48話 あんなヤツら殺してもいいじゃん!
神聖ミライリアの首都グランドパレスは建国以来、1000年もの間に渡って難攻不落を誇っていたという。過去形なのはボクがその記録を破って攻め落としたからだ。
その首都グランドパレスの真ん中には王宮があって、さらにその真ん中に『セイントパレス』と呼ばれるとっても高い塔があって、さらにその高い塔の上のあたりに『空の円卓』と呼ばれる会議室があった。
過去形なのは塔の上のあたりをボクが魔法で吹き飛ばしたので『空の円卓』は消滅してしまったからだ。
だけれど神聖ミライリアでは重要な会議は『空の円卓』で絶対にやらなければならない伝統があるそうで、未だに天井も壁もない吹きざらしのその場所でバカみたいに会議をやっている。
だから地上から会議をやっているのがまる見えである。でも透明性の高い政治を行なう事ができていいんじゃないかな。ただ雨が降った時は大変みたいだ。
そして今も、その『空の円卓』の跡地で会議が行われていた。議題はもちろん、ボクが『世界商会』に殴り込みをかけて喧嘩を吹っかけたコトに関してである。
『空の円卓』に向かう階段の上の方から怒鳴り声とボクの悪口が聞こえてくる。そもそも喧嘩を吹っかけた本人が居ないわけで、そりゃあ文句がでるのは当然ではある。ボクはその場で止まり様子を伺って見ることにした。
ふと、ボクはもといた世界のコトを思いだした。あれは確か小学5年生の時のコトだ。放課後に忘れモノを取りに戻って教室に入ろうとしたら、中にいるボクの友達がボクの悪口を言っていた。
ボクは気まずくなって入るのをやめた。自分が何か悪いコトをしたような気分になったからだ。悪いコトをしてるのは向こうなのに・・・
ボクは相手が悪いのにも関わらず自分が悪いと強引に思い込もうとした。考えてみるとこれはボクの悪い癖だ。
世の中はおかしい事だらけだ。本当のコトを言っちゃうとボクにはみんながバカに見えた。でもボクはそんなハズはないと思いたかった。
ボクはたぶん優し過ぎるのだ。
・・・いや、違うな。
優しい人間というコトにしたかった。物事を深く考えたくなかった。自分が納得するまで考えて本当にやりたいと思うコトをやろうとすればボクは暴走してしまうんじゃないかと怖かったのだ。
あんなヤツら殺してもいいじゃん!
本当はそんな風に考えてしまう非人間的な自分を認めたくなかった。
首都グランパレスを首都グランドパレスに変更しました。




