西川さんは透けています

第35話 幸せの為に②

　「お兄さんはこのまま、お姉ちゃんが何も思い出さなくてもいいんですか？」

　「あぁ。それが西川さんの幸せになるんだったらこのまま何も思い出さなくていい」

　「それじゃあ。お兄さんはいいですか？このままお姉ちゃんがお兄さんの事を思い出さないのであればそれは、…お兄さんはお姉ちゃんと別れることになるんじゃないですか？それでも本当にいいですか？」

　憲はかなりしつこく聴いてきたが俺の意思は固い。

　「西川さんの為になるなら別れてもいい」