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フィーニス・ウィア ❖終焉の軌跡❖  作者: 朱華のキキョウ
1章 血肉啜る悪魔の元に
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70話 英傑の騎士は尚も誓い 弐拾伍

「──は?」


 アソビトの大剣がバァルの戦斧によって軽々しく弾き返される。それにより、アソビトの胴体ががら空きになってしまった。

 バァルはそこへ容赦なく戦斧を振り上げた。しかし、その攻撃はアソビトには当たらず、空振りに終わる。

 空を切り、頭上で静止する戦斧。それからバァルはゆっくりと横へ顔を向ける。そこには胸元を抑え、息を荒くしているアソビトが立っていた。

 息を荒立てるアソビトは冷や汗を流していた。


 ──あ……あぶねぇぇぇっ!!!〈グライド・ステップ〉がなかったら確実に死んでたぞ!


 手で抑えている胸元に目線を落とすが、傷口は無い。どうやらかすりもせずに回避することが出来たようだ。

 ホッと一息付きながらも、アソビトは大剣を構え、緊張感を噛み締めていた。

 防具の加算を抜けばDEF(防御力)が8しかないアソビト。それに加えてレベル差が250以上もあるせいでバァルの攻撃はほぼ全て即死。一撃も喰らうことは許されないのだ。


 ──ヘマさえしなければ今のところ喰らう心配は無さそうだが、如何せん油断ができん


 考え事をしながらもバァルにしっかり目を向けていたアソビト。次の一手がどう来るか考えていたアソビトだったが、バァルは戦斧を地につけ、両手を石突きに置いた。

 それを見たアソビトは大剣を肩に乗せ、いつでも回避できるように姿勢を低くした。


 ──もう8分以上戦ってたのか?なんにせよ、ここが1つ目の山場だ


 戦闘が開始されてから8分以上経過した。アソビトが何故そう思ったのか、それは作戦会議の終盤にまで遡る。


………………………………


「さっきギミックはないって言ったが、あれは撤回する」


 唐突なアソビトの発言にコウもからあげも首を傾げていた。


「撤回?なにか気づいたのか?」


 そう口にするからあげにアソビトは頷き、口を開いた。


「第2形態は恐らく時間経過がクリア条件になってる」

「時間経過?」

「あぁ。あいつには一定時間経つとしてくる確定行動がある。俺はそれに殺されてる」


 コウとからあげは顔を見合せ、それからアソビトへと顔を向けた。


「時間経過がクリア条件のゲームボスはよくいるし、可能性は高そうね」

「攻撃が効かないってんなら時間経過の線は濃厚だろうな。だが、その確定行動は戦闘開始どのくらいでしてくるんだ?」


 アソビトはバァルとの戦闘を鮮明に思い出しながら少し不安が残りながらも口を開いた。


「多分、8分くらいだったと思う」

「なんか中途半端だな」

「10分とかじゃなかったの?」

「うーん、10分はなかったと思うけど」

「とにかく、時間経過が第2形態のクリア条件って感じだな」


………………………………


 クリア条件が時間経過のギミック。攻撃が通らないボス戦、もしくは大量の敵が投入される殲滅戦などで多く採用されるギミックだ。

 一定時間が経過することでクリア、もしくは次の段階へと進むことが出来る。恐らくバァルにはそのギミックが採用されている。

 アソビトのギリ正確な体内時計が記憶した前回の一撃必殺の攻撃までの時間。今回はその時よりも少し早く感じているが、おおよそ8分だとアソビトの体内時計が告げている。

 バァルは正解だと告げるように戦斧を地面へ突き立てる。


「やはり、お前は我の最大の大敵……なればこそ、力を示さねばな」


 ──来るっ!


 戦斧を小さく浮かせたバァル。それを確認したアソビトは直ぐに体を後ろへ傾け、更に地面を蹴った。アソビトの体が後ろに軽く傾いたその瞬間、戦斧を小さく持ち上げただけのバァルは戦斧を構え、アソビトの眼前へと移動していた。


 ──これは、間に合わねぇっ!


 下から戦斧が振り上げられる。回避に間に合わないと悟ったアソビトは大剣を振り下ろし、戦斧を止めようとした。

 1フレームがあるかすら怪しい戦斧の一撃に大剣を合わせる。しかし、タイミングが合う訳もなく、大剣に力を入れる前に戦斧が大剣を弾き返していた。

 大剣は戦斧を止めれるわけもなく弾き返され、戦斧の刃はアソビトの体を切り裂く、そう思われていたが、予想を外し、戦斧はアソビトの胴体ギリギリを空振り、上部へ振り抜けた。

 大剣と戦斧が衝突した時、戦斧は衝突により軌道が若干ズレ、アソビトに当たらず、空振りに終わった。

 奇跡的に回避出来たアソビトは弾き返された大剣に体を持っていかれ、なんちゃってバク宙で着地し、すぐに大剣を構えた。


 ──まじっぶねぇ!何で今避けれた!?なんかわからんが回避成功!これで第2形態攻略だぜ!


 戦斧を空振ったバァルは戦斧を肩に乗せ、笑みをこぼした。


「いい……やはりイイな……」


 ボソボソと呟くバァルにアソビトは眉を顰めながら口を開いた。


「何ブツブツ言ってやがる、早くかかってこいよ!」


 バァルはその言葉に戦斧を肩から下ろし、姿勢を低く構えた。


「あぁ、言われなくてもそうするとも。少しならば、本気を出しても……いいよな」


 高揚に満ちたバァルの声はその場に置き去りにされる。

 バァルの次の攻撃を警戒しながら大剣を構えていたアソビトは急接近してきたバァルに大剣を振る。

 横から迫り来る大剣をバァルは簡単に弾き返し、アソビトへ戦斧を振った。


「〈エクス・ヴェーラ〉!」


 戦斧は一瞬の内にアソビトの胴体へ切りつけ、(×)を体へ刻み込んだ。

ネタはあるんだけどモチベが上がらねぇってばよ!

でも頑張って書くってばよ

1回書くの止めたら書く気が完全に失せる気がするから書くってばよ!

それと63話の最後少し修正しました

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