51話 上手くいく会議の進め方
いやいやいや、それは違う・・・
人を騙して殺し合いをさせるなんてそんな外道に落ちたくない。自分がやられて嫌なことなんてしたくない。
こんなのは人として当然の感情だ。何度も言うけどもボクは『キチガイ』なんかじゃないからね。
悪意を持ってボクに接して来る人とは戦うけども何もしていない相手に自ら悪意を持って攻撃をしようとは思わないよ。
それにそれをやったら相手はボクに恨みを持つだろう。騙されていることに気がつかずに逆にボクを褒め称える人もいっぱい居るだろうけども中には自らの正義を信じて命をかけてボクに戦いを挑もうとする人も少ないだろうけどいるハズだ。
そういう人を潰すなんて心が痛んでボクにはできないよ。そもそもボクは基本的には人と争いたくないんだ。これも当然のことだよ。まぁ、様子を伺うのはこれくらいにして舞台に登場しようかな。
翼が姿を現すと『空の円卓 跡地』は水を打ったように静まり返り、その場にいる者は一斉に席から立ち上がった。
「お待ちしておりました 翼さま どうぞ 玉座にお座り下さい」
神聖ミライリアの皇帝であるアルナ・レオンハートが玉座から立ち上がりボクにそこに座るように促した。
まずは自分の味方と敵、そして空気を読んで決めるどっちつかずの人を見わけよう。
ボクが席に座るとみんなが着席した。会議室はシーンとしたままだ。ボクの発言を待っているのだろう。
正直、ボクはすぐに誰かに文句を言われるかと思っていたがどうやらそんなことはないようだ。よく見ると悪口を言っていた人たちはバツの悪そうな顔で下を向いている。
子どもだから舐められがちではあるけれども一応は神の使者だしその力も見せているので、とりあえずは敬意を払ってくれているようだ。
とはいえ、めちゃくちゃなことをやっているのは確かなんだから本気で国のことを心配しているならば相手が神の使者でもそれはおかしいと言うべきだ。
そういう声が上がらない人ということは信念をもってボクに敵対する人はいないということだろう。
もちろんカーリー将軍とかアキレスさんは国のことを本気で考えているだろうけど彼らはこちらの陣営でボクの味方だからね。
彼ら以外は状況によって味方にも敵にもまわる自分の利益しか考えていない人と見なしていいんじゃないかな。
この状況ならば強気に出ても内心に不満があったとしても表立ってボクに反対する人はいないだろう。
こういう時は逆に下手にでた方がいい。つまりみんなに謝ってしまおう。
責められてもいないのに自ら先手を打って謝ると結構、好感度が上がる気がする。
潔いいし、反省していると思われて「そんな 謝らないでください 頭を上げてください」とか言われるイメージだ。先に謝られてしまうとなかなか怒りづらいものだからね。
逆にすでににみんなから叩かれている時は謝らない方がいい。特に隠していたのがバレたりして仕方がなく謝るというような状況だと油に水を注ぐようなことになる。
よく謝罪会見とかあるけれども謝罪会見をひらくとさらに叩かれることが多いでしょう。
そもそも不正をしたりそれを隠そうとしたことを認めてしまったら完全にその人が悪いわけだから攻撃しても誰からも文句は言われないし『溺れた犬には石を投げろ』という諺のごとく、みんながここぞとばかり石を投げるんじゃないかな。
なんといっても政治家とか有名人とか普段は偉そうにふんぞり返ってる人を攻撃して引きずり下ろすのは爽快だもん。
だけど認めなければ本当か嘘か分からないまま時が過ぎて忘れ去られるということもワンチャンある。だから謝るタイミングを逃したのなら謝らない方がお得だと思う。もちろん人としては最低だけどもね。
・・・そんなことはともかくボクはみんなに謝ることにした。




