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宇宙戦艦に魔法は使えません。  作者: 野紫
2章
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2-6.転送ナイフ

前回のあらすじ:

大蛇もオークやっつけました

「オークが47匹、そのうちハイ・オークが3匹。

 1匹はオークキングと、言われるのですね」


「はい、そうです。

 子供を助けるために急いでましたので、無茶をしました。

 オーク集落の依頼は出ていなかったと思うので、横取りにはなっていませんよね」


 戻ってきて、確認したが依頼はなかった。

 念の為、聞いてみる。


「すこしお待ち下さい」

 と言って、窓口の男性は奥に行ってしまった。


 すぐ戻ってきて、『閃光3』の皆さんこちらに来ていただけますか。

 なんだろう、2階に案内される。


「こちらの部屋です」

 男性はノックして入っていく。

 俺たちも続く。


 中には、いかにも冒険者ふうの2人が、騎士1人と、これもいかにも村人の1人と向かい合って座っている。


「お、来たな。

 俺は、ここのギルド長のグレリオスという」


 いきなり偉い人でてきたよ、どうしたんだろう。

 俺たち、なにかやったか?


「すまんが、お前らの今日の戦果を、ここで話してもらえないか。

 お前がリーダーか」


「はい、ヨガといいます」


 いいけど、なぜなんだろう。

 襲撃を見つけたところから、オークの集落を壊滅させたまでを話した。


「ゲヘフロス村の近くで、オークの集落を殲滅、数は47匹で合ってるな」


「村に近いかはわかりませんが、助けたのはゲヘフロス村の人でした」


「だそうです」

 村人に、聞かせていたようだ。


「では、これはどうなるのです」

 隣の騎士が、テーブルの上の袋を指指している。


「お持ち帰り下さい」


 グレリオスさんは、今度は俺たちに

「こちらはゲヘフロス村の村長さんで、こちらはご領主ザペーロア卿の代理の方だ。

 オーク集落の討伐を、依頼しにいらっしゃっていた。


 魔物討伐は早いほうがいいが、依頼される前に討伐されたのは初めてだ」


「もしかして、今日のがそうだったんですか」


「そうだ」


 騎士が立ち上がり

「ザペーロア卿の代理で来ておりました、ヴィニーといいます。

 このたびは領民を、救っていただきありがとうございます」


 深く頭を下げた。


「本来なら、私達で討伐すべきなのですが、出来ない事情がありまして。

 5日前に、大ムカデのエクゾリの討伐を行っておりました。

 その時、ほとんどの者が毒を受けてしまったのです。


 幸い死んだ者はいなかったのですが、まだ立てないものもおります。

 そんな中、オークの集落を見たと報告があったのです


 ザペーロア卿は思案なされました。

 この地に領地を持つものとして、放置するなど無論できません。

 ですが、自分たちで対処する事も出来ないと判断され、ギルドにオーク集落の討伐を依頼する事にしました。


 本日村長と一緒に、ギルドに依頼のため来たのです。

 ところが、オークが討伐されたと聞きまして、話を聞きたくギルド長にお願いしたのです」


「というわけさ」

 グレリオスさんは豪快に笑う。


「そう言えば、ヨガって覚えあるぞ。

 他にも、なんかあったな」


 えー。

 何もしていないはずです。


 グレリオスさんの隣にいた冒険者が

「2日前にスオユザ・リードの討伐部位を、持ち込んだのも彼らですよ」


「あ、そうか、そうだ。

 その件で話がある、お前たち俺の部屋に来てくれないか。


 ヴィニーさん、これで失礼する。

 ザペーロア卿によろしくお伝え下さい。


 おい、あとは頼んだぞ」


 と言って部屋を出ていく、後ろは見ていない。

 あわてて追いかける。


 2階の奥が、ギルド長の部屋になっていた。

 今度は、俺たちの席もある。


「俺たちに、何の話があるのでしょうか」


 森の大蛇スオユザ・リードの件らしいが、想像できない。


「この前お前たちが帰った後、頭のないスオユザ・リードが送られてきた」


 横取りされたか。


「そんな顔をするな。

 送ってきた連中は、拾ったと言ってきた。


 そうなると、誰のものかが問題になる。

 知ってのとおり、魔物は倒した者に権利がある。

 放棄されたのなら、後から見つけた者に権利がある。


 だが、お前たちは拾いに行くつもりだったのだろう。

 なら、権利はお前たちのものだ。


 スオユザ・リードが、大きくて置いてきたやつらがいると言ったら。

 拾った連中は経費と2割がもらえればいいとさ。


 お前らは、それでいいか。

 2割というのは、ここの慣例みたいなものだ」


 みんなを見ると。


「それで、いんじゃないか」


「お兄様が、それでよければ」


「いいと思う」


「それで、構いません。

 実を言えば、諦めていたので半分でもいいくらいです」


「それはやめてくれ、前例になってしまう。

 面倒事が増える」


「でも、彼ら自分たちが討伐した事にしなかったんですね。

 全部自分のものになるのに」


「討伐部位がないなんて、拾ったもの以外ないじゃないか。


 それにスオユザ・リードの体には、『ヨガ』って名前が書いてあったしな。

 それで俺も記憶していた。


 お前は、自分のものに名前を書く子供か」


 グレリオスさんに、また笑われてしまった。


「ところで、お前らこれを買わないか」


 細いナイフを、テーブルの上に置く。

 テーブルナイフより短い。


「転送ナイフと呼ばれる、魔法道具だ。

 今回みたいに、大きくて運べない獲物をギルドの解体場に転送するものだ。


 生きたものは転送出来ないし、大きさにも限界がある。

 これは一番小さい。

 知ってるだろう」


 知ってはいる。


「3つ星にならないと、使えないと思っていました」


「普通、3つ星くらいにならないと、必要ないものだからな。

 でも1つ星が使っても問題ない」


「たしか、高かったですよね」


「そうだ、一番安いこれでも5000テルだからな。


 ちなみにこいつでは、スオユザ・リードは転送できない。

 使った転送ナイフは8000テルのものだ」


「8000。

 1つ星が、持たないわけですよ」


「でもお前らは、買っていたほうが良さそうだ。

 ギルドとしても素材は無駄にしたくない」


 俺たちがもらえる報酬を聞くと、22000テル以上になると言われた。

 この前は金貨を手にしたと喜んでいたが、今日は金貨20枚以上の報酬になった。


 ギルド・マスターの勧めなので、一番小さいものを購入させてもらった。


 宿に向かう途中で、トゥールが

「予定外の大金が、入ってきたな。

 この金で、ヨガとリーシェさんの馬を買ったらどうかな」


「馬を。

 それに俺たちの分だけ」


「俺は、家に馬を預けてある。

 キューも家に馬を置いてたんだよな」


「ええお兄様」


「ランクが低い間は、馬は必要ないと思って置いてきたのさ。


 でも2人が馬を持てば、俺たちに馬があってもいい。

 そうなれば4人の移動範囲が広がる。

 考えてもいいじゃないか」


 確かに。

 ラーディのギルドでは、馬を持っている冒険者も多い。

 貴族の子息も多いから、軍馬に乗っているのも珍しくない。


「もしかして、トゥールの馬って軍馬か」


 軍馬と馬は、別の生き物だ。

 軍馬は走鳥種と呼ばれる、飛べない大きな鳥だ。

 早いし、持久力もある。

 1人を載せて1日走る事も可能だ。

 ただし、力がないので荷台は引けない。


「そうだ。

 国境警備隊の時に手に入れた。

 かわいいやつさ」


 馬を買えと言ってきたのは、その馬に会いたいからじゃないよな。


「馬ってかなり高いだろう。

 今回の金を、全部使ってしまうかもしれないぞ」


「元々あてにしていなかった金だ。

 イシュリークに会えるなら、使って欲しい」


「イシュリークって馬の名前か?」


「そうだ」


 結局、会いたいだけかよ。


「私もキキットに会いたい」

 ここは、お兄様が良ければ、じゃないんだ。


 2人の圧におされて、そのまま馬を買いに宿を出てきた。

 やって来たのは、あまり筋のよくない店。

 無論1人できている。


 中に入ると

「いらっしゃい。

 旦那、どんなのを探しているんですか」

 と店の男が声をかけてきた。


 笑ってはいるが、素性が良くないのが顔にでている。


「中を一回り見せてもらうよ。

 気に入ったのがいたら声を掛ける」


 店の男はわかったと言ったが、俺の後をついてくる。

 見られてまずいものでもあるのだろう。


 怪我していたり、年寄の馬がほとんどだ。

 殆どが痩せている、こんな馬どんな人が買うんだろう。


 数頭だけだが、軍馬もいる。

 そちらに行ってみる。


 奥にいた、2頭に目がいく。

 1頭は、片方の目が潰れていて、傾いている。

 もう1頭も羽は片方が垂れ下がっている、折れているのだろう。

 そして決定的なのは、2頭とも足に問題がある。


「これいくらするの」

 と聞くと。


「えーと、これですかい」

 驚いているようだ。


 すぐに何事もなかったように

「軍馬ですからね、1頭5万テルです。

 破格ですよ」


「5万テルかじゃあ無理だな」


「ちょっとまって下さい。

 わかりました、値引きしますよ。

 旦那、いくら持っているんです」


「1万テルで、2頭を買おうと思っている」


「旦那、冗談言ってるんですか。

 軍馬なら1頭で最低でも、10万テルはする。

 うちは半額なんですぜ。


 それに、その金額なら普通の馬でも難しい」


「でもこの軍馬、足に問題ありそうだけど」


 男は、俺と軍馬の間に入り、隠すようにした。


 声を荒げ。

「なにを言ってるんですか。

 嫌がらせですか、からかいに来たんですか」


「いや、実際今手持ちが、金貨10枚しかないのさ」

 金貨の入った袋を出して、中身をみせる。


「2人分の馬を探していたんだが、軍馬を見たらやっぱり欲しくなってね。

 普通の馬は、買う気がなくなった。

 でも、無理ならいいや」

 と出口に向かう。


「わかった、わかったって旦那。

 俺も男だ、この軍馬2頭、1万テルで売るよ」


「そうか」

 と金貨の入った袋を渡す。


 2頭を連れて店をでる。


 2頭とも足を引きずっている。

 店を出る時には

「もう旦那のものだからね、返品はできないからな」

 と念を押された。


(しかし、知らない馬を、よく売る気になるな)


[この馬では売り物になりません。

 いくらでもいいから、お金にしようとしたのでしょう]


 この軍馬は、義体だ。

 俺が店に入る少し前に、こっそり紛れ込ませていた。


 トゥールさんに言われる前から、馬は欲しいと考えていた。

 ビチュレイリワも、ピノの容量を増やしたがった事もあり、義体の準備をしていたのだ。


 ただ俺が、軍馬が欲しいと言ったため、軍馬しか用意していなかった。

 軍馬をいきなり連れてきては、流石に目立つ、その辺で捕まるものではない。

 そこで1芝居をしたのだ。


 帰るうちに、徐々に軍馬の怪我が治っていく。

 宿には馬と繋いでおく蹄洗場があり、追加分を払えば利用できる。

 ここには、他の軍馬もいるので目だたない。


「ヨガ、なに買って来てるんだ」


「軍馬が安かった、2頭で1万テルだった」


「なんだ、その値段。

 なんか問題あるんじゃないか。

 盗品とか」


「流石に盗品は、扱わないだろう。

 軍馬なんて、盗まれたら街中探される。

 すぐに見つかるし、割に合わないさ」


「でもこの馬、かなり弱ってるかもマナを感じない」


 しまった、キューさんはマナを感じとれるんだった。

 義体にマナはない、他の冒険者にも不思議がられるかも。


「そうだね、しばらくは無理をさせないようにするよ」


「そうか、3人が軍馬持ちか。

 俺が目立てないな」


 何だそれは。


「キュー、明日にでも家に馬をとりに行こうか。

 ヨガたちも俺たちの家に来ないか、父を紹介するよ」


「待ってくれよ。

 俺たちは、軍馬に乗った事が無いんだ。

 練習させてくれよ」


「軍馬は頭がいいから、練習はいらないぞ」


「そうかも知れないが、1日か2日は練習してみたい。

 俺は明日から、練習をしようと思っていた。

 リーシェさんも、そのほうがいいでしょう」


「私も軍馬初めてだから、その辺で練習してみたい」


「そうか。

 なら、俺とキューは先に行っているから、後から来いよ。


 同じ方面にいく馬車を見つけて乗せてもらうつもりだから、5日くらいはかかるかな」


 この地を行き交う馬車は、冒険者を護衛に雇う。

 高いものを運んでいる時は、襲われるかもしれないので、それなりに金を出して雇う。


 でも、食料だの日用品を運んでいるがほとんどで、この場合は安く雇われる。

 冒険者も、移動の足代わりにしているので、飯代ていどで受ける。

 トゥールさんは、それに便乗しようというのだろう。


「じゃあ、練習が終わったら追いかけるよ」

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