29話 アクアとの再会
戻ってきてから3日ほどが経過した。
「はやくいけよ風水師」
「そうだぞ。早く行け疫病神」
とまぁ急かされているようだ。
「待たせたな」
とは言え俺も何もしてこなかった訳では無い。
「行けるのか?カイム」
アリスの言葉に頷く。
「あぁ。問題ない」
結局ナナ達に手伝ってもらうことにした。
「………くそ………また借金だと言われないといいが」
彼女達の移動には飛空船を使った。
しかしそれのせいでもしかしたらまた借金と言われてしまうかもしれない。
「何だそんなことを不安に思っているのか」
「そりゃ、そうだろ?今回の攻略だって借金を返すためって目的もあるしな」
「ふふふふ」
「何を急に笑いだしたんだ?」
「それについては対策があるからだ」
「対策?」
「安心して欲しい。悪いようにはしないから。いや、期待してくれていい」
そう答えるアリス。
ふむ。そういうことなら信じてみるのもいいかもしれないな。
「それで、カイム様大丈夫そうですか?」
ナナの質問に頷いて答える。
「問題ないな。だが、今回も場所が場所だ。最悪命を落とすことになるかもしれない」
「はい。問題ないですよ。それにカイム様が守ってくださるんですよね?」
そう聞いてきた。
「そうですよ。カイム様ならきっと全てを守ってくれます」
そう宣言したのはアナだった。
「結局そうなるのね」
「なりますから」
俺の右腕に抱きついてきたナナ。
「分かった。精一杯頑張るよ。今回の主役はどうやら俺じゃなさそうだしな」
そう話していると
「おいおい、こんな奴隷や風水師のゴミに頼らなくちゃ攻略出来ないなんてギルドも堕ちたもんだな」
冒険者がそんなことを口にしていた。
「俺は悲しいよギルドマスター?あの超高難易度ダンジョンにこんなゴミを連れていくなんてよ?ピクニックでも行くのか?」
皮肉げに笑う男。
「答えるのも馬鹿らしい。見ているといい」
そう答えたアリスを更に笑う男たち。
「見ていてやるよ。永遠に帰らなくなるあんたらの馬鹿な姿をな。それかシュライさんに泣きついて帰ってくるんだろう?」
ぎゃははははと笑い始めた冒険者達。
見ていろ。
※
俺達は前回設置した転移結晶を使って49階層まで戻ってきた。
そこには
「ゴミじゃねぇか。元気してたか」
シュライが丁度いたところだった。
「お前はそこにいろよゴミ。風水師には荷が重いよなぁ。このエーーーースーーーランクの俺様がマヌケで雑魚なてめぇの代わりにダンジョンマスターのアホをぶちのめしてやるからそこで指くわえて見てやがれ?」
俺をバカにした様子で先に進んでいこうとするシュライだが
「辞めておいた方がいいぞ」
「あ?死にたいか?」
「お前が自殺志願者にしか見えないから止めているんだが」
「あ?舐めてんのか?決めたわお前今度の俺様会議で吊し上げてこの国にいられなくしてやるからよ」
そう言うとシュライ達は大股で歩いていく。
「おらよ!来てやったぞ!ダンジョンマスターーー???」
「大丈夫なのだろうか」
アリスも流石に心配そうな顔をしていた。
「大丈夫じゃないだろうな。アクアはこのダンジョン内では神のような存在。何の対策もなしに倒せる相手ではない」
「だよね。前回それは私も作戦に参加してみて思ったがあれだけ綿密に作戦を練ってようやく倒せたのがダンジョンマスター。あんなのでは倒せないだろう」
そう言ったアリスを見て俺達もとりあえず進むことにした。
※
『待っていたぞ風水師』
そこにはアクアがいた。
そして
『このゴミ共だが俺が眠らせておいた。雑魚をいくら倒しても仕方がない』
そう言うと水の玉座から立ち上がったアクア。
そうしてから俺達に向かってシュライ達を放り投げてくる。
「いでっ!」
誰も受け止めないのでそのまま叩きつけられて目を覚ましたらしいシュライ達。
「な、何が起きやがった!って、おい風水師!誰の許可を得て俺の前に立っている」
「ちょっと黙ってろ」
「あ?誰に命令………」
ガン!
肩を掴んできたらしいので裏拳を入れて黙らせておいた。
『どうだ?俺のプレゼントは』
「最悪だったな」
こいつは俺のいた村を水浸しにしようとしていたのだった。
『分かり合えなくて残念だな。風水師お前はまだ分かってくれると思っていたのだがこの世界が海に包まれる素晴らしさをな』
「悪いが一生分かることは無いだろう」
俺は剣を抜いた。
『残念だ』
奴は右手を軽く顔の横に上げた。
そうするとザァァアァ!!!!!壁からこちら側に海水が流れ込んできたりそのまま水流となり反対側まで突きぬけたりしていた。
「ひとつ聞いておきたいことがある」
『何だ?』
「お前たちの目的は何なんだ?何故こんなダンジョンにいるのだ?」
『知らないのか?神話に全て書いてあるだろう?』
「聞いたことはあるが」
『ならもういいか?俺は今もこうしてお前と戦いたいと思っている━━━━お前ならばこの俺を倒せるのではないか、そう思えて仕方がない』
「戦闘狂が」
『そう思いたいなら思え。この何年も骨のある敵には出会えなかったからな』
そう言い何処からか槍を取り出したアクア。
それは三又のまるで伝説上の武器トライデント。
『俺も久しぶりに全力を出そうか風水師。ゴミ、お前は俺がこのダンジョンの王として━━━━神として全力を出すのに相応しい相手だろう。このトライデントと共に世界の命運を賭けて戦おうか』
そう言い俺に穂先を向けたアクア。
「なら俺も全力で望ませてもらおう」
それこそが開戦の合図だった。
『そこだ!』
アクアの攻撃が俺達に向けられる。
『せやっ!』
アクアの繰り出す攻撃は全て大雑把。
しかし俺達人間を倒すには十分すぎるもの。
「振り落とされんなよ」
「「「「「はい!」」」」」
少女達の声を聞いて俺は風に乗り移動を始める。
『呑まれろ』
大胆で繊細さなど微塵も感じさせない水流を放ってくるアクア。
それを風に乗って避け続ける。
「ちっ………」
『ははははは!!!!!』
予想外に奴は俺を警戒しているのかもしれない。
自分の水流を俺に利用されることを恐れているのかひとつの水流を長くその場に残すことはせず反対側まで通しきっている。
「ど、どうしますか?」
作戦を話しているナナがそう声をかけてくる。
「ぶっちゃけかなりきつい」
彼女にだけ聴こえるようにそう口にした。
『おらぁ!!!!』
次に奴は自分のすぐ横を通る水流を放ってきた。
「もらいました!」
それを待っていたアナが微弱だが雷魔法を使った。しかし
『あめぇよ!あめぇんだよ!ゴミ共が!』
全てトライデントという槍に吸収されてしまった。
やはり弱点と思われる雷属性は封じに来ているか。
さて、やはりあの責め方で行くしかなさそうだな。




