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4話 ギルドの助けはなさそうだ

 次の日俺は朝起きてニーナを起こした。


「ニーナ。頼みたいことがある」

「な、何なんすか?」


 まだ寝ぼけているニーナにとあるものの作成を頼む。


「狩人なら狩猟道具は作れるよな?」

「作れるっすけど」

「バクエンフンを作って欲しい量より質を重視してくれ」


 これは火を近づけると爆発するアイテムだ。

 多くは爆弾の材料に使われる。


「バクエンフンすか?そんなものどうするつもりなんすか?樽に詰めて大爆発でも起こす気っすか?でも今どきそんなの当たるモンスターいないっすよ?」


 確かに昨今のモンスターは知恵が着いており樽を転がした時点でバクエンフンを警戒する。

 そして樽から離れる。

 で、その上バクエンフンは正直な話性能は良くない。

 理由はと言うと普通にエクスプロージョンなどの爆発魔法を使った方がいいからだ


「黙って作ってくれ。素材はいるだろう?」


 俺は彼女に金を渡す。


「明日までにそうだな。これくらい生成しておいてくれ。作ったそれは包み紙に包んでおいてくれ」

「わ、分かったっす」


 よし、これで準備は完了といったところだろうか。


「か、カイム様?」


 話しかけてくるアナ。


「どうした?」

「どうなさるつもりなのですか?バクエンフンなど。確かに私達はニーナ様に頼らないといけないかもしれないですけど、それでもバクエンフンよりいいものはあるのでは?」

「いや、バクエンフンでいい」

「????」


 首をひねるアナだがよくは分からないかもしれない。

 だが今はそれでいい。


「アナはたしか軽くだが魔法は使えるんだよな?」

「は、はい」

「なら構わない。俺は今からギルドに向かう。ニーナ頼んだぞ。アナは俺の服の洗濯でもしておいてくれるか?」

「わ、分かりました」

「ではレッツゴーっす」


 2人の返事を聞いて俺はニーナと一緒に宿から出ることにした。



 ギィ。

 ギルドの扉を開けて中に入る。

 相変わらずだな。ここは。


「おいおいおい、なーに来ちゃってんの風水士君」


 すかさず俺に話しかけてきたシュライ。


「帰ってきていたのか。あのまま突き進んでいるのかと思っていたが」

「そうしたいのは山々だったんだがなぁ。お前は馬鹿で知らないかもしれないけど補給も必要でな。一旦戻ってきたわけよ」


 そこで俺と肩を組むシュライ。


「お前何で生きてんの?風の螺旋………最高難易度を誇るダンジョンの一つだ。世界のゴミであるお前が何で生きてるわけ?俺はお前にあの追放をもって死ねと命じたのだがな。風の螺旋は風も強い。場合によっては吹きすさぶそれに吹き飛ばされて高層から落ちて死ぬケースもある。なのに、何でお前」


 どうやら計算が狂ったようで少し苛ついているみたいだ。

 いい気味だな。


「運が良かっただけだよ」

「だよなぁwお前運はいいもんなぁwww」


 その時歩いてやってきたザスティン。


「ゴミの風水士の分際でシュライのパーティに入れてもらえる運の良さは持ってるもんなぁwww風の螺旋から逃げるのも運があればいけるかもなwww」

「ひょーっひょっひょっひょ。そうですねぇ!そうですねぇ!悪運だけはお強いようですなぁ!風水士殿!」


 ザスティンとシュピーネはそう言ってくるがシュライだけは違う。


「お前何をした?答えないと………」

「答えないと?いいとこ悪いがギルドの人がこちらを見てるぞ?それと言っておいてやる。ここは【ダンジョンの外】であり【不慮の事故】は普通起こり得ない」

「てめぇ………くそが」


 吐き捨てるシュライ。


「きっちり【不慮の事故】を起こしておくべきだったなゴミの風水士が。だがお前の命はそう長くない。次に出会った時がどの道命日だろう」


 そう言ってくくくと笑うシュライ。


「次に合う時楽しみにしている。地獄の果まで突き落としてやるからよぉ!」


 ははははと笑って仲間二人を連れて出ていくシュライ。

 それを見送ってから俺はギルドのカウンターに近付いた。


「今日はどういったご要件でしょうか?」

「風の螺旋に挑戦したい」

「風の螺旋………にですか?パーティメンバーを教えてもらえますか?」


 俺はメンバーの名前を伝えた。


「申し訳ございませんがお客様のパーティランクでは許可が降りません」

「許可?」

「はい。風の螺旋は高難易度ダンジョンです。余計な人死を防ぐためにも基準以下のパーティの方々を風の螺旋に案内できません」

「そんな………」

「申し訳ございません」


 謝っている声だが入ってこなかった。

 何だそれ。

 ランクが必要なのか?

 だが、俺は万年Fランク。


「仮に俺がギルドの支援なしに風の螺旋を攻略した場合も報酬は出るか?」

「出ますが………やめておいた方がよろしいかと。ご遺族の方にも保険は出ませんよ?」


 どうやら俺が死ぬことを前提にしているらしい。


「お言葉ですが最高ランクがAランクはないと途中までの攻略も厳しいダンジョンです。いえ、Aランクの方々ですら序盤で死ぬことも珍しくないんです。どうか考え直してください。はっきり口にしておきますが今のあなたでは無駄死にです。絶対に攻略できません。死んで終わりですから」

「それなら仕方ないな」


 それ以上は何も答えずにギルドを後にした。

 家に向かいながらバクエンフンのことを思い出す。

 ニーナはきちんと作ってくれただろうか?


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