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東京の次は大阪か、次はどこだろうね?

なんか、やたら会話が多くなってしまいました


「外国に比べると大阪って原型留めてる建物多く無いか?」

「ビルやらマンションやらは軒並み根こそぎだけど、古い民家や寺とか神社はほとんと手付かず」

「寺が無傷で隣接の墓地や駐車場が被害とかあるな」

「金属、コンクリ、石は回収、木材スルーか?」

「まあ、結局のトコ、家電とかあるトコは最終的には被害に遭うだろうけど」

「どっちのパターンかな、一定エリア根こそぎか、資源的に大物を優先か」


 有馬の両親のダンジョントライも無事に済み、マンションの自治会まで時間があるので、有馬と連れ立って東京の次に宇宙人の襲撃を食らった大阪を見物……もとい偵察に来ている。

 周囲のビルの被害に比べて極端に手付かずな適塾で一休み。

『花神』読了済みの俺としては緒方洪庵旧宅と言うより、適塾と言った方がしっくり来る。

「このせまっ苦しい階段を豆腐と酒持って蔵六が上がってたのか」とか、読んでから来ると印象が全く違うな。知らなきゃ「狭くて急で怖い階段だな」で終わり。


「どちらにしても俺らの街に来るのは相当先になりそう」

「航空機やヘリは飛行中だろうが相対速度ゼロにして回収されてるしなぁ。宇宙人的に優先回収対象みたいだな。そうすんと米軍空母も時間の問題か」

「中の人間は要らないゴミ扱い……時々、落としてくだろ円盤や母艦が」

「案外、アフリカ、その中でも近代化が進んでない国の被害が一番小さいかもな」

「アマゾンも石油関連周り以外は手付かずで終わるかも」


 産業レベルだと効率ということも重要になるため、もしかすると一定レベル以下の市町村では被害が皆無などということもあり得るな。


「もしかするとウチの町にはそもそも来もしない可能性すらあるが、それでも国の中枢や、周囲の大都市、諸外国が壊滅だと、どう頑張っても今まで通りの暮らしは無理」

「今はまだ平気だけど、宇宙人よりヒャッハー勢の方がヤバいかもな?」


 その辺徘徊してる宇宙人のメカに、二人して落ちてる屋根瓦をぶつけて遊んでいると、なんか子供時代に戻った様な気もする。

 河原で水切りしてた時みたいだな。


「ホント、ノーリアクションだな。俺のは当たっても大したダメージになってないけど、お前の投げた瓦で機能停止してるメカ居るだろうに」

「認識疎外だのステルスだの無しに円盤、東京湾に落としたけど、ノーリアクションだったもん。さすがに母艦落とせばなんか反応あるかな?」

 冗談半分で言うと有馬が血相を変えて止めて来る。

 いや、何時かはやらなきゃなんだから、今やってもいんじゃね?

 地上に来てるのは無人ばっかだけど、衛星軌道上とか、太陽系内とかに有人の大型母艦あるかもしれないじゃん?

 反応見て見ないとだぜ?

 完全オートでも採算ベースに合わない被害出たら撤退する可能性もあるし……。


「物凄く頑丈なだけで、武装らしきものが全くと言っていいほど無いからな、宇宙人」

「なんか、外国じゃ自国の武器や兵器のせいで死ぬ人間の方が多いんじゃないの?」

「自衛隊は戦闘より避難誘導、救助優先してるな」

「鉄道が資源的に美味しいのか、かなり優先的に狙われてるのがね、住人避難でネックになってるよな」

「船とか車とかも回収対象だし、現時点で都市部に居る人間はどこにも行けないだろ、これ?」


 開けた場所への避難誘導はかなり進んでいるようで、この辺にも残っている人間は居ないけど、仮設住宅を急造したところで、それが回収対象にならないという保証も無い。

 さすがにテントレベルなら平気だろうが、それで長期生活というのも現代日本人には厳しい。


「ちょっと実験してみるかな?」

「おい、物騒なことはやめろよ?」


 いや、侵略の遅滞にダンジョン使えるかなと……フィールド型とタワー型組み合わせて、こいつら臨機応変さの欠片も無いし……あっち視点で資材扱いになりそうなゴーレムやガーゴイル中心で、メカでは入るの難しいタワー型ダンジョンから供給。人間は攻撃しない様に設定すれば避難場所にもなる。

 どうせ、ビルの在ったトコなんか更地か穴ぼこなんだし、上手くいかなかろうが大して問題にもならない。

 うん、やってみよう。


「クリエイト・ダンジョン!」

「ちょ、おま、なにやってんだよ!」

「ダンジョンによる対宇宙人トラップ作成?」

「なんで疑問形」

 いや、全く相手にされずにスルーされる可能性もあるからなぁ。

 自衛隊やら大阪府、大阪市の人間には混乱を与えるかもだけど、取りあえず、人間には被害出さない設計にはなってる。


 いっけね、ボス設定し忘れたや。

 逃げ遅れてる奴でもいたら押し付けられたんだけどなぁ……。

 その辺の人間とかをボスに設定することも出来るんだよね、ダンジョン。



◆◆◆



 あ、そうだ!

 動物園の動物たちをボスにするのはどうかな?

「うん、このタイプの幾つも作って、置き去りにされそうな動物園の動物をボスにしてしまえば、世話をする人間が居なくなっても、動物たちは助かるぞ? ダンジョンボスはダンジョンの魔力あれば飲み食い不要だからな」

「唐突に何を言ってる?」

「いや、人間はどうでもいいが、動物園の動物が可哀想だろう?」

「この混乱じゃ動物園の動物、良くて殺処分、下手すりゃ放置だってのは分かるけどさ」

『危険を防ぐため』に殺されかねないんだよね、特に大型の動物や肉食獣。

 水族館は水族館自体をダンジョン化するのもいいかもな?


「ホントはペットの猫やら犬やらも救済したいんだよ! でも飼い主とセットだろ? 流石に人間相手は色々面倒」

「宇宙人と同レベルで知らん人間スルーだな、お前は」

「俺は首相でも県知事でも社長でもないぞ? ましてや王様や皇帝でも無い。勇者は引退済みだしな。知ってる動物と知らない人間なら知ってる動物の方が大事だ、当然だろ?」


「大いなる力には~とか考えねえの?」

「いや、既に一つ世界救ったし、一生分以上頑張ったから、もう頑張らない!」

「あー、うん。まあ、お前のおこぼれに預かってる俺のセリフじゃねーわな。それに俺にしてもツレや家族以外にゃ手回らんし」

 まだ実際にはあの街には攻め込まれておらず、これまでの日本人の感覚のままの有馬にしてみると「出来るのにしない」ことに罪悪感を持っちゃうんだろう。

 俺も元々、そういうトコあったしな。


 ただ、あっちで、人類が超劣勢のトコで勇者なんてやってると、困ってる人を助けるの優先してたら何も出来ない。

 一人助けてる間に何十人、何百人って殺されてく。

 誰か助けてる暇があったら、少しでも多くの敵を倒さないとダメ。

 後半になって魔王軍の数が減って、勢力的には人間優位になっても、残ってる連中のほとんどは「強いから生き残ってる」連中だ。

 気を抜いたら、人を助けるどころか自分が殺されかねない。


 最終的に魔王だけになっても、その魔王一人が今までの連中を全部合わせたのより強い。

 同朋意識も、仲間への友情も無い魔王の軍勢を支配していたのは、純粋にその誰よりも強大な力だ。


 あっちに居る間、結果として誰かを助けたことはあっても、誰かを助けるために動くなんてのはホントの初期の数回のみ、後は全くそんな余裕は無かった。

 で、やっとこっちに帰って来て、落ち着いて人並みの生活出来るかと思ったら、これだもん。

 逆ギレして無差別破壊に走らないだけマシじゃね? 


 話を戻すと、良識って社会性を保つために必要なもので、社会自体が崩壊したら足枷になる。

 北◯の拳やマッド◯ックスの世界は、社会崩壊後の世界としては順当なものだ。

「社会が崩壊しても家族や友人たちと力を合わせて!」エンドの世界もあるが、それらは声高に語られていないだけで、身内としての価値観を共有出来ない相手は、排除、殺害の対象である。

 フィクション上、排除される側はどうしようも無い悪人として描かれることが多いが、ほんの些細な価値観の違いですら、実際には排除の理由足り得る。


 これまでの日本や世界で、そうした排除される側予備軍が、排除されずに生きてこれたのは「社会」のスケールが極端に大きくなり、一定の余裕が存在したからだ。

 社会が分断され、余裕の無くなったこれからは、そうした排他性は強まりこそすれ、弱くなることはないだろう。


 小さいレベルのコミュニティでも社会性は必要だけど、コミュニティが小さければ小さいほど、排他性は強くなる。

 コミュニティ外の相手は基本的に良識的対応の対象外なのだ。

「村社会」リターンズだな?


 俺、ホントだったらこの春からUターン就職で地方公務員だったんだよ?

 それが俺の器相応、もう最初から、大手上場だの有名なIT企業だの考えもせずにさ。

 帰って来た故郷で勇者召喚なんてやってられないよ、ホント。


 ま、その辺はどうでもいいや。

 動物園の動物たちのためのダンジョン作り、ちょっと頑張ってみようか!



◆◆◆



 大阪の動物園の動物たちをタワー型ダンジョンを利用して避難させた。

 東京は壊滅状態、大阪自体も混乱状態でどこからもまともな指示が来なかったせいもあるのだろうが、エサだけは取りあえず目一杯用意されていたが、動物たちは放置されており、大型のものと猛獣をそれぞれのタワーのボス(作ったゴーレムにボスをさせるよりダンジョンが強くなり、融通性も高くなるのだ)にして、他の動物たちも上層階をいくつかに区切り、そこに収容。

 ついでにダンジョンを利用した食料生産の実験も行い、エサの世話や寝床の掃除などを人と同程度のサイズのゴーレムに行わせる様にしたため、かなりの時間を取ってしまった。


 有馬は豹やライオンとジャレて遊んでた、物凄く羨ましい。

 あいつの今のスペックなら、犬猫と遊ぶ感覚でシロクマや象と遊べる。

 アッコちゃんだと、今のダンジョンボス化したライオンですら、戦意喪失するだろう。


 塔の外ではメカとゴーレムが、壊したり壊されたりを続けている。

 それなりに遅滞効果は期待出来そうだ。


 

「上野や井の頭は都心部過ぎて流石に手遅れだろうけど、多摩動ならまだ無事かもしれない。一度様子を見に行って見ようかな? 母校も近いし……」

 あそこのチーターやサーバルには愛着もある。

 なんとか出来るならなんとかしたい。


「アキバは壊滅してんだろうなぁ、結局、一回も行かなかったな」

 有馬はアキバに未練があるようだ。

 ここ来る前に寄った日本橋も壊滅してたしな。

 

「じゃ、そろそろ帰るか?」

「転移は楽でいいな。魔法使いカンストしても転移呪文って覚えないのな?」

「ああ、転移とか帰還は勇者の呪文だからな。でも、自分で作りゃ使えるぞ? 必要MPさえ確保すれば」

「魔法作れんの?」

「クソ面倒くさいけど、作ろうと思えば作れる。スキルもな」

「アイテムも?」

「アイテムは魔法やスキルよりは簡単……材料揃えばな?」

「じゃ、ちゃっちゃと転移お願いしまーす」

 無詠唱であっさり帰還。

 俺の部屋のベランダである。


 お留守番でアッコちゃんはご機嫌斜め。

 それでも破壊行為には出ていない。

 有馬を玄関から退去させると、全力でアッコちゃんのご機嫌を取る俺であった。




さて、次は何を更新するか

大昔で更新止まってるのにするか

続ける意思表示ですでに更新したタイトルにするか

え? 両方? (´・д・`)ソンナー

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