私、異世界に転移しちゃった!?~女子高生の一日〜
ジリリリリリ
目を覚ますとそこは、薄暗い洞窟の中だった。
「どこよ!ここ。
もしかして私、異世界転移しちゃった!?」
周りを見回すと明かりがある。
立ち上がってそちらの方に向かうと
明かりを放っていたのはランプだとわかる。
ただ、明かりが小さすぎてこれでは役に立たない。
「どうやるのよ。これ。」
ランプを弄っていると、
明かりが洞窟内に広がった。シャー
「うわっ。」
眩しい。暗闇に慣れていた目に
いきなり強い光があたってたじろぐ。
段々慣れていき、徐々に目を開けると
そこにはモジャモジャがいた。
いや、そこにいる魔物の名前とかじゃなくて、
文字通りモジャモジャしたなにか黒い物体。
「うわー。最悪。こんなの倒さなくちゃいけないの。
水よ。水。水があれば倒せるんじゃない。」
ドタドタドタ
わたしは思いつきで水を探しに
洞窟内をウロウロする。
「あったわ。これでもくらえ!!」 ジャー
「はあ、はあ。やったかしら。うわっ」
モジャモジャはまだこっちに向かってくる。
気持ち悪くて近くにあった松明を
モジャモジャに向けブンブン振りまくる。
「いや、こっち来ないで―!」ブォォォ
モジャモジャは松明を怖がったのか
徐々に後ずさりをしていなくなっていった。
「や、やったの?はあ、しつこかった。」
安堵したのも束の間、
また次の魔物がやってくる。
今度は顔がないなにか。
「ひぇー。何よ。
こいつのっぺらぼうじゃない。
こんなのもいるの?」
何か、攻撃ができそうなものを探す。
もう何が効くかわからないから、
そこらへんにあるものを手当たり次第投げつける。
「おりゃぁぁ。これでもくらえー!!」
パン、パン。スー。スー。
顔をあげるとのっぺらぼうはいなくなっていた。
「ふん。朝飯前だわ。
って、早くこの洞窟からでなくちゃ。」
洞窟を進んでいると、
目の前にオークが見えてくる。
「やっと、異世界っぽいものが出てきたわ。」
ただ、倒せそうもないから、
気付かれないようにそーっと通りすぎる。
通り過ぎる時、なんだか独特の臭いがした。
「うへぇ。あれには近づきたくないわ。」
ドタドタドタ
こちらに気付いたのか、背中に視線を感じる。
ただ、オークは追ってはこなかった。
「出口はまだかしら。早くここから出たいのに。」
そんなことを思っているとものすごい気配がする。
後ろを振り向くとオーガがいる。
私は一心不乱に走った。
「あんなのに敵うわけないじゃない。
逃げるが勝ちよ。」
怖いもの見たさに後ろを見ると、
ブツブツ何か呟きながら近づいてきていた。
「っ!!」
速度を上げた。はやくはやく。光が見えてくる。
「もう少し、もう少しだ。頑張れ私!!」
バァン
どうやら外に出られたみたい。
オーガも追ってこないし撒けたみたい。
「はあ、やっと出られたわ。たくっ。
あのオーガ。しつこいったらありゃしない。
それにしてもどこに向かえばいいのかしら。」
キョロキョロしていると、町らしきものを見つける。
「いく当てもないし、
とりあえずあそこに向かおうっと。」
やっと町に着いた。
行く途中、ケロべロスに威嚇されたり、
ゴブリンがウロウロしていたりしたが、
襲われることがなかった。
町に着くといい匂いがしてくる。
私はその匂いに釣られて匂いのする方に
向かってしまう。
「美味しそうなものがありすぎて
買いすぎちゃったわ。」
そうこうしていると立派な建物が見えてくる。
「うわー。お城ね。見にいってみようっと。」
ダッダッダッ
早く間近で見て見たくて走ってしまう。
城の前には体格のいい傭兵が立っていて、
城を眺めているとこっちに気付いたのか
話しかけられた。
「おい、お前。遅いぞ。早くこっちに来い」
なぜか城の中に連れられて行く。
「私何もやっていません。
だから離して。いーやー。誰か助けて―。」
私が通り過ぎた道は太い一本の線ができていた。
つれて来られたのは、拓けた広場だった。
そこには国民が集められていたのか大勢人がいた。
一人の女の子に話しかけられる。
「大丈夫?ほら、あいつ力強いし、
無理矢理連れてくるでしょ。」
どうやら心配してくれているらしい。
「うん。手首がちょっと痛いけど、なんとか。」
「うるさいよ。
そろそろ始まるんだから静かにしろよ。」
何か怒られちゃった。
何なんだあいつは。ていうか始まるって何が?
目線をあげるとそこには王様が立っていた。
「おはようございます!!~~~~~~~~~~」
どうやら、王様の有難~い言葉を聴きに
国民が集まっていたらしい。
でも、私は王様の話が右から左に流れていく。
眠気が出てきて自然と目蓋が落ちる。
「ちょっと、ちょっと、起きて。」
「ううううん。」
目を開けるとさっき私のことを
心配して話しかけてくれた子がいた。
「やっと、起きた。ほらいくわよ。」
手を引っ張られる。どこにいくんだろう。
私たちは、町を巡回していた。
どうやら彼女に傭兵だと勘違いされているみたいで
町の様子を見て回る仕事をしている。
まあ、することもないし、いいか。
「はあ、つまんないなぁ。
早く午後にならないかしら。」
朝も食べてないから、お腹も空いてきたし。
さっき買ってきたものを取り出す。
「うん、つまんないね。そうだ。これ食べる?」
「くれるの?ありがとう。」
そんなことをしていると、
偉そうな傭兵が近づいてくる。
「おい、お前。何食べている!?
仕事中だろ。これは没収だ。」
私の食料がとられてしまう。
「朝食べて来なかったんです。どうか勘弁を~~。」
頭を下げる。でも、返してくれなかった。
「ダメだ。」
そう一言いうだけいって
さっきの場所に戻っていった。
「んー。少しぐらいいいじゃない。
この頑固親父が。」
突然、その男は振り返ってくる。
「なんか言ったか。」
「いえ、何も言っていません。」
敬礼しながら、答える。
「そうか。」
はあ、危なかったぁ。
隣にいた子がクスクス笑っている。
その子は上手に隠して没収を免れていた。
「あんた、気づいていたでしょ。
なんで教えてくれないのよ。」
「おもしろそうだったから。」
「なんだってー。」
その子と話しているとまた、注意される。
「おい、そこ私語は慎め。」
「うぬぬぬ。」
「そんなに怒らないで。
ほらこれあげるから、機嫌治して、ね。」
いや、それ私があげたやつだし、
と思いながらもまた注意されるのは
癪なので声はあげなかった。もらうけれども。
「貰うんかい。」
小声でその子は呟いて、口を押えていた。
鐘の音がする。
「お昼ご飯ね。いきましょう。」
どうやら、お昼を告げる鐘だったらしい。
二人で近くのご飯屋に入る。
美味しそうなものが多すぎて選べない。
「ええと、これと。これ。
それから、これ。あとはデザートにこれね。」
「ちょ、ちょっとそんなに食べきれるの?
さっきも食べてたじゃない。」
「それとこれとは別よ。
それに誰かさんのせいで没収されちゃったし。」
彼女は
「いや、あれは私のせいじゃないでしょ。」
と突っ込んでくる。
料理が続々と運ばれてくる。
ご飯を食べながら、愚痴を言い合った。
「でもさ、ほんとにあの頑固親父、
融通利かないよね。」
「ほんとそれ。
お腹空いてたんだから仕方ないじゃない。
見逃してくれてもいいじゃん。」
「ねえ。そういえば、
あいつ、彼女と喧嘩したらしいよ。」
「そうなんだ。
・・・もしかして、そのやつあたりで!?」
「いや、それはないと思うけど。
んんっ。あんなに融通効かないから
愛想つかされたんじゃない。」
「ありえるわー。」
彼女は何か思い出したのか急に立ち上がった。
「ごめん。私用事あるんだった。先いくね。」
残ったご飯をかき込んで去っていく。
私のテーブルにはまだ、大量のご飯が残っていた。
「さすがに頼み過ぎたかしら。」
お腹がパンパンに膨らまし、ご飯屋を出る。
「ううう。食べ過ぎた。
もう入らないわ。あそこで休憩しよう」
ベンチに座って休憩する。
風が冷たくて気持ちいい。
お腹も段々楽になっていった。
ぼーっとしていると、
どこからか声がした。声がする方に顔を向ける。
そこには、私好みのイケメンが立っていた。
「あ、ここにいた。」
私に声をかけているらしい。
やばい、涎垂れてないよね。
髪の毛も大丈夫。
顔は・・・確認の使用がない・・・だと。
「何してんだよ。遅れちまう。はやく行くぞ。」
えっ。何々。手つないじゃってるんだけど。
てかどこに連れて行くんだろう。
もしかして、人気のないところで告白とか。
キャー。どうしよう!?
そんなことを考えていたが、どうやら違ったみたい。
つれて来られたのは、王様が話していた広場だった。
その時よりは人は少ないが、何人か集まっている。
「はあ、間に合った。ほら、お前はあっち。」
手を離されて、
私が行くべき場所に指を向ける。
もうちょっと、彼といたかったが、
しぶしぶ彼が指指した方向に向かった。
そこにはご飯屋を先に出ていった彼女がいた。
「あっ。やっと、来た。ていうかどういうこと!?
彼と手繋いでくるなんて。詳しく教えなさいよ。」
「何でもないわよ。」
私は彼女から視線をそらして、
ちらっと彼の方を見ると、
あっちもなにやら、ちゃかされているようだった。
そんなやり取りをしていると
城門の前に立っていた体格のいい傭兵が姿を現した。
「おい、始めるぞ。集まれ!!」
これから訓練が始まるみたい。
やだな。運動苦手なんだよな。
「今日は槍投げをする。」
槍投げ!?いやいや、なんで槍投げ。
「ほら、ぼーっとしてないで、槍持ってけ。」
しぶしぶ槍をとってくる。重っ。
投げられる気がしない。
「ふふふっ。ついに私の力を見せる時が来たわ。」
彼女が楽しそうにしている。
「よくやる気出るわね。」
「だって槍投げよ。
テンション上がらない方がおかしいよ。」
「そ、そうなの?」
彼女のスタンスが分からなかった。
あんなに楽しそうにしているだけあって
めちゃくちゃ飛ばしていた。
「記録、55m43」
「やったー。自己ベスト更新だわ。」
「嘘でしょ!?」
その他の人たちも彼女まではいかないが
なかなかの距離を出していた。
私の番が来る。ああ、もう為せば成るよ。
「ええーい!」
「記録、7m37」
「おい、怠けてるのか。
ちゃんとしろ。ちゃんと。みんなを見習え。」
いや、頑張ったほうでしょ。
周りがおかしいのよ。
そうこうしていると、彼の番がやってきた。
私は手を組んで見守る。頑張れ。と心の中で叫んだ。
彼が槍を投げた瞬間、
ガンっという音がして意識がなくなっていた。
私はベッドの上にいた。
「ここどこ?」
すると、色っぽさがにじみ出ている女性が顔を出す。
「目が覚めた?ここは医務室よ。
あなた、頭に槍があたって倒れたのよ。」
話しを聞くと、
周りに槍で遊んでいた奴がいて
それが私にぶつかったらしい。
あぶなっ。下手したら死んでたじゃん。
「幸い、軽症でよかったわ。
でも、念のため、病院にもいくのよ。」
軽症だったんかい。
「はい。わかりました。」
女性と話していると、放送が流れてくる。
どうやら私が呼び出されているらしい。
呼び出されたところに行くと
さっきの体格のいい傭兵が
申し訳なさそうな顔をして待っていた。
「いやー。済まなかったな、
俺がいながら。それと・・・」
謝られた。それに任務を仰せ付かる。
洞窟にいるオーガを倒してこいと。
「いやいや、無理無理。
あんなの倒せないよ。バックレようかな。」
町を物色する。バックレるわけじゃないのよ。
装備を整えようと思っただけで。
「よし、これぐらいでいいか。」
準備を終え、洞窟へ向かう。
町を出たのは日が申し訳程度に出ている時だった。
「着いたぞ。」
装備を確認する。
十分な確認を終え、
意を決して足を進める。
バァン
洞窟に入ると、
そこには仁王立ちしたオーガが立っていた。
「あはははは、洞窟に入ってすぐに
ラスボスとかどんな無理ゲーよ。」
オーガはなにかブツブツ呟いている。
「こうなったら仕方ない。
最終兵器を出すしかない。えいっ。」
私はプリンを取り出した。
不発だった。プリンで惹きつけて
倒すつもりだったのに。
「くっ。手強い」
オーガは私の耳を掴んで引っ張っていく。
「い、いてててててっ。や、やめてー。」
洞窟に私の声が虚しく響いた。
私は牢屋にいれられ、正座させられる。
そしてオーガは何かブツブツ永遠と喋っていた。
私の持ってきたプリンを食べながら。
それに飽きたのかオーガは呟くのをやめ、
この場を離れる。
「はあ、やっと解放されたー。」
重たい雰囲気から解放されて
伸び伸びできたのも一瞬だった。
オーガがまた戻ってきた。
何か食べ物を持ってきたのだ。
それを私に差し出してきた。何とホワイトな。
オーガはこっちをじっと見つめてくる。
「お、美味しいなぁ。毎日でも食べたいなぁ。」
オーガはその言葉に満足したのか視線を外し、
この場から去っていった。
「ふう。焦ったー。
今の失敗したら確実に殺されていたわ。」
そのあと、オーガは何かに夢中になっていたので、
隙を見て私は牢屋を抜け出した。ガハハハハッ。
オーガの笑い声に身震いする。
私は牢屋から出て、
奇しくも罠にひっかかってしまった。
上から温かい液体が降ってくる。
サァー
「なによこれ。」
進めど進めど、謎の液体は降り注いでくる。
たまに妙な泡が出てくる。
やっと終わったかと思うと、
今度は泥沼にはまってしまった。
「ううう。抜け出せないよ。」
ジタバタするもなかなか出ることは出来ない。
やっとの思いで抜け出せても
また罠が仕掛けられていた。熱風だ。
ブァァァァァ
「あっつ。」
耐えられないほどではないけど、
たまに熱すぎる時があった。
それに、いつからそこにいたのか
オークの視線を感じていた。
私は無視をして進む。
ドタドタドタ
「はあ、もう無理。私にはオーガは倒せない・・・」
ヴォフ。
私は意識を手放した。
「はー、楽しかった。
今度はどんな設定にしようかな。」