パーテイー!参加?
イーってつければ良いと思ってるのは、否めませんが開き直っていますので、ご容赦ください。
「アレは駄目ですわね、会話にすらならなかったですわ。」
「まぁ、あなたも?私もなんですの。せっかくみすぼらしい顔に我慢して話しかけてあげましたのに、こちらの顔も見ず、何を言っているのかも分からなかったですのよ。」
「まぁ、今回の召喚では他にも良い方々がいるようですので、そちらと縁を結べたらよいのでは?」
「そうですわね、神宮寺様は勇者たるに相応しい華をお持ちのようですし。」
「あら、あなたは神宮寺様?私は郷田様も惹かれますね。」
ご令嬢達の好き放題の評価を聞きながら、周囲を観察する。壁際に騎士が配置されていて警備を担っているようだ。あまり近づかないほうがいいだろう。令嬢も多いが普通に貴族も多い、人が群がっているところには勇者の神宮寺やクルセイダーの郷田、賢者の相川がいるみたいだな。女性は神宮寺と郷田に、相川のところにはイケメン貴公子たちがワラワラと群がっている。
人はそれほど集まっていないが、皆が気にしている雰囲気を出しているのがプルメリア姫のところか。話に行きたいが人を寄せ付けない雰囲気を醸し出している。側近がはべっているだけか。行ってみるか。
「さすがの人気ですな、姫様。」
「ええ、勇者に賢者にクルセイダーですから。フフ、明日の鑑定がさらに楽しみになりました。成果としてはもう余りあるものですが、欲が出てしまいますね。」
「これも姫様の日頃からの、信仰の賜かと。」
「それだと、あの称号なしと盗賊の理由がありません。」
「光あるところには、影もまた存在するものですよ。」
「含みのある言い方ですね。」
「影もまた使いよう、ではないかと。」
好き勝手言ってるが、それはいいか。やはり俺たちは疎まれているようだ。権力者っていうのは本当に庶民のことなんか考えてないもんだな。他のとこにでも行くか
ゾクッ
背後から視線を感じて、振り返ると壮年の男がこちらへ歩いてきている。まさかと思ってゆっくり右に移動すると真っ直ぐこっちに来てやがる。
しかも、めっちゃ見てる。瞬きしてないんじゃないかってくらい見てる。
くそっこんなとこで見つかるのは本意じゃない。
ゆっくりと後ずさり、プルメリア姫を挟んで一直線になるように位置を取る。
「おや、珍しいですね。あなたがこちらへ来るなど。」
「!?これは姫様、今宵もお美しい。」
「それで私に何かお話でも?日頃から避けられているような気がしていましたのに。」
「避けるなど、そんなことはありません。私のような粗忽者では気分を害されてしまうのではと思い遠慮しておりました。」
「フフ、そのようなことはありません。あなたの騎士団はいつも民のために動いてくれています。そのような忠臣に対して気分を害することなどありませんよ。そうそう、今回は勇者殿の他にも優秀な称号持ちがいますので、機会があれば指導していただければ助かります。」
「・・・機会があれば、いくらでもさせていただきましょう。」
危なかったなぁ。
あの男、真っ直ぐにこっちを見て視線も外さなかった。違和感は感じてたようだけど、視線を外さなかったってことは外すと見失うだろうと思ったが当たりだったようだ。あんな真っ直ぐ瞬きもせずに近づいてこられたら怖いわ。色んな意味でヤられるかと思った。勘弁してくれ、阿部さん。
あんなやつがいると分かった以上、早々に退散するしか無さそうだ。俺に気づくのが1人だけとは限らんからな。
バルコニーに戻ると織田くんがどこぞの令嬢に絡まれてたが、これは放置だな。
バルコニーから降りると、そのまま装備品の包みを抱えて厨房の材料搬入口に戻る。誰にも見られずに中に入りワゴンの中に装備を隠す。
ちなみに武器類はない。剣や槍は流石に怪しい。厨房に必要ないものだし。衣類と革鎧程度はワゴンの下の空きスペースに入れてたらごまかせる。
忙しそうな厨房の物陰までワゴンとともにゆっくり移動して、そこで光学迷彩をオフにする。
はい、裸の男が現れました。
食べ物を扱う場所には不釣り合い、というか一部不衛生だと思われるので、さっさと拝借した衣類と装備を身につける。
こっちに世界にも「装備は身に着けないと意味がない」と教えてくれる人がいるのかもしれない。身につけなければ裸の人だったね。
「すいません、詰め所から食事を受け取るように言われてきました。」
「はぁ?そんなの聞いてないぞ?」
「そうは言ってもこちらに来るよう言われましたので、騎士様8名分の食事と聞いています。」
「騎士様用か、ならこっちであってるんだが・・・ちょっと待ってろ。」
コックみたいなやつが2つ大きめのバスケットを持ってきてくれた。ワインまでついてるのか。仕事中に飲むのかな?
「ほら、ワインも付けといてやる。これで文句を言われることはないだろ。」
「ありがとう、助かります。せっかく持ってっても文句言われたら溜まったもんじゃないですから。」
「ちげーねぇな、あいつら態度だけはデカいからな。ほら、受け取ったなら行った行った、こっちも忙しいんだ。」
追い立てられるように厨房をあとにして、元いたフロアに戻ると、見張りの兵士たちはまだ愚痴を言い合っていた。監禁部屋の方を気にした様子もない。職務怠慢も甚だしいが、こちらとしてはありがたい。
「よう、見張りご苦労さん。」
「んぁ?なんだ?」
「あぁ、あいつらに食事だとよ。」
「は?そんな気遣いできるやついたのか。ちっ!」
「そんなこと出来るのは第4騎士団長くらいじゃねーか?」
「あぁ、あの人くらいだな。ほかはクソだ。」
「おいおい、誰が聞いてるか分かんねーぞ?」
「お前は言わねーよな?」
「言うわけってか言える無いだろ(第4騎士団長、覚えておくか)。」
「で、その騎士団長様がお呼びだ。中の奴らの様子を聞きたいんだと。」
「様子も何も、口だけで何も出来ない奴らだぞ?何話せば良いんだ?」
「さぁ?俺はそいつら知らんし(本人だけど)、印象とかでいいんじゃないか?あと、戻ったらあんたらも食べてくれってさ。」
「うぉっワインもあるじゃねーか!それにこんな豪華なの、いいのか?」
「今日はパーティなんだしいいんじゃないか?俺も同じの食べたし(正確には今からな)。あと、ここは俺が見てるから二人で報告に行って来てくれ。」
「お前一人になるけどいいのか?」
「そもそも扉見てるだけなのに二人もいらんだろ。」
「それもそうだな。じゃ、頼むは。」
「あぁ、任せとけ。」
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