処刑開演
神聖中央大広場には、巨大な処刑台が設置されていた。
ものの数時間で、巨大な建造物を作り上げるとは、魔法の力ってやっぱり凄いんだなと思うけど、こんなに直ぐにできるのなら、なんで1~2週間もかかると言ったんだ。またイライラしてしまう。深呼吸、深呼吸⋯
ボクが深呼吸していると、名前は覚えてないけどたぶん偉い人が「さあさあ ツバサさま ご準備が出来ましたぞ 魔法転送機まで ご案内いたします」と声をかけてきた。
やっと準備が整った。これで全部が終わる。
転送された先は空中だった。客席のようなものが浮いている。処刑場と言うよりも、イベントの会場に来たような感じだ。
「これって ボクはみんなから見えないんだよね」
「はい 左様でございます ツバサ様はお姿をお見せになりたくないとの事でしたので そういった仕様にしております」
ボクは神様からの祝福で魔法が効かないけれど、あくまでもその魔法を拒否したいと思っているから、効かないだけだ。回復魔法の様に僕が望んでいる魔法ならば効果は得る事ができる。今回も同様で、姿を見せたくないと思えば、その魔法の効果を得る事ができるのだ。その切り替えのコツがだいぶ、掴めてきた。
そう、ボクは誰ともなしに説明したい気分になった。全ては誰かの力不足のせいだろ。
席につくと、急に辺りが真っ暗になった。これは、魔法の力だ。ルネ導師の波動を感じる。なに無駄な事に強大な魔力を使ってるんだろうか?そんな事を思っていると人が空中に現れ、スポットライトが当たる。どうやら司会の人のようだ。会場は静まる。
「神聖ミライリア 万歳」
司会の人が叫ぶ。
「神聖ミライリア 万歳」
観客の人達が叫ぶ。
「白き魔女様 万歳」
司会の人が叫ぶ。
「白き魔女様 万歳 」
観客の人が叫ぶ。
ボクへの敬礼の変なポーズをしている人が増えたな。ボクはアドルフ・ヒトラーか?それとも変な宗教の教祖様か?⋯あながち、冗談にもならないから笑えない。




