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毒蛇の巣  作者: CGF
11/29

園遊会 3


ブラスタはレイザーと共に、勢子せこが鹿を追い立ててくるのを待ち構えていた。



既に鹿四頭、兎六羽を仕留めている。



「今のところ同数だなブラスタ。いやいや、お前がここまでやるとは思わなかった」


「……私とて王家の男ですから。時間的に次の追い立てで決着がつきましょう」



ブラスタはレイザーの弟ではあるが同時に臣下の立場に位置する。継承権一位とそれ以下では明確に差が出る。


ならば臣下たるブラスタは次の一射を外し、レイザーに花をもたせるのが常道だ。




しかし、この阿呆に負けるのかと思うと業腹というものだ。




そう思っていると、茂みが音を立てて揺れた。二人は弓につがえていた矢を引き絞る。




「はっ!」「やっ!」




同時に二本の矢が飛んだ。



現れた一頭の雄鹿にそれぞれの矢が突き立つ。


雄鹿は暴れ回り駆け出していく。



「追うぞ!」



勢子達を引き連れ鹿を追う。しばらくして雄鹿は走るのを止め、ふるふると震えたかと思うと、どおっと倒れた。



倒れた鹿の胸と腹に矢があった。


胸に刺さった矢を見れば、矢羽はブラスタのものだった。ブラスタの矢は見事に雄鹿の心臓をとらえていたのである。



「はははっ!これはブラスタの勝ちだな、見事な一矢だったぞ」



レイザーは屈託の無い笑顔を弟に向けた。



(コイツ…負けて喜んでいるのか?)


「……王冠を賭けずに良うございましたな?」



つい、ブラスタの口が不敬な言葉を吐いた。反骨の気分がそうさせたのだった。


聞きようによっては処罰の対象である。



「はははははは!……俺はそれでも良かったがな」



大笑いをした後、レイザーはぽそりと呟いた。ブラスタが目を剥く。



「この国の王など、どうせ操り人形だ。あっちの手で踊り、次はこちらの手で踊る」


「……」


「父上が俺の不行状を諌めないのはな、『玉座に期待などするな』という事だ。今のうちに遊んでいろという事さ」



いつも馬鹿笑いを顔に貼り付けているレイザーが、冷めた目でブラスタを見ていた。


ブラスタは声が出せない。



「腹が減ったな、さぁ妹達のところへ戻ろう!お前も腹が空いただろう?」



レイザーが皆に声をかけ、一行は帰途についた。



「よしブラスタ、野原まで競争だ!」







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