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街へ

ゆったりペースですが更新。

 森を彷徨い歩く、大地を踏みしめ落ち葉や枯れ枝を踏みしめる。

 木漏れ日を浴び、温かい気温から言って、季節は春頃か、木々の緑からも春の息吹と言って良いかわからないが、それを感じる。

 いや、季節感が判りやすくしっかりと別れているのは日本くらいで、世界が変われば赤道の位置も気候も変わるだろう。

 今が春だと言う確証には何も至らず、実は常夏の地域で今の気温でも1年を通してみれば、冬にあたる寒い時期と言うこともある。

 まぁ、日本の春くらい温かいと言う事だけ分かっていればそれでいい、凍える程の寒さや、バテる程の暑さじゃないだけマシと言うものだ。

 そうそう、夏と言えば……やめよう、考えを逸らしても無駄だ。


「正直に言おう、迷った。」


 いや、迷ったと言っても行き先も帰り道も元より知らないのである、俺に問題があるわけではない。

 こういう時はどうするのがいいんだっけかな? 確か川を探して下流にいけばいつか海か湖にでれるだろうし森も抜けれると思うんだが、今のところ川すら見つからない。

 たちまち、太陽の沈む方向へと歩いて行くが、この星の太陽の動きが一定であると言う確証すらない。

 いきなり左へ右へと揺れる事はないだろうが、明日になったら太陽が沈んだ方向から登るなんて事もあるかもしれない。

 この星が丸い確証もないし、太陽が今でこそ一つだが、日によって増えるなんて事もあるかもしれない。

 水平線の向こうは滝になって落ちてるなんて事はさすがに無いと願いたいが。

 しかし、これだけ歩いたのに、体は疲れる事を知らない、ちなみに精神的にも余裕だ、いや、正直を言えばワクワクすらしている、見知らぬ世界に心弾むのである。


 「とは言え、いつまでも同じ景色と言うのも困る、こういうのってアレだよな、迷いの森的なそういう魔法でもかかっているんだろうか?」


 そう言う魔法がかかっているとしたら、精霊かエルフの類が今でも俺を監視して居ると言う事もあるんだよな。

 精霊か……精霊魔法とかスキルにあったな、詠唱も何もしらないが使ってみる価値はあるだろうか?


「精霊よ……勇者の名において命ず」


 何を言っているのだろうか、この世界に来てから俺のテンションは可笑しい。

 しかし、誰も見ていないだろうし構わないだろう。

 こう見えても俺は、記憶が無くなる前の時まで割と厨二病だったのだから。

 声にだした瞬間からだろうか、それ以前にあった全能感がさらに増した気がする。

 いや多分興奮してるだけなのかもしれないが、今なら何でも出来る気がする、あくまで気がするだけであるが。

 

「我が道を妨げるな!!………なんてっ」


 気恥ずかしくなって誤魔化そうとした言葉最後まで音にならなった。

 瞬間、目の前が弾けた。

 景色か風の用に自分の後ろへと吸い込まれて行くのが見えた。

 思わず手を交差して、顔を覆ったが、それより早く、景色は落ち着き。


「マジかよ……」


 目の前の景色は打って変わって、草原と変わっていた、遠くに街もみえる。

 後ろへと振り変えれば、森は無く草原と獣道が続くばかり。

 奇しくも、俺の精霊魔法は成功したらしい、あの森は幻影か何かだったのだろうか。


「まぁ、兎に角、街が見えるんだし、結果オーライって事で、向かってみるかねぇ」


 こうして、俺は街に歩みをすすめる。

 いったいあの森はなんだったのか、それすら分からないままだが、今この場で考えて出る答えでもないのである。

 そう言えば、初めての魔法行使だが、魔力が減ったなんて感覚や疲労感もない。

 レベルが桁はずれなせいか精霊魔法の特性か魔力表示がなかったせいか、それすら分からないが、まぁ問題無いだろう。

 遠くに見える街は、定番と言えば定番な中世風の街である、あそこで何か進展があれば良いのだが。



 街だと言ったな、アレは嘘だ。

 いや城下街だったわけだけど、石造り城壁で囲まれた街、向こう側には大きな城が見える。

 正面にある門から中へと入れるようだが。


「身分証を出せ。」


 門番のいかついおっさんの言葉である。


「身分証、身分証ね。」


 言葉が通じたのは、言語スキルのお陰なんだろうけど、さてどうしたものか。


「どうした?見たところ冒険者だろう、ギルドカードでも構わんぞ。」


 おっさんが、槍を持つ手に力が入ったのがわかる、ヤバイどうしようか。

 例の袋に入ってるだろうか?


「ギルドカード、えーっとどこに閉まったかなぁ?」


 袋に手をつっこんで、そんな事を言うと、手に硬いカード状の物が触れるのが分かった、まさかビンゴ?


「あった、これかな?」


 おっさんに袋から引き出したそれを見せる、視界の隅に。


 名所:ギルドカード

 冒険者ギルド発行のクルト=アイダのギルドカードである、身分証明書にもなる。


 と現れた、なんでも出てくるなこの袋、偽造とかにならなきゃいいが。


「こういうもんは、門に来る前に用意しとくもんだろうが、もしかして都会は初めての田舎物か?服装のセンスも古いしな。」


 と言いながら、俺のカードに透明のクリスタルを近づける。

 やばい、偽物とかだったらばれんのか?


「犯罪歴なし、……ん?おい。」


 まずっ。


「カードの最終更新が古いぞ、街についたら更新しとけ。通っていいぞ。」


「あっ、はい、すみせん。」


 ビビラせてんじゃねーぞおっさん。

 カードを手にもったまま、ビクビクしながら門を越え、街に入っていく。

 カードをよくよく見てみれば、カードの表面には。

 

 この者、クルト=アイダの身柄をギルドの名に置いて保証する。


 と自分の知らないはずの文字書かれてあるだけである。

 あのクリスタルでしか詳しい情報照会は出来ないって事だろうか?

 というか、文字も恐らく言語スキルで読めてるって事だろう、安心した。

 カードを袋にしまい考える、この後どうするべきかをだ。

 ギルドとやらに行ってカードの更新とやらをしてみるべきだろうか。

 いや、これが偽造だとバレた場合困る、そもそもこのカードは偽造なんだろうか?

 というかこの袋なんでも入っていすぎな気がする、どういう事なんだろうか?

 とりあえず、宿でもとって腰を落ち着けて考えてみたいが、金はあるのか?

 袋に手を突っ込んで金、とイメージしてみる。


 5189275829G


 と、イメージが帰ってきた。

 おい、51億っておい。

 まぁ、9の羅列とかじゃなくて良かったとは思うが、逆にリアルすぎて怖い。

 とりあえず金に困る事はないだろう。

 適当に腰を据えれる宿でも探すか、考える事が多すぎる。


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