旅行
「なあ、ちょっと足のばして旅行でもいかね?」
『...ん?』
「遠くまで飲みいくってことだよ」
『...あぁ、休みあえばいいよ』
ということでいつになるのか分からない
予定を約束して2週間が経った
「おい、来週の予定教えろ」
『めっちゃ上からじゃん(笑)
月曜日と火曜日休みだけど火曜日は夕方から予定ある』
「じゃあ月曜日から行って火曜日の午後帰ってくるって感じでいい?」
『んー、まあいいけどまかせるね』
「まかせとけよ、これでも一応イベントプランナーやってるんだから」
そう、ゆうたはいつでもたくさん現金を持っていてわたしと飲み歩いている時はだいたい払ってくれるし
どこに集合するにもタクシーで来るし
わたしは社長ってすごいなとずっと思っていた。
もちろん全額おごられたりするのは好きじゃないわたしは無理やり半分出すか
席を立ったすきに支払いをすませたりしたこともある。
そういえばぼそっと
「お前は俺の事を対等にみてくれている」
と、言っていた。
きっと周りの友達はゆうたのお金にたかっている人ばかりでそれだけの関係なんだなと思うようになった。
簡単に言えば上辺だけの仲
接待されてるみたいなかんじだったんだろうななんて考えてた。
一匹狼タイプのゆうたはそれでも
楽しく飲めればいいと言っていたから
たかってる人達もそれはそれで
受け入れているようだった。
旅行とはいっても
その時の私はそんなに収入もなくて
生活するのにやっとだった。
ゆうたももちろんその事はしっていたので宿や食事は気にするなと私に言い
月曜日の昼ごろ品川に集合とだけ
教えてもらっていた。
当日
昼ごろって何時だよと思いながら12時に品川に着くとゆうたから連絡が入った
「わり、もう着いてるか?品川に2時でもいいか?ちょっと仕事の用で...」
『あー、いいよーこれから準備するから』
仕事なんだと思いとっさに嘘をついた
(まあ、コーヒーでもゆっくり飲みに行ってればいいや)
1人でゆっくりするが久しぶりで
2時間はあっという間にすぎた。
「わり、おまたせ」
『ううん、今来たところ』
「お、ちょうどいい新幹線ある
ちょっと走って(笑)」
『えーーー』
「ほら、早くしろ!」
私たちは熱海へ向かった。
宿はもう予約してあるみたいで
ついて早々にチェックイン
高台にある宿で眺めは最高だった
(高いんだろうな、ここ。)
「部屋、一部屋しか空いてなかったけどここの部屋からの眺め良いんだよ。」
『全然、高かったでしょ?ごめんね。』
「いやいや、俺熱海の観光協会のやつと知り合いだからここ半額なんだよ。だから自分の分だけ払ってるみたいなもんだから気にすんな。」
『ふーん...ありがとう』
「そろそろ飯だな〜」
『え!ご飯ここで食べるの?』
「そう、懐石料理とか食ってねえだろ。たまには上手いもんゆっくり食え」
『えーーー!やばー早く行こ!』
「おもしれー反応だな、犬か(笑)」
『うっさい!お腹すいてるの!』
そうして2人は宿の食事処へ
懐石料理はとってもおいしくて
ゆっくりお酒を飲みながら
料理を楽しんだ
『は〜おなかいっぱいしあわせ〜』
「まじ、お前よく食ったな(笑)」
『うるさーい』
「まだ飲める?」
『余裕ー!』
「とりあえず部屋にワイン頼むか」
『やったーーー』
一旦部屋に戻り私たちはお風呂に入りにいった。
最近は忙しくてゆっくりお湯に浸かる余裕もなかったから露天風呂の景色もすごく良くて本当にしあわせだった
『あー気持ちいー、なんかいいのかこんな急に生活にゆとりできてー』
(朝もっかい入れるかな〜)
貸切の露天風呂でぶつぶつ独り言を言っていた。至福の時間だった。
部屋に戻るとゆうたはすでにワインをあけていた。
「ゆっくりできたか?」
『え、あ、うん。露天風呂やばかった』
「なら、よかった。まあ飲めよ」
『あ、スパークリングじゃん』
「シャンパン好きだしスパークリングのがいいかと思って」
『よく分かってんねー!』
私たちは1本を2人で飲み干した。
普段あまり睡眠をとらないわたしは
眠くなるどころが目が冴えていた。
「そろそろ下いくか〜」
『?』
「外に飲み行こうぜ!」
『あー、いいよ。いこ。』
「タクシー呼ぶわ」
こうして夜中に商店街へ向かった
タクシーの中から見る限り
ほとんどの店が閉まっている
(え、やってるとこなくない...?)
わたしはゆうたがてっきりお店まで決めていると思っていた。
『どこもあいてなくない?』
「あれ、どーすっか(笑)」
(あれ、何回か来たことあるっていってたのになー、うそかな。)
『あ、あの南国っぽい看板のとこ電気ついてるよ』
「入ってみっか」
そこはハワイアンちっくな
おしゃれ居酒屋さんだった
「ダーツやろうぜ〜」
『負けたらショットね』
と店員さんも混ぜて3人でダーツ対決をした結果3試合中3回ともわたしが1位で
店員さんとゆうたは2杯ずつテキーラを流し込んでいた。
そのあとも結局朝までそこのお店で飲んだ。
めずらしくゆうたは泥酔
仕方なくわたしはタクシーを止めて宿まで戻った。
あまりにも酔っ払っていたのでお水をのませたり緑茶をいれたりしていたが
トイレにこもっていたのでわたしは
構わずに寝ることにした。
am5:00就寝
最近寝ていなかったのと少し酔っていたこともあり1時間くらいぐっすり眠れた。
もの音がしてむくりと起き上がると
まだぐったりしているゆうたが窓際にいるのがわかった
『まだ気分悪いの?寝れば?』
「あー、まあ多少良くなった」
『弱いんじゃん、酒』
「そんなことねーし、疲れてたんだよ」
(それはわたしだって一緒だわ)
『はいはーい、私まだ寝るからおやすみー』
寝かかるとゆうたが同じベッドに入ってきた。
(うわー、酒ぐせわるいやつかこれ)
少しドキドキしながらも寝たフリをして
抱きしめてくるゆうたを無視した
わたしは気がつくと普通に眠っていた
もちろん隣にはゆうたが寝ている。
起こさないようにそーと部屋についている露天風呂で一息ついた。
(びっくりしたなー、何にもなくてよかった)
お風呂から上がってもゆうたはぐっすり寝ていた。
(チェックアウト何時なんだろ?
まあいいや。部屋でゴロゴロしようと)
わたしは使っていないベッドで
スマホをいじりながらゴロゴロしていた
少しするとゆうたが起きた
「...いま、なんじだ?」
『9時だよー』
「そろそろチェックアウトか〜
頭いてー、気持ちわりー」
『大丈夫ー?お茶いれようか?』
「風呂はいってくるから出る準備しとけよー」
『んー』
わたしはもうとっくにいつでも出れる準備をしていた。
なのでゆうたが準備を終えるまでだらだらしていた。
「...朝悪かった。」
『なにが?』
「酔っ払って甘えちまった」
『あ、気にしてないよ。』
「じゃあ、そろそろ行くか。美味いもんでも食ってから帰ろうぜ」
12時前にチェックアウトし、海沿いに向かった。ゆうたは二日酔いで具合が優れなさそうだった。
わたしは無理しないでいいと言ったがせっかくだからと定食屋さんに入った
大好きなお刺身定食はすごく豪華で
ゆうたも同じものを頼んだ。
結局二日酔いのゆうたはあまりたべられずわたしがたらふく食べることになった
駅に向かう途中おみやげを少し買って
ソフトクリームとか食べながら熱海を満喫し新幹線に乗った。
私たちは疲れて乗ったそうそうに寝落ち
品川につく少し前に目が覚めた
(楽しかったなー熱海)
「帰りたくねーなあ」
『...なんだ、急に(笑)ごめんね、仕事なんだよこれからー』
「だよな」
「夜暇なら連絡してこいよ」
新幹線が駅につきわたしは仕事があったのでそこでゆうたと分かれた。
(お礼だけしとかなきゃ)
『2日間ありがとう!とっても楽しかった〜また誘って』
とメッセージを入れて仕事に行った。
仕事を終えてわたしはクタクタになっていた。
「ラーメン食いたい」
2時間も前に来ていたメッセージだったのでさすがにもう食べただろうと思い
『仕事終わったー
ラーメンいいねー食べたーい』
と送るとすぐに返信が来た
「お前、今どこにいんの?」
『今帰ってる途中だけど、』
「飯まだだろ、ラーメンいくぞ」
『え、いまから?』
(帰りたいなー眠いし。)
「新宿なー」
ということで夕方分かれたのに
また会うことになった。
こんな時間から新宿来て帰れるのかな?
そんな心配をしながら彼を待っていると
遠くの方に姿を見つけた。
気が付かないフリをして声かけられるのを待っていると
「待たせたな。」
『ううん、今来たところ』
そしてラーメンを食べて
わたしは終電で帰宅し、ゆうたは知り合いと会うらしく新宿に残った。
それから1週間...
ゆうたは風邪を引いたらしく
少ししんどそうだった
お構いなくわたしが
ラーメン食べたいというと
俺も!と病人とは思えない発言で
笑わしてきたと思ったら
わたしの最寄まで来るらしい
(もう勝手にしてー)
仕方なく駅で待つことにしたが
そういえば熱あるって言ってたことを思い出した。
ゆうたはたしかに鼻声ではあったが
割とピンピンしていた。
そして駅の裏にあるラーメン屋さんに行き2人でラーメンを食べた。
『てか、帰りの電車何時?』
「もう終電ない。」
『え、どうすんの』
「泊めてくんね?」
『え、明日早いけどいい?』
「構わん」
『部屋狭いけど大丈夫?』
「構わん」
ということで仕方なく泊めることに。
私の家はよく友人が泊まりに来ていたので布団はもう1セットあり敷いてあげた。
ほんとは体しんどかったんだろうなと
思ってポカリとかゼリーは買ってあげた
夜、電気を消すと
ゆうたが起き上がる気配がした
(トイレかな...?)
『!?』
ゆうたはわたしが寝ているベッドに
入ってきた。
わたしはこの時すでにゆうたに好意を持っていたので、嫌がりもしなかった。
最初はくっついているだけだっが
次第にゆうたの手がわたしの体のあらゆるところに触れていき
『...あっ』
「もう、我慢...できねえ」
『、ちょっと、やめて』
「むり。」
『...ねぇ、...あっ、』
「おまえのせいだよ。」
こうして、
私たちはこの時一線を越えてしまった。