プロローグ
短編小説とは全く違いますのでご了承下さい。
「不可思議屋」
それは、常識では測れないことを解決してくれる集団だと言われる。
何でも屋のようだとも言われる。何でも依頼を引き受けて法外な報酬を請求する悪徳な会社だとも噂されるが、警察に被害届けは出されていない。
そのため本当にあるのかどうかは、不明だ。
ネット上でそんなHPも載せられているがどれも便乗紛いの偽物だというから、実在するのかどうかかなり疑わしい。
そんな名前も存在もうろんな集団に関わることになるとは、微塵も思わなかった。
当たり前の毎日が、これからも続くんだと思っていた。
それまでの自分は、容姿も才能も秀でる物はないどこにでもいる女子高生だった。
毎日学校に通って勉強して、友達とほどほどに遊んで、家事をして、そんな穏やかな毎日を過ごしていた。
特別な事が起こるとしたら、自分のように平凡な子ではなく、もっと何かを持っている子に起こるんだろうと漠然と信じていた。
たった1度。
生まれてから今まで自分では長いような気がする人生での分岐点。
選択する場面はいくつもあったように思うし、そうして葛藤の末選んだ結果に後悔もした。
でも今回の大きな選択には後悔はない。というよりも正直に答えるなら、選択をした覚えはない。
ただ、後から考えてああしていて良かったというだけの話だ。
自分に力というのがあるのだとしたら、土壇場で力を出し切れたのはこの日が初めてだ。
運動会や受験でも力を出し切ってという決まりきった言葉は、自分の前では素通りしていた。
「頑張ったね」とは言われるがそれは普段の自分を見て、この程度なら許容できるという程度の言葉だ。
今回の行動によって、今までの自分が目に見えて変わったかと問われれば否定する。
そう簡単に性質は変わらない。
でも、少しだけ視野が広がったように思える。
その広がった視野で、いろんな人を見たい。
面倒や厄介な事柄からは極端に避ける傾向だった自分がいた。
それをやめて、いろんな体験を経験したい。
今は何よりもそう願っている。
世の中にはいろんな不可思議な出来事がある。
今までが特別ではなくても、これからは違うかもしれない。
平凡な自分だからこそ起こりえたのか。
それは誰にも分からない。
ただ起こっしまったものは変えられない。
だからこそ、今はその変わってしまった日常も愛しく思う。
自分は平凡そのものの人生を歩む予定だった。
それが、予想外のことで非日常を経験するとは考えもしなかった。
人生はままならないというのと、周りには不可思議なことがままあったりする。
視える世界は社会では日陰の世界として存在している。
そんな世界を知りもしなかった頃には、戻りたくても戻れない自分がいる。
これは思いもよらないことから視える世界を知って、予想外の縁で不可思議屋という得体の知れない人たちと関わるようになる自分の体験談だ。