐ろしく近づけないという。

 そこで、勇者クルトは一肌脱ぐ事にした、否、全裸になった。

 シルバードラゴンが何を恐れ警戒しているかと聞かれたら、己の肉体又は卵を砕く事の出来る貴金属である。

 ドラゴンの、ましてやシルバードラゴンの肉体を傷つけるのには、一山いくらの武器、いや、低レベルの魔剣でも傷つけるのは難しいのだが、卵自体はさすがに素手での破壊は不可能だがツルハシ一本でなんとか破壊できる硬度だと言う。

 そこで、勇者クルトは全裸になる事でシルバードラゴンの警戒を解き、交渉し、竜銀を手にする事が出来たのである。

 その際、勇者クルトとシルバードラゴンは何らかの盟約を結んだと言われるが、竜との盟約は他者に漏らす事をきんじらており、その内容は謎に包まれている。

 勇者クルトが消えてしまった以上、その盟約がどうなったのか知るのは、シルバードラゴンのみである。

 さて、読者諸君は、この勇者クルトを全裸でドラゴンに突貫した変態馬鹿ではないか?と思った者も居る事だと思う。

 かく言う筆者も初めてこの話を聞いた時、散々馬鹿にしたものである。

 しかし、筆者はドラゴンという物を見た事が無かったのだが、後にドラゴンを目撃した時に私は後悔したのである。

 あんな凶悪な姿の前に全裸で身を晒すなんて事は、どれだけ勇気を振り絞ればなせる事なのだろうか?

 熟練の冒険者達は高位のドラゴンとは例え戦わないにしても、あらゆる武具で身を包み、あらゆる補助魔法で身を守ってもドラゴンの前に身を躍らせる事は恐怖であると言う。

 あの牙に爪に巨体に、口から吐出されるブレスに、いやその大いなる魂の前に、その身が振るえ上がる事だろう。

 勇者は、その身を持って勇気を示したと言えるだろう。

 この事柄から一部の地域の人間は、事実を知らず聞いた話だけで、簡単な事でおかしな事であると侮る事を『ドラゴンの前の裸体勇者』と比喩する慣用句がある、是非広まってほしい物である。


   勇者クルト=アイダの伝説 第一章『勇者クルト、全裸でドラゴンに立ち向かう!!』から抜粋。






 俺は宿屋の室内で頭を抱えている。

 思ったよりまともで安心出来たのだが、これを読んでいる時、脳裏にあるイメージが思い浮かんだのである。

 失った記憶の欠片だろうか?

 俺は確かに全裸でドラゴンに対峙していた、否…ドラゴンの背にまたがり、抱きつき鱗に頬ずりし、何か騒いでいた。

 何を言ってたいたかは全く思い出せないがそんな事をしているビジョンが頭をよぎったのだ。

 否定したいのだが、記憶を失う前の俺なら、辛うじて、辛うじてだが、そんな事をしても可笑しくないと思えるのだ。

 それに、ドラゴンとの盟約とやらは、いったい何をしたんだ俺は……。

 産卵の時期から言って約10年、今頃その卵は孵時期にぶち当たっても可笑しくない、何かとんでもないフラグを目にした気分だ。

 俺は本をそっと閉じ、記憶も閉じた、ついで雁字搦めに封じて忘れてしまおう。

 ちらりと見えた第二章『勇者クルト、エルフの結界を全裸で突き破る』と言う文字は見なかった事にした。


 「そうだ、キャサントンを食べよう」


 窓から外を見ればもう日が落ちている、意外と長い間本に集中していたようである。

 というより長時間、頭を抱えていたのだろう。

 俺は部屋を出て階段を降りていく。

 調理場の方のカウンターから、おっちゃんに声をかける事にした。


「おっちゃんキャサントンってある?」

「今日は唐揚げだが、構わないか?」

 おっちゃんは、視線をカウンター横の小さい掲示板に送るのでそちらを見ると、キャサントンの唐揚げ定食500Gと書いてあるの袋から500Gを出してカウンターに置く。

「んじゃそれで」

 ちなみに、500Gは銀貨1枚だった。


 テーブル席について、料理が来るのを待つ。

 さて、俺の過去の事は置いておいて、これから先どうするべきか。

 ギルドカードを更新しに行けば良いんだろう、恐らくあのカードは本物だろうし。

 さっきの本を読んで記憶の欠片が戻って来たと言うことは、自分に関する何かがあればまた思い出すのかもしれない、生憎さっき思い出した何かは忘れてしまったが。

 ただ、カードを更新しに行って勇者だとバレたら騒ぎにはなるかもしれない。

 さすがに指名手配にはなっていないだろうし、この国が俺の偉業? を広めようとして居るなら友好的であると思いたい。

 あんな恥ずかしい事を広めるのは勘弁してほしいものだ。

 正直面倒だが、知り合いなんかに会えれば身の振り方も相談できるだろうし、デメリットばかりではないのだが、どうしたものか。

 

「キャサントンの唐揚げ定食おまち」

「ど、どうも」


 運ばれて来た料理は、パンと唐揚げとスープだった。

 パンは良く聞く硬くて食えない黒パンではないが、現代社会の柔らかいパンというわけでもない。

 言うなればちょっと柔らかいフランスパンみたいな食感だ。

 スープは野菜を煮込んだ汁って言葉がよく似合う。

 出汁とかっていう概念が無いんじゃないかというスープだが無駄な味わいが無い分食べれない事もない。

 まぁ、知らない具材が浮いてるから、本当に野菜かも分からないし、赤い角切り野菜も、人参だと断定するのは早計だろう。

 味はそれっぽい味に酷似しているの問題なく食べれる。

 さて問題の、キャサントンである。

 一口齧って食べると鶏肉のような食感と味わいに何故かキャベツっぽい青野菜の風味を感じる。

 キャベツが練こんであるのかと、齧った肉の断面を見れば緑色をしている。

 色合いはなんだか、ちょっと気分が悪いが総合的な味の面で言えば旨い。

 食感にキャベツらしさは無いが、とんかつとキャベツを同時に口にいれたような、ちょっとしたさっぱり感。

 やるなキャサントン、いったいどんな外見をしてるのだろうか?

 予想としてはキャベツ型の魔物か? 鳥とキャベツからイメージできるのは、コウノトリである。

 あれか、体がキャベツで出来たコウノトリとかだろうか、さすがにそんな不思議生物は居ないと思うが居たら面白そうである。

 俺個人としては、魔物を食べる事に忌避感はない、田舎でハチノコだとかイナゴなんか食べてるとどんどん垣根は下がってくるし、そういう未知の料理は大好きである。

 外を眺めれば、しっかり日は落ちている、ギルドは明日にしよう。

1話あたりが短いだろうか?

もっとボリュームを詰めたいけど、まだ登場人物すくないし、会話が少ないからなぁ、ステータスとかスキルとかやりまくると、それだけで文字稼げそうだけど、あんまり意味ないから好きじゃないんだよなぁ。

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