園遊会 1
二週間という驚異的な準備期間の短さを、エレクトラと手の者達はしっかりとこなしてみせた。
招待をうけた貴族は無理矢理といってよい日程の調整をはかり、園遊会に参加する旨を返事した。
公爵家の後ろ楯無しにはろくに参加者は集まらなかっただろう。レイザーが招待状を出したとしても、こう上手くはいかなかったはずである。
また招待状には『王家内々の行楽ではあるが特別に』との文言が書かれていた。
特別という言葉に人は弱い。
自分は王家に重要視されていると錯覚する。
実は要職にある者達はこの園遊会に招待されていない。彼等には先に話を通してあり、『位の低い者達』を楽しませる会である事を伝えていた。
要職の者達については別に晩餐会などを開いて招待するつもりであった。
「おぉ!盛況だな、皆が楽しんでくれる事を願うぞ」
レイザーは周囲から持ち上げられる事が好きな質である。
短い準備期間にもかかわらず参加者の多い事を単純に喜んだ。
しかも参加者は皆、普段レイザーと話を交わす機会に乏しい者達だ。皆次々にレイザーの許へ顔を出しては謝意を述べる。
レイザーは上機嫌であった。
……エレクトラの采配の妙と謂える。
「なんとも……賑やかですな、兄上」
「うむ、皆が喜んでいる。ここは一つ大物を仕留めなければな、腕が鳴るぞ……どうしたブラスタ?浮かない顔だ」
(貴様の能天気さ加減のせいだ)
「いえ、これだけの参加者ですと猟場の獲物が狩り尽くされそうだ、と」
「はははっ面白い事を。なに、狩りには半分も参加せぬよ。皆、行楽気分だ」
実際、集まった者達は文官が多い。それにその妻子である。
腕に覚えのある者もそれなりには居たが、大部分は狩りの後に開かれる夕食会──狩りの獲物を食材にした──を期待している手合いだ。
「さてブラスタ!どちらが多く仕留めるか。賭けるか?」
「……何をです?」
「そうだな……王冠はどうだ?」
「何をバ……いえ、お戯れが過ぎます」
「ははは!冗談だ。そうだな、この剣でも賭けるか」
二人が話しているところへ、クリスタとルチルが現れた。
「兄上、今日はお招き頂きありがとうございます」
「おぉ二人とも来たか。待っておれ、獲物をたんと仕留めて食わせてやろう。滋養をつけて元気になれ」