11話 また一人沈める
風の螺旋35階層。
「風水士君ようやく来たんだwww」
ここにたどり着いたら風林火山の幹部のザスティンが待ち構えていた。
「待ちくたびれてすげぇイライラしたけどねぇwww奴隷を3人くらい潰しちゃったwww」
そう言って笑うザスティンの背後には男が3人転がっていた。
「狂ってるな」
「何を言ってるんだ?風水士の分際でよぉwww」
笑いながら俺達に近付いてくるザスティン。
「悪いがここで死んでもらうよ風水士君?」
「死ぬのはお前じゃないのか」
「残念なお知らせだがそれはないよ。何故って俺の魔法の属性知ってるよね?wwwあ、ごめん風水士君の脳みそじゃ覚えてないかwww」
「風属性だろ?」
「そうだよ。そして君たちの戦い方を俺は知ってる。バクエンフンそれから風に乗っての奇襲、だよね?」
「そこまで知っているんだな」
「知ってるよw隠せてると思ってたの?wwwバクエンフンは俺の魔法でどこかに流されるし風に乗る作戦も僕の風が邪魔する。いったいどうやって俺を殺すつもりだい?いくらなんでも頭の中楽観的過ぎるんじゃないかなぁ?」
そう言い剣を抜いた。
「風水士ごときに何が出来る?あの時みたいじゃない。今度こそ━━━━事故死させてやるよ」
突っ込んでくるザスティン。
その手には剣が握られている。
「死ねよ!!!!!」
振られたその剣を受け止める。
「風水士だからってなんも出来ないとは思わないことだな」
「何調子乗ってんのwww」
風属性の力を使って自分の押し込む剣に更に力を加えるザスティン。
「ちっ」
「もらった!」
俺の剣が弾かれてそのまま剣をねじ込んでくる。
しかし
「もらったのはこちらだ」
「カイム、今だよ!」
ウィンドゥの声が聞こえた其の瞬間。彼の魔法によってザスティンの鎧は貫かれ腹に横1文字の傷が薄くだが開く。
しかし今の一撃で防具にこれだけのダメージがあれば十分だった。
「はははは!!!!こんな傷痛くねぇよ!死ねよォォォ!!!!」
狂人のように突っ込んでくるザスティン。
俺は奴の腹に思いっきり拳をねじ込んだ。
狙いは開かれたその腹だ。
「ぐっ!」
呻くザスティン。
そうして飛びのいた。
「何をした」
「何ってただ腹を抉ってポケットを作っただけさ」
作戦はこうだ。
ウィンドゥのかまいたちでザスティンの腹を切り開く。
そしてそこに
「何だこれ………腹の中に………何か入っているような………」
「それ以上手を近付けるな?殺す」
俺にそう言われてようやく離れた俺の右手に目をやるザスティン。
「な、お前、何を持っている………」
「何って、導火線だよ」
「導火線………?何処に何をしかけた。爆発させるようなものは何も………それに、バクエンフンは漂っていない」
「漂う?なるほどな。俺の風水士としての戦い方を信じたってわけか」
ククククと笑う。
「な、何がおかしい?!」
「さっきの質問に答えてやるが何処って━━━━お前が探そうとした場所だよ」
「何笑ってやがんだよ………」
「何ってお前がここで無様に死んでいく様子を思い浮かべればそりゃ笑顔にだってなるだろ?」
それを聞いて急いで自分の腹に手を入れようとするザスティン。
「それ以上近付けると殺すと言ったよな?」
「や、やめろ………」
「お前はどんな声で泣いてくれるんだろうな?」
「わ、悪かった」
「エドワードもそう言っていたよ。自分が爆発する未来は想像したくないってことか」
「た、頼む!」
俺は導火線の先を握って風に乗って皆の元に戻った。
場所は丁度風の流れが切り替わる場所だ。
風の都合上導火線の爆発もこちらには届かない場所。
「やれ」
俺は紐を手放した。
「はい」
俺の指示に従って魔法を使い導火線に火をつけたアナ。
ドドドドドドーン!!!!
小刻みに爆発を起こしながらやがて
「や、やめろ!ギャァァアァァア!!!!!」
ザスティンが爆発した。
断末魔を残して。
※
「いてぇよぉ………」
腹を抑えて蹲るザスティン。
「まだ息があったのか」
「くそ………げほっ………風水士如き………何とかなると思ったんだがな………」
俺を見上げてそう呟くザスティン。
その目は既に閉じられそうだった。
「………そこの風属性の援護は予想できなかった………それにしても俺の鎧を貫通させて腹に穴を開けるとはな………」
「バクエンフンを撒いても掻き乱されるのでは意味が無い。となるとこれが一番手っ取り早いと思った」
「………腹にバクエンフンの塊を突っ込むなんてな………風水士君………大した度胸だな。俺と切り合うなんてな………」
「お前の剣技が大したことないのは知っていた。一応同じパーティだったからな」
「ふっ………俺が雑魚ってわけか………」
「そうだな。俺でも相手をしてねじ込めると踏んで立てた計画だ」
「って事は………シュピーネとシュライを倒す………作戦もあるのか?」
「もちろん」
「シュピーネは………火炎無効だ。バクエンフンは使えない、どうやって倒すつもりだ」
「お前が知っても意味の無いことだろう?」
そう言って剣を逆手に持って切っ先をザスティンの喉に向けた。
「じゃあな」
「くそが………」
ザスティンを倒した俺たちは次の階層に向かうことにした。
「それにしてもよくあんな作戦思いつきましたよね」
「あいつの魔法は確かにそこそこ強いがそれだけだ。剣技はダメダメだしこのダンジョン内ではあいつの魔法もかき消されることが多く存分に力を発揮できないと考えた上での作戦だ」
まぁ、それを考えたら
「ウィンドゥはよく成功させてくれたよな。あの段階でのかまいたち」
「君のおかげだよカイム。僕はただ君の指示でかまいたちを飛ばしただけ。このダンジョンの風に乗ったかまいたちの威力には僕も驚いているくらいだよ。何処が風上になるのか分かる君の目があって初めて成り立つ作戦だよ」
「やっぱりすごいっすよねカイムは。本当に風の螺旋踏破できそうっすよね」
ニコニコとした笑顔で俺に抱きついてくるニーナ。
「そうだな」
俺はにっこり笑って彼女にそう答えた。
さて、後は━━━━シュピーネとシュライか。




