01話 オークション
王都グランパルス・・・大陸の中央に位置する神聖ミライリアの首都である。五芒星を描く城郭と深い掘りに囲まれた難攻不落の巨大城塞都市であり聖法教会の総本山でもある。
結局のところ翼は王都に来る道中に逃げることはできなかった。首に鎖をつけられ手も拘束されしかも護衛もいるような状態では当然、今までよりも逃げることは難しく翼はそうそうに諦めたのであった。
奴隷商人に連れられ王都の一角にある教会に翼は来ていた。中は全面にステンドグラスが張り巡らされていた。祭壇には女性の像が祀られてる。はじめは女神の像かと思ったがよく見ると女神ではなさそうだ。とんがり帽子をかぶっている。もしかして魔女の像なのだろうか?
「こちらです どうぞ」
教会の牧師に促され像の裏手に回る。手にはなにか石のようなものをもっている。それをかざすと・・・
「ギィィィ」
床が動き下に続く階段が出現した。階段を降り通路を歩く。かなり入り組んでいてまるで迷路だ。しばらく歩くと頑丈そうな扉の前にでた。牧師がまた石をかざすと扉が開く。
ここで奴隷商人は翼を白い仮面を被った男に引き渡した。仮面の男は翼を小部屋に連れていった。その部屋はこれから出品されるオークションの「商品」の控え室となっていた。そこには人間だけではなく獣人やエルフや妖精もいた。みんな体を拘束されておりそして同じように死んだ目をしていた。
ボクの番になった。鎖と手錠が外されて転生した時の杖を持たされる。
「そこに乗れ」
仮面の男に言われる。乗ると台が上に動きだした。
「さあ〜 続いての商品は異世界から召喚された珍しい黒髪の少女です! 魔法は使えませんが神から授かった神器を持っております」
翼がライトアップされる。
かなり広い空間だ。客席は上の方まで埋まっいる。客も全員仮面を被っている。異様な光景だ。
司会のピエロが翼に服を脱ぐように伝える。
「!?」
こんな大勢の前でボクは服を脱がなければならないの?嫌だ。嫌だよ。そんなの・・・
「さあ〜 早く 服を脱ぎたまえ」
ピエロが急かす。ボクに大勢の視線が集まっているのを感じる。動悸が激しくなる。また体が震えだす。そして時間が過ぎていく。
「全く しょうがない子ですね」
ピエロが顔を傾け翼の目を凝視しする。ぎょろっとした目だ。
「体が勝手に動いている!?」
カタカタと手が動きだしボタンを取り服を脱ぎ捨てる・・・ボクはそれを必死に抑えようとするが止めることができない。
大勢の客の前で翼はなにもつけてない姿を晒す。客席は盛り上がる。
「それでは100からまいりましょう!」
「110 120 130・・・300・・・」
最後はかなりの競り合いになり翼には高額な値がつけられた。




