46話 死のゲームを始めよう
戦争ってどうやるんだ?
学校で教わってない。いや学校にもほとんど行ってはなかったけれども・・・
てか普通に無理でしょう。やっぱり軍人さんやら政治家さんに任せてしまおう。
いやいやダメだよ。よくない癖だ。また反射的に人に責任を押し付け逃げようとしてしまった。
わかってるだろ?他人にボクの命運を握らしちゃダメだ。しかも今回は身近にいる人からこの神聖ミライリアの国民全員まで巻き込んでいるんだから。
ボクのさじ加減ひとつで人が死ぬんだよ。人の命が失われるんだ。
えっ? それってマジでやばくない?? ボクには荷が重すぎるよ。やっぱり人にまかせよう。
・・・ダメだな。思考がループしている。でもそういうことなんだ。命がかかっているんだ。
そういうゲームなんだ。これは死のゲームだ。そしてボクには無理ゲーだ・・・
うん?ゲーム?
ゲームなら得意だよ・・・そうか!わかった!ゲームと考えればいいんだ!!!
不謹慎かな?そんなに軽く考えるな!人の命をなんだと思ってるんだ!って怒られるかな?
いや誰に怒られるんだよ。別に誰からも怒られない。自分でそう勝手に思っているだけじゃん。
命は大切だ。それを守ろうとするのは当然だ。でもさ、命を大切に考えてる人の方が殺すのはカンタンなんだよね・・・
だってそうだろ。ボクの命を大切に想ってくれて躊躇してくれればその隙にその相手を殺すことができるもん。
殺す人と殺される人の差ってなんだと思う?その人の能力の差かな?
ボクはずっと自分は才能がないと思っていた。この世界でも来た当初は魔法を使えないと思い込んでいたしね。
でも実際は使えた。めちゃくちゃ使えた。結局のところは人と人の差なんてやったかやらなかったかなんだ。
ボクはネットゲームならば鬼のように強かった。
なんたって引きこもりで時間はあったからずーっと張り付いて周回してキャラを強化していたから。
それにゲームなら例えキャラが死んでもボクにはなんの痛みもない。相手の顔もわからないし緊張することもない。落ち着いて冷静な判断をすることができる。
つまりゲームのノリでやればボクは勝てる。重要なのはそれに費やした時間と自分の能力を最大限に発揮することなんだ。
命を重く考えると判断が鈍ってしまう。だから命はもっと軽く考えるべきなんだ。自分の命をもっと軽く考えよう。他人の命はもっともっと軽くだ。
いやいや、ゲームはリセットできるけど人生はリセットできない。だからそんな風に人の命を軽く考えることなんて絶対にしてはいけない。
うん。その考えは正しいよ。でも勝ちたいなら人より先に行きたいならそれじゃダメなんだ。一瞬の判断で生きるか死ぬかが決まるなら自分の為に他人の命は見捨てるべきなんだ。
ネトゲにハマってた時にボクは周りからバカにされていた。人生にはゲームなんかよりもっと大切な事があるだろうと言われた。
でもそんな言葉はスルーした。ギルドマスターになって親のお金で重課金して廃人になってゲームをやり込んだ。そしてめちゃくちゃ強かった。
いや後悔はしているよ。だけど本当に強かったんだ。そしてその時は確かに楽しかったんだ。
人にバカにされても実際にバカでもいい。それでもやりたいのならば仕方ないのだ。そして何事もやってみないとわからない。
どうせ人は死ぬんだ。ならばやりたいことをやるっきゃないよッ!
一つの目的の為にあとはすべて捨てる。何かを成し遂げるにはそれが必要なのさ。少なくともボクはそうなんだよ。
つまり戦争で勝ちたいなら朝から晩まで戦争のことを考え続けて、勝利のために人をコマのように使って敵が死んでも味方が死んでも自分が死んでも全く気にしない精神力が必要だということだ。
うん。自分で言って自分がマジキチなことを理解した。だけど何かを守りたいたいならやらなくちゃダメなんだ。殺し合いをするんだ。マトモだったらできないだろッ。
・・・でも本当にボクにそんな事ができるのかな???




