表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
食堂店員兼勇者  作者: 平民
一章 勇者誕生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/68

5.ハヤミとヤマト

 なんで高位貴族と王族がこんな平民街の店に来てんの!?

 唖然とした俺は、とりあえず厨房の奥に引っ込む。隠れる必要はないのだが、なんとなく隠れてしまった。

 もしかして、何か至らない部分があったのだろうか。

 

 昼間のあの視線だ。ヤマト殿下の、あのやけに鋭い目を思い出す。

 俺、やらかした?何かやっちゃった?死亡フラグ?

 不敬罪かな。ひいいいい。ガクブル。殺されちまう。

 それとも俺を王侯貴族権限でパシリにする気なのか?

 オーマイガー!!NOOOOO!!


 壁からこっそり見ると、二人とも平民用の服に着替えているが、隠しきれていない。顔がいいとかそういうレベルじゃない。格が違うというやつだ。


 ヤマト殿下は静かに店内を見渡し、ハヤミ嬢は少しだけ緊張した様子で背筋を伸ばしていた。

 そんなに気張らなくていいですよ。ここ、酔っ払いが騒ぐ店なんで。


「こんにちは。ユラ・ハナゾノさんの家……というかお店はここで間違いないですか~?」


 ハヤミ嬢がにこやかに親父に声をかける。

 軽いノリな話し方で驚いた。あれ、公爵令嬢だったよね?昼間とは全然違う。

 貴族の令嬢ってもっとこう、堅苦しいもんだと思ってた。


「そうですが……娘になにか用ですか」

「今日、学校でお世話になったので、そのお礼に来たんです。あ、私はハヤミと申します。同じ学校の。隣は不愛想だけど付き添いのヤマトです」

「どーも……こいつの付き添いだ」


 不愛想だな王子。にこりともしない所が評判通りだ。


「ユラは厨房の奥にいる。席にどうぞ」


 親父はまったく動じない。さすが元王と知り合いなだけある。

 壁際の席に案内される二人は座る。


「ユラ。来い。お前に用だ」

「うぅ……お礼とか別にいらないのに……」


 貴族と関わるとか面倒の塊だろ。

 ただでさえこの外見で苦労してんのに。


「まったく、お前は自信がなさすぎる。お前のおかげで助かったと言ってお礼に来てくれたんだ。堂々としてこい。そして照れてこい」

「照れてこいって、どんな指令だよぉ」


 渋々、二人の前へ出ていく事にした。

 ハヤミ嬢がぱっと顔を明るくする。


「こんにちは!えっと、いきなりごめんなさい。急に来ちゃって」


 そのまま少しだけ距離を詰めてくる。


「どうしても、気になっちゃって」


 ……あの、近いんですが。


「その……家の場所、調べちゃった♡」


 てへ、と舌を出す。


「いやいやいや、普通に怖いんですが」


 思わず本音が出た。だって知らないうちに家を調べられてるんだもの。警戒するでしょ。


「でもね、本当に嬉しかったんだ。今まで、ああやって助けてくれる人なんて……ヤマトくらいしかいなかったから」


 ちらっと横を見る。ヤマト殿下は何も言わない。

 ただ、こちらを見ている。じーっと。


 この人、まばたき、してるよな?

 してるよな……?してないかも……。


「………」

「………」


 あの、なんでジッと見てくるんですか。しかも無言で。

 俺なんて見ても面白くないでしょ。それともなんちゅうでかい図体してんだこいつwとでも思っているのだろうか。人を観察するのが趣味な人?


 そうしてこっち見んなアピールをしているのだが、一向に視線が離れない。

 視線が痛いんですけど。いつまで見つめられるの俺。

 なんか言いたいことがあるなら言えよ。居たたまれねぇっつうの。


「だからユラ様はぁ、あたしの白馬の王子様です」

「……はい?はくば……?」


 どこをどう見たらそうなる。眼科行った方がいいですよキミ。


「いやいやいや、ないないない」

「あります♡」


 いや、ねぇよ。と、心の中で突っ込み。


「様付けやめてください。身分的にそっちが上なんで」

「えー。でも王子様だし」


 押しが強い子だ。あとその眼は節穴ですね。それともブサ専ってやつなのか。ただ助けただけなのに。俺じゃなくて、隣にもう本家本元の王子がいるでしょ。


「じゃあ、ハヤミって呼んで?」

「え?」

「そうしたら様やめる」


 条件付きっすか。


「い、いきなり呼び捨てはちょっと……」

「ほら、呼んで♡」


 そうしてこの上目遣い。

 強い。色々押しが強いぞキミ。


「ハ、ハヤミ……さん」

「さんいらない」


 即修正を促してくる。


「これ以上は無理です……!」


 思わず後ずさる。彼女は少し考えて、


「じゃあ今はそれでいいや」


 にこっと笑った。


「でも、いつか呼び捨てね?」


 未来確定してるの怖いんですが。


「ユラ」


 いきなり名前を呼ばれてびくっとしてしまう。

 その顔で名前呼びはちと心臓に悪い。だってクソイケメンだし、王太子だし。

 あといつまで俺の事見てくる気っすか。いい加減目を逸らしてちょーよ。


「お前……あれは、計算か?」

「はい?」


 意味がわからない。


「ザァコを止めた時だ。なぜそうした」


 何言ってんだこの人。そんなの……


「……別に、ただ見てられなかっただけです」

「そうか」


 それだけ言って、ほんのわずかに口元が動いた。

 あれ、笑った?いや、気のせいか。どっちでもいいけど。


「面白いな」

「はい?」

「いや、なんでもない」


 興味を持たれた。理由はわからない。

 少女漫画によくあるオモレー女を見つけたみたいな反応か。

 やめてくださいよ。デブスに変な興味持つのは。ボンボンに興味持たれても迷惑なんで。


 でも、なんとなく嫌な予感がした。

 あの視線。簡単に終わる気がしない。俺の受難は続くかも。



面白いと思いましたら、ブクマや評価などしていただけると嬉しいです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ