44話 復讐するはボクにあり その5
「これで 終わりか いやエリカがいるか? エリカの場所はわかってるよね?」
ボクは隣りにいるガジャに話しかけた。
「エリカに関しましてはすでに 別働隊が動いて 身柄を確保しております」
「あ そうなんだ」
なんで別働隊のことを事前に説明しないんだ。この人達は本当に無能だな。いや、なんだかんだで結局上手くいったんだから優秀ということになるのかな。
てか、これで本当に終わりなんだろうか?なんかあっさりしずぎて全然実感がわかないや。
「みう達の身柄はどうするの?」
「これから王宮の特殊な牢屋に転送し 身柄を厳重に拘束した後に明日の正午 中央広場にて公開処刑を執行します」
「絶対に逃がしちゃダメだよ」
「はッ 私の命にかえましても必ずや刑を執行し 貴女様のご期待に添いましょう」
「もう みんな すぐに王宮にもどるんだよね?」
「はッ 直ちに 撤退します」
「悪いけど ちょっと 一人にさせてもらえるかな これからの動きに関してはみんなに おまかせするんで」
「え? あ はい かしこまりました」
「何かあれば念話を下さい」
そう言うと翼はふらふらと歩きだした。
どうしてボクはあんな人達に怯えていたのだろうか?結局はやってみないとわかんないな。やればいろいろと見えてくる。新しい景色を見ることができる。
実際にみう達に会ったら驚くほど弱かった。全く警戒もしていなかったし頭も弱いんだろう。あの様子なら逃げだすことは不可能だろう。
処刑は問題なく執行される。奇跡などは起こらない。もう何も心配しなくていい。
『全てが 終わったんだ』
この後で世界商会との戦争があるのかもしれないけど正直にいうとどうでもいい。
復讐以外のことは考えていなかった。ボクは復讐にすべてを賭けた。そしてボクは勝った。
今だけは自分を褒めてあげよう。うん!
これでボクのストーリーは終了だ。ハッピーエンドで幕切れだ。張り詰めていたものが全部なくなって今のボクは空っぽだよ。
ああ、どこかで静かに暮らしたい。まったり平穏な異世界生活をしてみたい。もうなんにも考えたくないや。
・・・そうだ。あの場所に行ってみよっかな。ボクは屋敷の庭を抜けて少し離れた所にある奇妙な形をした建物に向かった。
ボクが閉じ込められていた地下牢がここにあるのだ。鍵がかかっていたので魔法で扉を吹っ飛ばし中に入る。 本当に魔法は便利だね。
秘密の扉をあけてランプを手に取り地下に降りる。記憶よりかなり狭いな。
『!?』
人だ!牢屋の中に誰かがいる・・・!!!




