屋根裏のおふだを貼られた呪いの日本人形がチョロい
ガタッ!
暗闇の中。屋根裏の入り口が開く音がして、畳まれていた収納階段が降りていった。開かれた扉から入る光がこちらにまで届き、眩い。何年振りの明かりだろう。すると。
「すっげー!秘密基地みたいだ!おばあちゃん、ここにそのお人形さんがあるの?」
階段の下から小僧の声がして、階段を登ってくるような音がした。そして。
「わぁ~真っ暗!ライトつけないと見えないなぁ」
小僧はそう言って、手に持っていた『らいと』とかいう灯りをつけたのだろう。そのらいとの灯りが点いた瞬間、私はその灯りに照らされた。
「あ!これか、おばあちゃんが言っていたお人形さんは。へ~…綺麗だなぁ」
小僧はそう言って、わしを持ち上げた。
そうじゃ!その調子で、わしの体に貼られたこのおふだをはがすのじゃ!
「これかな?おばあちゃんが剥がして良いって言ってたのは」
小僧はそう言いながら、わしの体に貼られたおふだをぺりぺりと剥がしていった。
そして。
「ふふふ…」
体に貼られたおふだを剥がされたことにより、わしにかけられていた封印が解かれた。
「わしは呪いの日本人形じゃ。小僧よ、わしの封印を解いてくれたことを感謝する。封印を解いてくれたんだ、貴様のことは呪い殺したりせん。それよりも、あのババアじゃ!わしをこんなところに閉じ込めおって。何十年も苦しみ続ける呪いをかけてやろうぞ!」
わしは小僧の手から離れ、ふわふわと宙に浮きながら哄笑した。小僧もわしのこの姿を見て、さぞ驚いていることだろう、そう思ったが。
「すげー!お人形さんカッケー!」
「は?」
小僧は眼を煌めかせながら、わしに向かってそう言った。
「ねえねえ!それどうやって浮いてるの?僕にもできる?」
「え?いや…これはわしだからできるのであって、貴様には無理じゃよ」
「そっか~…僕には無理なのかぁ。お人形さんすごいなぁ。綺麗だしかっこいいし、僕お人形さんのこと好きになっちゃったよ!」
にぱっと微笑みながら、小僧は言った。
「好!?な、何を戯けたことを!?わしはそんなこと言われても嬉しくなんかないからな!」
呪いの人形として作られて何百年。「怖い」とか「気持ち悪い」なら数えきれないほど言われたが、好きと言われたのは初めてだった。
「ねえ、僕と友達になって下さい!」
「友達!?何でわしが貴様と…でもまあ、貴様がどうしてもと言うのならよいぞ」
「わーい!よろしくね!」
わしは一体何を…でも、友達、か。何だか悪くない響きだ。