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はち、  作者: のん
3/7

理解者


『お前じゃないんだけど』


「え、そんなこと気にしてたの?わるかった、わるかった」



『馬鹿にしてるの?』


「いや、してないって〜からかってるだけだよ。」


『それが馬鹿にしてるってことじゃん!!』



「あ、怒った?ほんとおもしれー」




わたしは面倒くさくなって

返信するのをやめた。


なんだよあのメガネ野郎

名前くらいちゃんと呼べよ

と思ったがそういえばわたしも

アイツの名前知らなかったことを思い出した。


『ゆーた』


へぇ〜、ゆうたって言うんだ

その時は何も思わずにスマホをしまった。




それから1週間がたったある日

真夜中に着信があった

ゆうた からだった


わたしはもともと人と電話するのが嫌いでさらに仕事でくたくただったこともありあえて電話に出なかった。



ピロン...



こんな時間に誰だよと思いはしたものの

一応確認だけしようとスマホを開いた


「今から飲まねー?」


ゆうた からのメッセージだった




わたしは少し迷ったが

明日休みだったこともあり


『いいよ』


とそれだけ返すと

場所が送られてきた



(意外と近くにいんじゃん…)



「どんくらいに来れる?」


『30分後かな。』


「OK〜、気をつけてこいよ。」



『余計なお世話。』


「は?俺が心配してやってるとかレアだから、ありがたく思えよ〜」




調子に乗り始めたので無視をして

準備をはじめた。



わたしは普段休みの前の日は

職場の同期や先輩たちと飲みに行くことが多かったがこの日はお誘いもなく

まっすぐ帰ってきていたので

飲みに行けるのは少し嬉しかった。




「おい、おせーよまだ?」



いちいち送られてくる文句のメッセージには一切返信せずに

まあ、どうせシンとかもいるんだろうなと思い

マイペースに集合場所に向かった。



『着いたんだけど』


「お、やっとか。今迎えいくわ」




迎え??どこにいるんだよこいつと思って待っているとゆうた がやってきた


「先にはじめてたわ〜行くぞっ」


『え、酔っ払ってるの?』


「酔うわけねーだろまだ23時だぞ」



「お前、たしか酒強かったよな」


『んー、人並みじゃない?』


「まあ、無理して飲むことないけど」


『はいはい、余計なお世話』



「可愛くねーなお前。

ま、おもしれーけどな(笑)」



着いたのはダーツバー

すると何人かの外人さんたちと

同じテーブルについた。


『え?』


「あ、今この人たちとダーツやって遊んでたんだよね。」


『あ、そうなんだ...(なにそのノリ )』


「ダーツやる?」


『え、やったことないよ。てかとりあえず飲みたい。』


「あー、なんか頼んできてやるからちょっと投げててみ。」






わたしはひとまずゆうた の遊んでいた台でちょっと投げて遊んでみた


初めての割になかなかの腕前で自分でもびっくりしていると


「お、すげーじゃん」


とゆうたが戻ってきた



『ねえ、すごくない??初めて投げたのに真ん中ささったよ!!!』



「まぐれまぐれ〜(笑)」


「とりあえずシャンパンもらってきたぞー好きか?」


『あ、めっちゃすきー』


「はい、かんぱーい」

『かんぱーい』



あっという間に1本のシャンパンを

2人で飲みのした


そのあともダーツを教えてもらいながら

次々とシャンパンを空け

気がつけば2人で4本も飲んでいた


途中で一緒に遊んでいた外人さん達が帰っていき

私達もダーツに飽きてほかのお店にいくことにした。



「腹減ってるか?」


『そういえばなんにも食べてないや』


「は?1日中?」


『うん。まあざらだよそんなこと』



わたしはとても忙しい美容室ではたらいていたのでお昼の時間を取れないことがめずらしくなかった

加えて眠さに勝てずに朝は常に食べていなかったので

すきっ腹にお酒を流し込んでいたらしい


「食わねえと倒れるぞ」


『倒れたことないから大丈夫』




「とりあえず飯食いいくか」

「肉と魚どっちがいい?」



『魚!』



「いいとこあんだよ。」


『お腹すいてきた』




と魚料理メインの居酒屋に入った



「好きなの頼めよ」


『お刺身食べたい...あと、ビール大』



「まじで酒強いんだな、尊敬するわ」

「俺もビールでいいやとりあえず」



私たちはお刺身の盛り合わせで

止まることなく飲み続けた。



いつの間にかゆうたは店員さんと

仲良くなっていて最後はお味噌汁をサービスしてもらった。



そろそろ終電だなーと思っていると


「まだ、飲める?」



『まあ、飲めるけど。飲むなら朝までになるよ。』


「おぉ!いいね、じゃあ今日は俺に付き合え」


『あー...』


「おい、金は気にしなくていいぞ。俺から誘ったんだから出す必要ないし、気にすんなそんなこと」



『ふーん、じゃあ気にしなーい』


「それでよし(笑)」



ということでそのあと朝までゆうたと2人で4~5件飲み屋さんをはしごした。


後半は二人ともさすがに酔っ払ってきて

自分の生立ちや仕事の話や恋愛や今の生活などいろんな話をお互いしていた。



ゆうたは

小さい頃から施設で育ったということ

地方から上京し、ホームレスをしていたことがあるということ

今は自営で社長という立場で

イベントプランナーとして様々なイベントを企画し打ち出してきたということ



そして自分を捨てた母親を許せないということ





彼はわたしには計り知れないほど

苦しい時をすごしてきたんだなと

わたしは思った。


思い返してみればBBQのあとのカラオケでもわたしの表情から何を思っているか感じとり

たまに気の利いた事を言うのも

「俺、お前きらーい」の一言で場が盛り上がったのも


計算してたことなんだなとわたしは感じた


(人の顔色ばっかり気にして生きてきたんだろうな...)



余計なことを考えながら

空が明るくなりかけたころ

2人で笑いながら話をしてシメのラーメンを食べていた。




「そろそろ始発動くころだな。

にしてもお前ほんとよく飲むな。

酔っ払ってねーだろ?」



『いや、酔っ払ってるよさすがに。まあ、全然ダッシュできるレベルだけど』



ぷはっ

「お前ほんとおもしれー」


『お前じゃないってば』


「だから気にすんなってそんなこと」



『まあ、いいけどさ』



始発が動き出し駅も賑わい始めていた。


『じゃ、わたしあっちだから』


「おう、お前めっちゃ酒飲むしおもしれーからまた飲みに誘うわ。」


『はいはーい、暇だったらねー』


「ほんとかわいくねー(笑)」





『じゃ、電車くるから行くね、ばいばーい』



「...おう、」



私が改札に入る直前だった



「またなー!...あい!!」


(は、そんなでかい声で呼ぶなよはずかしいっ!)



わたしは振り返って手だけ振って

家に帰った。



(楽しかったな〜)



わたしはこの日からゆうたと親しくなり、数は多くないが毎日連絡をとるようになっていった。




それから2ヶ月間ほどお互いが

予定が合う日はいつものように

いつものお店で朝まで飲むほど

仲が良くなった。




もちろん付き合うという考えは

さらさらなかった。


お互い気ままに会える仲のいい人

くらいの感覚だった。







「なあ、ちょっと足のばして旅行でもいかね?日帰りか、1泊2日で」






この時までは

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