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フィーニス・ウィア ❖終焉の軌跡❖  作者: 朱華のキキョウ
1章 血肉啜る悪魔の元に
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79話 英傑の騎士は尚も誓い 参拾肆

 アソビトの双剣はバァルの拳とぶつかり、互いに体ごと弾き返る。

 2人は反動をものともしないかのように地面に深く踏み込み、双剣を拳をまたぶつけ合う。

 腕鎧と双剣がぶつかり、擦れ、弾ける度に火花が何度も散る。そして、鋭い音が遥か彼方の空へと響く。

 先程までぶつかり続けていた双剣と拳はアソビトの俊敏な身のこなしによって崩される。目の前から迫り来る拳へ今までは〈䝟貐の第六感(ブレイヴセンス)〉の自動カウンターでやり過ごしていたが、わざとスキルを未発動にし、拳を目と鼻の先まで近づける。そして、ギリギリのところで躱し、バァルが瞬時に攻撃を止め、アソビトの攻撃へのカウンター対応をするのをワンテンポ遅らせる。

 アソビトはそのままバァルへと攻撃を仕掛ける。バァルのカウンターが来る前に攻撃、のちに離脱という考えの元動いていた。だが、アソビトの目の端に明らかにこちらを殴ろうと構えられた拳が映り込む。

 その拳を警戒し、アソビトは攻撃を中断し、前足を踏ん張り、後方へと跳び去る。

 アソビトの考え通り、目の端に映りこんだ構えられた拳は勢いよく突き出され、アソビトの鼻先スレスレで止まる。

 バァルの攻撃を躱し、アソビトはまた攻撃へと転じる。目の前で止まった拳を双剣で跳ね除け、バァルの懐へと飛び込もうと、体を動かした。

 その時、アソビトの鼻先で困っていた拳は突如として開く。そしてそのまま、バァルは地面を蹴り、掌をアソビトへ近づける。

 突然の事で対応が遅れたアソビトの顔面をバァルは鷲掴みにし、振り上げる。地面へと狙いを定めたバァルはアソビトの後頭部を勢いよく地面へと振り下ろす。

 アソビトはバァルの腕が伸びきらないように首に足をかける。しかし、バァルはそれを見越していたかのように体ごと前方へ倒し、アソビトの地面へと叩きつける。


「ぐっ!」


 アソビトの声が漏れ出る。そして、頭部の衝突ダメージが入る。アソビトの52ほどあったHP(体力)は一気に6にまで減る。

 バァルはそのままアソビトの頭蓋を握り潰そうと手に力を込めるが、そうはさせないとアソビトに指の付け根を切られ、握る力が弱まる。

 一瞬弱まった手の拘束からアソビトは抜け出し、すぐさまバァルから距離をとる。

 アソビトはインベントリから回復薬を取り出し、瓶を蓋するコルクを口で外す。バァルから視線を外さず、コルクを抜き取ったアソビトは瓶の中身を一気に飲み干す。その間、バァルはただアソビトのことを待ち、その場に立ち尽くしていた。

 瓶の中身を飲み干し、アソビトは瓶を投げ捨てる。瓶は地面に激突するとまるで現実のように音を立てて割れ、ポリゴンとなって散っていく。

 バァルは待ち侘びたと構えを取る。それに釣られ、アソビトも構えた。その時、突然全員の耳を劈く様にガコンッ!と音が鳴り響く。

 その音に驚く観客一同とは違い、アソビトとバァルは音が鳴ると同時に飛び出し、剣とけんをぶつけた。

 コウは先程の音が気がかりになりながらも特に何も考えず、アソビトとバァルの戦闘を見ていた。

 バァルの拳を受け流し、アソビトはバァルの懐へ双剣を突き出す。その時、一瞬、ほんの一瞬だけ、アソビトの体が揺らぐ。

 本人以外気づきようがないほんの小さな体の揺らぎ、それは対戦相手のバァルですら気づかなかった。だが、アソビトの姉であり、相方であるコウだけはその揺らぎに気づいていた。


「……そういう」


 コウがボソッと声を漏らす。その声に気づいたからあげがコウに目線を向けると、コウは顎に手を当て、真剣な顔でメニュー画面を開いていた。

 コウはメニュー画面をポチポチと操作し、ひとしきり画面を眺めた後、メニュー画面を閉じた。それを見ていたからあげはコウに問いかけを投げた。


「何かあったか?」


 からあげの言葉にコウは頷きを返し、口を開いた。


「さっき、大きな音鳴ったでしょ?あれがなんなのかすごい気になってたんだけど、アソビトのことを見てたらあれがなんの音なのか気づいてさ、今タイマー付けたんだよね」

「タイマー?」

「そう、もし私の予想が正しかったら、1分経つとまたあの音がなると思う」


 そう話している間に、時間は刻一刻と進んでいく。

 そして、タイマー画面が1分を告げようとしていた。コウとからあげはそれを見てから耳を澄まし、音が鳴るかを確認した。

 タイマー画面の数字が00:01.00と表示された瞬間、コウとからあげの耳を穿つようにガコンッ!と音が鳴り響いた。

 予想が確信へと変わったコウとからあげは顔を見合せ、それからアソビトの方へと顔を向ける。

 バァルと激闘を繰り広げるアソビト、確実にバァルへとダメージを与えているが、その反面、体の反応がゲームのラグのようにほんの一瞬固まる時がある。

 そう、先程のガコンッ!という重々しい音は1分を告げる音なのだ。現時点で2回音が鳴っている、つまりあと3回鳴ればアソビトの本気が切れてしまうのだ。

 刻一刻と迫り来るタイムリミットにコウとからあげは少し不安になる中、アソビトはただひたすらに目の前の敵に攻撃を仕掛けている。

 その間にも時間は進み、00:01.30とタイマーが表示する。

モンハンワイルズ楽しすぎて止まらないんだけど

あと若干スランプ気味かもしれない

まぁ趣味だしマイペースで、いいですよね?

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