20話 血肉啜る悪魔の元に 壱
0章を削除して1章から話スタートにしました
少し困惑されるかもですがご了承のほどよろしくお願いします
煙草を吹かし、女性は明らかにアソビトを睨みつけていた。
「よォ、変態野郎。あの女について聞きに来たのかァ?後にしなァ、今は武器叩いてんだ」
金床の上で赤白く光る直剣に火造槌を振り下ろす。アソビトとレモンは顔を見合せたあと、女性に問いを投げかけた。
「えっと、あの女ってのはちょっとよく分からないんだが、ここは鍛冶屋なのか?」
アソビトの問いかけに女性は火造槌を熱された直剣に振り下ろしながら口を開いた。
「鍛冶屋、とはまァちと違うな。ここは酒場もやってんだ」
「酒場もですか?」
「あァ、酒好きな知り合いが居てなァ。そいつの希望で酒場も併営してんのさ。つっても、今や誰も来ねェ廃れた店になっちまったがな」
悲しそうな声をしているが、顔は全く感傷に浸っていない。女性は火造箸で直剣を掴み、水槽に浸された油へ焼入れする。
直剣から火が立ち上り、女性の咥えている煙草の先端を燃やした。その火には目もくれず、赤白く光っていた直剣の色が黒く変化したのを確認し、直剣を金床に置く。
真剣な趣きで直剣を眺めた後、火造槌と火造箸をハーディーログに置き、カウンターへと歩き出す。
カウンターに移動した女性は奥のホルダーから酒瓶を取り出しながらアソビト達に声をかける。
「ま、とりあえず座んな。質問は、あんたらが座ったら聞いてやるよ」
女性に案内されるがまま、アソビトとレモンはカウンターの席に腰をかける。それと同時に2人の前に酒と丸氷の入ったショットグラスが置かれた。
「さてと……それじゃ、質問を聞こうか?」
女性の言葉にレモンが口を開いた。
「あの、あなたは一体?」
「そういや、自己紹介忘れてたかァ」
女性は煙草の灰を灰皿に捨て、それから自己紹介を始めた。
「わーの名前は〈エスマ・アルモ・ケルン〉。エスマとでも呼んでくれ。見ての通り鍛冶師とバーテンダーを営んでる」
自己紹介を終えた女性、エスマは煙草を咥え直し、レモンに顔を向けた。
「じゃ、そっちの名前も教えてよ」
エスマの言葉にレモンは頷き、口を開いた。
「私の名前はレモンです。この方のパートナーをしています」
「で?パートナーの変態野郎の名前は?」
「その変態野郎ってのやめてくれないか?」
「まァまァ、そんな細ェことは気にすんなよ。で、名前は?」
アソビトはため息を吐きつつも、促されるまま自己紹介を始めた。
「俺の名前はアソビトで、レモンの言った通りレモンのパートナーだ。えっと、よろしくエスマ」
「あァ、よろしくアソビトくん。早速だけど質問される前に話そうか、あの女について」
明らかに変わった声色にアソビトとレモンに緊張が駆け抜ける。
固唾を飲む2人にエスマは息を吸い、ゆっくりと口を開いた。
「まァ、さっきの口振りからわかるように、あの女ってのはァ……ルキ、あいや、今はメレデヴェレデなんて呼ばれてるか。まとにかく、そいつのことだ」
アソビトもレモンも予想はしていた。エスマの口から呪いが受けたと出た時からうっすらと。だがそれ以上に疑問があった。
「なんでメレデヴェレデをあの女って呼んでるんだ?」
独り言にも似た問いが飛び出す。その時を聞き逃さず、エスマは口を開いた。
「それはまだ言えないな」
「え、今の流れは教えてくれる流れじゃないのか?」
その言葉にエスマは首を左右に振り、ショットグラスをもう1つ取り出し、酒を注ぐ。それを手に持ち、エスマはクピッも一口飲んだ。
「わーからしてみれば、それを教える資格はまだあんたには無いって事だ」
ショットグラスをカウンターへ置き、そう告げるエスマ。それに対し、アソビトは右腕を上げる。
「これを受けたぐらいじゃ資格なしって訳か」
「そうだ。その資格はまだあんたにはない。そこの嬢ちゃんにもな」
エスマはレモンを指差し、ショットグラスの酒を飲み干す。飲み干し、空になったショットグラスをカウンターへ勢いよく置き、アソビトとレモンの方へとそれを動かす。
そのショットグラスが止まると同時にアソビトの目の前にウィンドウが出現する。それにアソビトは目を丸くし、息を飲み込んだ。
「だが、その呪いをあいつから受けたんだ。それをわーが見逃す訳にャ、いかねェ。だから、1つチャンスを与えてやるよ」
アソビトの目の前に出現したウィンドウ。それは〈エスペント・ドゥオ〉へ向かう前、〈ウーナ・レイデア〉で出会った犬と猫とが継ぎ接ぎに繋がった城の使い、エルガに連れられた場所を統べていた王エネミー、ミラナカーラ・エスガルフェンから受けた物とよく似ている。
だが、そこには〈特別任務〉とは書いていなかった。
[〈原初任務〉、〈血肉啜る悪魔の元に〉が解放されました]
〈原初任務〉、そんな聞いたことも見たこともないシナリオが今アソビトの前に現れる。
ゲームがリリースされてまだ2日。今までこんなにも隠し要素を易々と見つけたことの無いアソビト、今世紀最大の幸運が降り掛かっている。
「……〈原初任務〉?」
説明も無しに突きつけられるシナリオ開始合図。アソビトは混乱しながらも〈開始〉を押した。
[〈原初任務〉が開始されました]
そのアナウンスが終わると、エスマはアソビトの顔を見るなり笑い、ショットグラスを自分の元へと引いた。
「何も分かってねェって顔だな。ま、難しい話じゃない。わーが言うことを成し遂げられたら資格ありって認めてやるよ」
そんなことを口にするエスマだが、アソビトはまだ少し困惑している状態だ。それを目にし、代わりにエスマが言う成し遂げなければならないことを聞くレモン。
「その、成し遂げたらというのは、具体的に何をすればいいのですか?」
レモンの言葉にエスマは懐から新たな煙草を取り出し、口に咥えてから答えた。
「〈暴喰の誓言 ヲクテルース〉の討伐だよ」
マッチで煙草に火をつけ、煙を吐きながらエスマがそう、口にした。
お願いしますタイトルパクリ言わんといてください
リ、リスペクトっすよリスペクト




