07話 牢の中なう その4
「おはようございます!翼さーん」
何かが顔にかかった。
「!?」
水だ。見上げるとみうが立っていた。手にはジョウロをもっている。お洒落な如雨露だ。あれで水をかけられたのか。横にはエリカがいる。
「おっ! 翼 生きてるよ」
「言ったじゃないですかぁ 人はこのくらいでは死にませんよ〜」
助かったのか?これでやっとこの苦しみから解放される。
「どうしますか 翼さん 私達の奴隷になりますか?」
「はッ はい なります・・・」
「うーん どうしよっかなー? 人にものを頼む時はもっと誠心誠意頼むべきじゃないですかね」
「!?」
「そんなこと言わないで下さいッ なんでもしますから 奴隷になりますからここから出して下さい お願いします」
必死になってみうに懇願する。
みうはじっーと翼の目を覗き込む。
「残念!まだ駄目ですね 翼さんは怒りがこもった裏切者の目をしています まだ元気そうですし もう少しここに居て下さい♪」
「イヤ もう ボクはここにいたくないッ!」
絶望・・・もうボクは無理だ。耐えられない。
「ところで 翼さん 72時間の壁って知ってますかー?」
「?」
「もー 翼さん ニュースとか見ないんですか」
「災害が起こってから72時間を過ぎると被災者の生存率がガクッと下がるんですよー この事を72時間の壁って言うんです」
「今回 翼さんにはだいたい72時間くらい ここにいてもらいました でもこれは水分を摂らなかったらの話なんです 水分を摂れば人はもっと長く生きることができるみたいです 中国では水だけで一ヶ月間生き延びた人がいるらしーですよ」
「あッ そうだ!翼さんもどのくらい長く生きることができるかやってみましょうよ〜 私まえから人が何も食べずにどのくらい生きることができるか知りたいと思っていたんです うんうん そうしましょう♪」
この子は何を言ってるんだ。キャピキャピと笑みを浮かべて楽しそうに話しをするみうに翼は恐怖した。
「水は飲んでいーですよ!」
そう言ってみうは如雨露でバシャバシャと翼の頭の上から水をかけた。水は髪をとおり瞬く間に牢屋の床を濡らす。
その後の事はほとんど覚えていない。意識は混濁し腕は壊死した。だがそれでも翼は生きていた・・・
気がつくと3人が何かを話している。ただもう何も聞こえない。
「みーちゃん 大丈夫かこれ 流石にまずくね?」
「大丈夫ですよー」
そう言ってみうは翼に回復魔法をかける。翼の体が眩い光に包まれる。虫の音だった翼の身体に生気が宿る。
「ほーら これで元通りです♪」
みうが自慢げに言う。
「翼さん 私達の奴隷になりますか?それともここにまだいますか?」
ボクはもうみう達に逆らう気は一切なくなっていた。
「・・・ボクを皆さんの奴隷にしてください」
ここから逃れることができるならなんでもいい。
「はーい よく出来ましたー!」
みうは満足そうに言った。
「翼さんもお腹が空いたでしょう ヒロさん 翼さんにアレを」
翼の眼の前に食事が並べられる。翼は拘束されたままソレをイヌのように食べた。
その様子をじっーと見ていたみうは一言。
「エリカさん」
とエリカを呼んだ。エリカはおもむろに剣を抜くと無言で翼を切りつけた・・・
「!?」
肩から血が吹き出す。翼は痛みでのたうち回る。
「ガッチャーン」
器が倒れて割れる。食べ物がこぼれ落ちる。
「翼さーん その痛みを忘れないで下さいね!」
ニコやかにみうはそう言うとしゃがんで翼の耳元でボソッと呟いた。
「もし私達に逆らったら絶対に許しませんから・・・」
そっと翼の肩に手を触れる。すると再び翼は光に包まれ傷はみるみると消えてなくなった。
こうして魔法少女は奴隷となったのだった。
これで少女に対する拷問回は一旦終了となります。少しやり過ぎか?いやもっとやって欲しいのか?を知りたいです。