36話 完結
「俺をどうするつもりだ………」
「罰を受けてもらう。それだけだ」
アリスがシュライに静かにそう告げた。
「そう言えば他にも仲間がいたよな?どこへ行った?」
「聞きたいか?」
ニヤニヤするシュライ。
「全員捨て駒にしたよ」
「そうか」
アリスは静かに答えた。
まぁ、無難な反応か。
それを聞いてアリスは人を読んで奴を連れていかせた。
この後罰でも受けるのだろう。
「ご苦労さまだったなカイム。ありがとう君のおかげで色々と助かったよ」
「別に大したことじゃない。何時でも呼んでくれ」
一先ずはそう言って俺達は帰ることにした。
※
あれから1ヶ月が経った。
風の螺旋の暴走は止まりいつも通り緩やかな風が流れていた。
そして俺たちの方にも緩やかな風が流れつつあった。
俺の兄アイムが干されたのだ。
過去にも色々ギリギリのことをやっていたらしく国民の総意というか言葉で貴族の地位を剥奪された。
そこからは芋ずる式で彼と関係のあった貴族とか周りの仲間たちも………という訳だ。
「やるじゃないかアリス」
「ありがとう。君のおかげだよカイム。この国がマトモな方向に進もうとしてるのは間違いなくカイムのおかげだよ」
そう言って柔らかく笑う彼女。
「私は君に救われたよカイム」
「俺に?」
「あぁ、君にだよ」
頭をかく。
別に救ったつもりなんてないが。
「とにかく、ありがとう………それとあの………」
「何?」
「アイム殿が言っていた………そのカ、カイムの事が好きだとか、何だとかというのは………違うからな!」
「何が違うんだ?」
「な、何でもない!」
そう言ってどこかへ行ってしまう彼女だった。
まぁいい。これからもまた会えるんだから。
でも今回の件でアリスの評価は上がり今までに気軽に会えるかどうかは分からないが。
まぁ、何とかなるだろ。
「あ、カイム。いいところに」
ウィンドウが俺に話しかけてきた。
「どうだった?会議とやらは」
「上手く事が運んだよ」
そう告げるウィンドウ。
「やっぱり僕がこうして人間界で生きていくのは上手くいかないね」
そう言って小さく笑う彼。
「ダンジョンに戻るのか?」
「うん。戻るつもりだよ。それに………君がいる世界の侵略なんて誰もしたくないってさ」
「俺の力………たしか自然を自由に操るってやつだっけ?」
「そうだよ。かなりやばいからね」
俺も最近聞いて知ったのだが俺の力は太古の風水師が使っていた破格の力と同じものらしい。
風とか水とか、それらの流れを掴んで、いや更にその上自らの力で操ったりも出来るみたいなのだ。
それが俺の力だったみたいだが、無自覚で使っていた。
それにしてもこの力のことを聞いた時一番最初に納得した。
だからあれだけ上手く事が運んだんだなぁという納得が強かった。
「元々僕らは人間界に無闇に手を出すなという決まりがあったからね今回破っちゃったけど水剣のが破られて話し合った結果大人しくしておこうって事になったよ」
苦笑いでそう話すウィンドウ。
なるほどな。そういうことなら問題ないだろう。
「ありがとう。カイム。君と出会えて僕は楽しかったよ。じゃあね」
そう言って歩きさっていくウィンドウ。
アイツとこうして会うのもこれで最後、か。
※
「おかえりなさい!カイム様!」
家に帰るとナナが飛びついてきた。
そういえば俺の家で暮らすことになったんだったな。
「あぁ、ただいま」
ニーナ達も俺を出迎えてくれた。
「ようやく落ち着いたな」
「そうですよね。ようやくです」
アナが俺の横に座ってきた。
「長かったっすよねー。ここまで。ようやく奴隷達の扱いもよくなったし色々と改善されて凄く嬉しいっす」
ニーナも遠い日を思い出すように空中を見つめた。
「全部カイムのおかげだよね」
マリーもそう言ってくれた。
「そうですよ!カイムさんがいてくれたからこうやって全部上手く行ったんですもんね!」
サーシャはそう言っているがそれはどうだろう。
まぁいい。
「みんなのお陰で俺はここまで来れた」
そう言ってみんなの顔を見て笑う。
「これからも一緒にいてくれるか?」
「勿論ですよ!」
「当たり前だよ」
「当然っす」
「どっかいってって言われても行かないから」
「そうですよねー。みんなカイムさんのこと好きですから」
みんな思い思いの言葉を口にしてくれた。
そうか。
「ありがとうなみんな」
ひとまずの大きな課題は終わったがそれでも解決しなきゃいけない問題は多い、か。
これは1歩目に過ぎないけどそれでも大きな一歩なのだ。
さぁ、これからも頑張ろうか。
ここまで読んでくだってありがとうございました。
これで完結とさせていただきます。
のんびりとした世界の新作も書いているのでよければ読んでいただけると嬉しいです。
最強鑑定士はスローライフを送りたい~無能扱いされたいのに何故か評価されてしまう件~
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