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フィーニス・ウィア ❖終焉の軌跡❖  作者: 朱華のキキョウ
1章 血肉啜る悪魔の元に
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51話 血肉啜る悪魔の元に 陸

「いい構えだ、強き者よ」


 霧の中でバァルは戦斧の軽く自分の元へと寄せる。バァルの目線の先、そこには大剣を眼前に構え、息を荒らしていたアソビトが立っている。

 眼を大きく見開き、全身から汗を滴らせ、呼吸で肩が上がる。そして、眼前に構えた大剣にはヒビが走っている。

 ガラガラと背後の壁が鳴る。その音に気を向け、顔を向ける気力すらアソビトにはないが、確実にわかっているのは1つ。壁には確実に巨大な亀裂が入っているということだ。

 亀裂はとんでもなく深く、亀裂の中にはアソビト達がと思ってきた洞窟が小さく映り込んでいる。


 ──なんだなんだなんだよ今の!?咄嗟に武器出したけど、俺防げたよな?生きてるよな!?


 アソビトは大剣から目を離し、バァルに目を向ける。バァルは先程と同様に戦斧を地面へとぶつけ、石突きに両手を置く。


「強き者、いや()()()よ。汝に問おう」


 バァルは戦斧を持ち上げ、アソビトへと歩みを進める。一方、アソビトは攻撃を受け止めた体勢で固まっている。


 ──足が竦む、恐怖を感じる、ここから逃げ出したい。体の底からそう感じるのに……


 目を閉じ、深呼吸を1回、過呼吸の中に挟む。それから目を開き、バァルに目を向ける。そんなアソビトの口元は凶器なまでに笑みを浮かべていた。

 それを目にしたバァルは少し歩みを止めるが、またすぐに歩き出す。

 2人の距離は近づきに近づき、目と鼻の先にまで接近する。

 背が恐ろしく高いバァル、目測でも2メートル半はあるだろう。アソビトはそんなバァルの顔を見上げ、バァルはアソビトの顔を見下げる。


 ──全くどうしてだろうなぁ……いや、そんなの分かりきってることか


 バァルは地面に戦斧を打ち付け、鎧の間から息を吐き出す。


「汝は何故ここへ来た」


 アソビトに問いが降りかかる。こちらへと向けられた問い、それを目にし、アソビトは鼻で笑った。


「なぜここへ来たか?そんなの決まりきってんだろ」


 ヒビが入った大剣を持ち上げ、肩へと置き、バァルに笑みを向けた。


「てめぇをぶちのめすためだ!」


 その言葉は真っ直ぐバァルへと飛び出す。言葉はバァルの耳を突き刺す。その瞬間、バァルの顔がピクッと動く。


「……そうか。ならば敬意を評し、その果し状を受けるとしよう」


 バァルは戦斧を両手で持ち、斜め上に振り上げた。それに合わせ、アソビトも大剣を反対側へと振り上げた。


「俺はアイツを倒す、その踏み台になってもらうぞ!」


 戦斧と大剣が同時に動き、ぶつかり合う。その間には火花が散り、爆風が吹き荒れる。

 ギリギリと音を立て、鍔迫り合うアソビトとバァル。互いに睨み合い、武器へと力を押し付ける。

 力が増す度増す度、火花を多く散らし、ガタガタと揺れる。そして遂にその鍔迫り合いは終わりを告げる。

 大剣を戦斧が押し切り、振り払う。後方へとノックバックしたアソビトへバァルはすぐさま追撃を仕掛けようとする。しかし、それは叶わずになった。横からゾルちゃんが割って入り、バァルに足の爪を立てる。


「汝にも相棒がいるとはなっ!」


 ゾルちゃんの爪を戦斧で受け止め、振り払う。そして追撃を行うが、空高く飛ぶゾルちゃんには当たらず不発に終わる。

 ゾルちゃんを見上げるバァルに大剣を振りかぶる。しかし難なく防がれ、カウンターに戦斧を振り下ろされる。

 それをギリギリで躱し、アソビトは反撃をする。それに合わせ、ゾルちゃんも攻撃を仕掛ける。

 眼前と頭上から来る攻撃にバァルは体を止め、戦斧を真下に向けて持ち上げる。そのまま地面へと強く殴りつける。


「ぬわっ!?」


 地面が割れ、アソビトを浮き上がらせる。体勢が崩れ、地面から飛び上がったアソビトの腹部目掛けてバァルは足蹴りを入れる。


「かはっ──」


 腹を蹴られ、後方へ突き飛ばされるアソビト。バァルはすぐに足を下ろし、攻撃を仕掛けてくるゾルちゃんへ戦斧を振り上げる。


 【ギャウァゥン!!!】


 ゾルちゃんの足に亀裂が走り、ダメージをかなり喰らう。

 一方、蹴飛ばされたアソビトは地面を転がり、壁に激突して停止する。23/52とHP(体力)が表示される。

 アソビトは立ち上がり、回復薬を飲む。瓶の中身を全て飲み、HPを49/52まで回復する。

 口を腕で拭いながら空瓶を投げ捨て、大剣を握り戦場に戻ろうとする。しかし、手に持つ大剣がもうボロボロなのに気がつく。


「耐久値残りわずか?マジか、確かにヒビ入ってるもんな」


 赤文字で強調表示される耐久値。大剣に走っていたヒビは先程よりも大きく、一部が欠けている。さすがにこのまま使い続けるのは得策では無いのは明らかだ。

 アソビトは〈黒淵こくえん赤紫狼剣しゃくしろうけん〉を装備解除し、〈ローデリア〉を装備し直す。


「頼むぜローデリア」


 柄を強く握り締め、アソビトは走り出す。

 ゾルちゃんへ攻撃を何度も仕掛けるバァル。ゾルちゃんは回避やガードを駆使しながらなんとかいなしてはいるが、着実にダメージが入っている。

 アソビトはそこへ飛び入り、大剣を振り下ろした。


「〈アンガード・ベリアル〉!」


 振り下ろされた大剣を戦斧で防ごうとするバァルだったが、なにかに気づいたかのように戦斧を引っ込み、横へとズレて回避する。

 大剣が地面に叩きつけられるのを確認し、バァルはアソビトの腕を掴み、ゾルちゃんの方向へと投げ飛ばす。


 【ガルゥ!】


 こちらへと飛んでくるアソビトを受け止めるゾルちゃん。受け止められたアソビトは目を開け、眼前の光景を確認する。

 そこには戦斧を両手で持ち、攻撃の構えをとるバァルの姿があった。


「ゾル避けろ!」


 【グルゥァ!】


 アソビトの指示通り翼を羽ばたかせ、バァルの攻撃が当たりにくいように飛ぶゾルちゃん。それを見たバァルは構えを変え、飛び回るゾルちゃんを確実に仕留めるべく大きく足を踏み出す。

 勢いよく突き出された足は地面を抉り、戦斧に全身の力を込めた。そして、それは放たれる。


「〈ギガント・ディアベル〉」


 ゾルちゃんの飛ぶ軌道を読み、バァルは戦斧を振り上げる。

回復薬の回復量は体力最大値の50%にしてるけどもしかしたら変えるかもしれませんしれっと

その時は「あ、変わったんだな」くらいのノリで

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