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14話 攻略作戦

 ウィンドゥによって外の街に戻された俺たち。

 あれから1日経ったのだが明らかに街に変化が起きていた。


「今日、風強いなー」

「そうよねー風強いわねー」


 ダンジョン内の風が外の世界に漏れていた。

 こんなことは1度もなかったから驚きだ。


「風のせいで私のアホ毛がー増えるっすーよりアホになるんすけどー」

「ニーナ様?アホ毛と頭の善し悪しは関係ないと思うのですが」

「そ、そうなんすか?!」


 ニーナとアナが凄い馬鹿らしい話をしている当たり今日も平和みたいだ。


「よく来てくれたな」


 というのも嘘で平和ではないようだ。

 俺たちはアリスに呼び出されていたのだ。


「用件はわかっているな?」

「ウィンドゥ………いや、フェニックスの討伐だろ?」

「そうだ」


 この町から見える最上階から鳥の鳴き声が聞こえる、とそういう噂があって俺たちはウィンドゥではなく風属性の化け物フェニックスと呼ぶようにした。


「答えは出たか?」


 俺はウィンドゥと共にいた人間としてアリスに作戦を立てるよう言われていた。


「これは神を撃ち落とす戦いだ」


 アリスの言葉に頷く。


「たしかにな。奴はあのダンジョン内では神のような存在だ。どのようにして崩すか、だが」

「どのように崩すつもりだ?」

「はっきり言おう。あいつをあのダンジョン内で殺すことは不可能だ。間違いなく俺達が先にやられる」

「なっ!」


 アリスの悲鳴に似た声。


「えぇぇぇ?!!!!」

「カ、カイム?何を言ってるか分かってる?」

「え、どうするんすか?」


 それに続いてアナ達も驚いているようだった。

 俺はもう一度アリスと向かい合って話すことにした。


「言ったろ?ダンジョン内で戦う限りは厳しい、って」

「だが、ダンジョンマスターはどうしても出てこないだろ?」

「そうだな。この地に伝わる伝承ではダンジョンの奥にある秘奥を守るためにボスというのはいるらしいからな」


 それを考えるにあいつが外に出てくれるなんてことはまず無い。


「俺たち弱い人間が神を射抜こうというのなら策のひとつやふたつは練らねばならんだろうな。そこで俺に一つ考えがある」


 念の為アリスの耳元で作戦を囁いてみた。


「私は馬鹿なので理屈は分からないが可能なのか?」

「俺が指示した人数を用意してくれるのなら可能だ」

「しかし、可能なのか?それは」

「ウィンドゥといて分かったことがある。しょせんは風属性だということをな。恐らくだが他の属性にまで強くは干渉出来ないはずだ」


 やつの言っていた言葉をなぞることにした。


「『僕は火も水も嫌いだ。好きなのは風だけ』やつはこう言っていた。これはダンジョンマスターの座にあってもこれは苦手だってことではないだろうか。となるとこれらの影響を受けるとも考えることができる」

「………なるほどな。そう考えるとたしかにしっくりくるな。なら成功するのかもしれないな」

「いや、成功させてみせる」


 そう言うと俺は立ち上がった。


「俺の方でも人を集めてみる。そっちでも頼んでいいか?」

「分かった。私も集めるよ」



「あっ?手伝えだぁ?」

「そうだ。手伝って欲しい」

「はっ、何を言うかと思えば手伝うわけねぇだろ頭おかしいのか?」


 俺には特に知人がいる訳では無い。

 なのでシュライにも声をかけてみたがやはりこの有様だった。


「だが、フェニックスは俺が倒す。邪魔をするなよ?風水士」

「1人で倒せると思ってる?」


 答えたのは俺ではなくマリー。


「当然だろう。俺はSランクだ。魔法剣士。最強最高と謳われているジョブ魔法剣士だ。それで倒せないなら誰にも倒せねぇよ。勿論てめぇもだクソ風水士」

「いや、カイムは倒すよ。彼はシュライが思ってるよりすごく強いから」

「何を言っている?俺のパーティから抜けて頭がおかしくなったのか?」

「ううん。現実を見れてないのは貴方だけだよシュライ」

「決めた。俺がフェニックスを倒した時、お前らは全員死刑台に送ってやる。その時のこと楽しみにしていろ」


 そう言ってシュライは俺たちとは逆方向に歩き去った。

 別に期待していた訳では無いが難航しそうだな。




 一週間後。


「ふっ………下らぬ戦であった」


 俺に協力してくれる人間はいなかった。

 流石没落貴族として名を馳せてしまっただけはあるか。


「その様子を見ると芳しくはなかったようだな」


 アリスが沈鬱そうな顔をする。


「どうするつもりだ?君の提示した作戦は多くの人が必要になる。私の方で半分は集められたが、それでもまだ足りない」

「あと半分だがどうするか、だな」

「作戦開始までもう時間が無い。それにフェニックスからの声明も知ってるだろ?」


 頷く。

 フェニックスは声明を出したのだ。

 明日、俺がいかなければ世界を破滅させると。


「ちっ………この作戦が上手く行けばあいつを倒せるのに………」

「惜しいね。しかし」


 アリスは窓から外を見た。


「逃げろ!逃げろ!フェニックスから逃げろ!」

「そうだ!この町は終わる!全部あのゴミ風水士のせいだ!」


 そうして逃げ惑う人々が見えたが


「まぁ、待てお前ら」


 そこに1人の男が現れた。


「あ、あなたは………」

「風林火山のシュライさん」

「待たせたな。あのゴミ風水士はフェニックスを倒せない。ここは━━━━俺が行こう」


 シュライが高らかに宣言した。


「うぉぉぉぁ!!!あのSランクのシュライさんなら倒してくれるはずだ!」

「ありがとうございます!シュライさん!」

「待っていろ俺が必ず倒してやる」


 そう言って風の螺旋の方向へ歩いていくシュライの姿も見えた。

 やつも動き出したようだな。

 だが俺には。

 

「くそ………どうすりゃいいんだ」

「人数が足りないな。ここから一日で集めるにはどうすれば………」


 アリスも苦しいようだ。

 しかしそんな時だった。


「あ、あの………カイム様。人手が足りないのですか?」


 聞き覚えのない声が聞こえたのだった。

誤字脱字報告ありがとうございます。

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