夫は本日、王宮に出仕しておりません
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ある日の昼下がり。
私は葡萄酒を片手に、魔導映写機でずっと楽しみにしていた幻影劇を観ていた。
忙しい日々が続いていたから、こうして何も気にせず過ごせる休日は久しぶりだった。
夫は仕事だと言って、王宮へ出仕している。
ピコンと、幻影劇に夢中になっていた私の魔導通信具が、突然、呼び出し音を鳴らした。
画面に表示されたのは見覚えのない通信番号。
誰だろう?
少し迷ったものの、私は通話の魔法を起動した。
「はい?」
「あなたの旦那さん、今日、王宮に出仕するって言ったでしょ? 違うよ」
いきなり何を言われたのか、すぐには理解できなかった。
「え? どちら様ですか?」
「嘘だと思うなら王宮へ行って。馬車、ないよ」
「……あの、あなた誰ですか?」
相手は名乗ろうとしなかった。
それどころか、まるで私に隠れて、夫が嘘をついてるとでも言うような口ぶりだった。
「どうして私の通信番号を知ってるの? どこの誰かも分からないのに、信じられると思う?」
「私、嘘ついてないよ」
「……どうして、そんなことが分かるの?」
私が尋ねても、相手は答えなかった。
「私、嘘ついてないよ」
それだけ言うと、通信は切れた。
私はしばらく、魔導通信具を手にしたまま動けなかった。
魔導映写機からは音声が流れている。
さっきまで楽しんでいたはずなのに、もう内容が頭に入ってこなかった。
夫が浮気している?
ーいや、そんなことはまだ分からない。
そもそも、あの女は誰なのだろう。
夫の知り合い? 王宮の同僚? それとも……。
考えれば考えるほど、嫌な想像ばかりが浮かんでくる。
とりあえず、夫の通信番号に呼びかけてみることにした。
応答はない。
もう一度、呼びかける。
やはり応答はなかった。
仕事中なら通信に出られないこともある。そう自分に言い聞かせたが、さっきの女の言葉が頭から離れなかった。
夫の勤める王宮は、家から馬車で三十分ほどの場所にある。
確かめに行くなんて、あの女の思うつぼかもしれない。
それでも、気になって仕方がなかった。
私は外套を羽織り、小型魔導二輪車の鍵を手に取った。
王宮に着いたとき、夫の馬車はなかった。
門番に尋ねても、夫を見かけたという返事は得られなかった。
私は何も分からないまま、家に戻った。
夕方になって、夫が帰宅した。
「ただいま。ごめん、通信に気づかなかった」
いつもと変わらない声。
いつもと変わらない顔。
それなのに、私は昼間までと同じ気持ちで夫を迎えることができなかった。
「……今日、王宮、お休みだったみたいね?」
「え? ちゃんと仕事してきたよ」
私は無言で魔導通信具を差し出し、今日かかってきた番号を見せた。
「何?」
「今日、変な女から通信があったのよ。仕事じゃなかったんだってね?」
「え? ちゃんと行ったよ」
「お昼に、その女から通信があって、今日、仕事じゃないよ、嘘ついてるよ、旦那さん、って」
「え? なにそれ? 知らないよ」
「王宮に行ってきたよ。馬車、なかったね」
「え???」
「なんで嘘つくの? 誰? この女」
「知らないよ。気味が悪いね」
問い詰めても、夫は知らないと言い張った。
結局、どこの誰なのか、今も分からないままだ。
私は未だに、夫の浮気疑惑そのものよりも、私の通信番号を、私の知らない女が知っていたことに恐怖を覚えている。
ほかにもいろいろあった。
けれど、確定的な浮気の証拠はない。
夫本人は、そのたびに自分は知らないと言う。
だから私は、もやもやしたまま結婚生活を続けている。
知らない方が幸せなのかもしれない。
でも私は白黒はっきりさせたい方だ。
けれど、知らない、そんなことはやっていない、と言われ続けられると、私もそのうちにそうなのかな、と思うようになってきてしまう。
夫は今も、何があっても、都合の悪いことは知らないと言う。
あの時の、あの女は誰だったのか。
夫は本当に何も知らないのか、何もやってないのか。
私には、確かめようがない。
ただ一つ、確かなことがある。
あの日から私は、夫の言葉を以前のようには信じなくなった。
【制作メモ】
このペンネームは、AIを活用した作品用の名義です。
原案・ストーリー:かぐや
異世界風への提案:AI
自作の原稿を、AIの力を借りて西洋風ファンタジーに改稿してみました。
(かぐや直接使用/提案AI)




