嘘つき
「いや、ごめんなさい。ふざけてしまいました」
そうだ、ボクは素直でいい子だ。ちゃんと悪かったら、悪かったと言う事ができる。
「えーと それで ストッツガルトさんは、ボクについて来るという事でいいですか?」
世の中に、メリットだけあってデメリットがない話なんてない。
ストッツガルトさんは、ボクを裏切って敵になることもありそうだし、頭のネジが1本どころか10本くらい抜けてそうだ。
だけど自称元神だから、この世界の情報をいろいろと知っていそうだし、例えそれが嘘でもボクがみた感じ能力は高いから、いざという時に何かしらの役には立つはずだ。
結局は自分を救えるのは自分しかいないのだ。人を頼ってはいけない。人を信んじてはいけない。使えるならば使って、使えなくなったら、切ればいいだけの話だ。
「そうだ 俺はお前についてく 地獄の果てまでな ギャッハッハッハツツッ!!!」
「はぁ そうですか⋯」
「もっと 喜べ 人の子よ 俺はお前を絶対に裏切らない どんな欲望でも思いのままだ」
ストッツガルトはグイッと翼に顔を近くに寄せた。翼は唾が飛ぶから、嫌だなと思った。
「今夜は月が丸くて綺麗だ そうだ お前の心の奥底に潜む願望を一つ叶えてやる 信じていないようだから、俺の力の断片を見せてやろう」
「いや 見せなくていい こんな所で無駄に対価を使いたくないよ」
「心配には及ばない これに関して対価は必要ない 無料お試しと言うヤツだ 人の子はこういうの好きだろ? 」
うーん。やはり色々ズレているんだけど、悪意は感じられないんだよね⋯
「さぁ 俺の目を 見ろッッ!!!!」
目を見るつもりはなかった。しかし、翼は反射的にその深紅の目を見てしまった。




