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第45話 2人の気持ち⑥
「……す……き」
今にも消えそうな声で西川さん呟いた。
その呟きを紗季は聞き逃さなかった。
「本当にさくまにぃのことを好きなんですね」
無言で頷く西川さん。
それを見て安心した。さくまにぃが西川さんを想ってなんでもするように西川さんもさくまにぃを想ってなんでもする気がしたからだ。
そうでなければ西川さんはこんなに必死になることはないだろう。
赤い瞳から涙を浮かべて必死に声出そうとする。
「…私は…私は、佐阿くんにひどいことをしてしまいました」
西川さんは事の顛末を震える声で話した。




