表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女に転生したら〇〇されたww  作者: メろロメん
3章 白き魔女
88/112

59話 戦いは終わった

ボクはずっと復讐がしたかった。それがもう少しで叶う。それはとてもとても嬉しいことだ。それなのに何故こんなにも気持ちが晴れないのだろうか?


馬鹿みたいに大勢のメイドや執事に囲まれて、馬鹿みたいに豪華な夕食を食べながら、翼は不思議と気持ちの悪い不安に苛まれていた。


ヤツらを殺す事に罪悪感があるのだろうか?それは…ある。なぜかある。あんなに酷いことをされたのに、まだあるのだ。むしろ、なんか可哀想な気持ちになっている。なんという偽善だ。可哀想なら、やるんじゃねぇーよ!そんなあやふやな気持ちで人を巻き込んでんじゃねーよ!


それとも、ボクの中でまだアイツらに恐れがあるのだろうか?それも…ある。まだある。もちろん、既にヤツらの処刑は決まっている。ボクは大きな試練を自分の力で乗り越えたのだ。もう心配する事は何も無いはずだ。


でも、何か奇跡のようなことが起こって自分は大逆転されて、また転落するのでは無いか?そんな予感に襲われる。


それが怖い。怖い。怖い。何故だ。なんでボクはこんなにも臆病なのだろか?否定すれば否定するほど、不安は風船のように大きくなる。大きく大きく膨れ上がり破裂して、あとは何も残らない。そんなよく分からない光景が目の前に浮かんだ。「これがフラグか…」翼は小さく呟いた。


「旗がどうかしたの?」翼の影に隠れていたエマが急に姿を現して、背後から声をかけた。ボクはドキッとして牛乳が入っているコップを落としてしまった。


「ガッチャーーーン」


無駄に大きな耳障りの悪い音と共にグラスが割れる。

床に牛乳の白く濁った液体が流れた。なんだか不吉な気がした。「くそぉ…」イライラする。


どこからともなく、声が聞こえた。「どうせお前はダメな人間だ。お前は幸せにはなれないし、なってはいけない。これまで、どれだけ人を殺した?これから、どれだけ人を殺す?」


違う!違う!違うんだ!ボクはだだ…ボクはだだ…やられたから、やり返しただけだ。それだけだ。それとも、なされるがままに、やられれば良かったのか?そんなの、そんなの、ボクがあまりにも可哀想じゃないか?


「お前は本当に自分の事しか考えていないな。仲良くなれとは言わないが、許してやるという選択肢もあったはずだ。だが、お前はそれを選ばなかった。それじゃあ、満足できなかった。ただただ、怒りに身を任した。違うか?」


それは、そうかもしれないけど、でも、でも…


「やられたからって、相手を皆殺しにして一体なにが残る?ただ、怨みが新たなる怨みを呼ぶだけだ。そして怨嗟は渦巻き、高まり続ける。そしていつの日か、お前に降り注ぐのだ」


声がどんどんハッキリしてきて、どんどん大きくなって、頭の中でガンガン響いた。


「断言する!お前はいつか必ず報いを受ける。これ以上ない残虐な形で嬲り殺される。誰もお前を助けない。ただ見ているだけだ。深い深い後悔の中でお前は死んでいくのだ」


意識がぐちゃぐちゃになり混濁して遠のいていく。


「翼ちゃ 翼ちゃ 翼ちゃーん しっかり しっかりしてッ!!!」


エマは憔悴し、目に涙を浮かべて必死で翼の身体を揺すった。しかし、その声は空を切るだけで、翼には届かなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ