40話 復讐するはボクにあり
魔法の力で音もなく『みう』の部屋の扉が開かれる。ボクは自分でも驚くほど落ちついている。
部屋の中はピンク色のもので溢れていた。家具もテーブルもカーテンもピンク色だ。そして部屋の端にはボクより大きなクマのぬいぐるみが置いてあった。
可愛らしい部屋なのかもしれないが、ボクにはなんだか逆に気味が悪く感じる。なんで女の子はぬいぐるみとかピンク色のものとかが好きなのだろうか?どうもボクは女の子が可愛いと思うものがわからない。
いや、そんなことよりみうは一体どこにいるの?周りを見渡すも姿がみえない。だけど耳をすましてみると部屋の奥から声が聞こえた。
『あそこのドアの向こうにみうとヒロがいるんですか?』
ガジャに念話で確認する。
『左様でございます 翼さま』
『ボクらに気づいている様子はある?』
『いえ 気づかれておりません』
ドアに近づくにつれてみうの声が少しづつ大きくなる。なんだろう?なんか違和感がある。
ボクはこの屋敷に潜入した時から魔力を高めて溜め続けていた。その溜まった魔力をいまいちど確認する。うん。いつでも超強力なヤツを撃てる。この屋敷を一瞬で消し飛ばすことができるだろう。
不安に思うことはなにもないはずだ。それなのになんか嫌な予感がするのはなぜだろう。ボクは知っている。こういう予感はスルーすると後悔することになる。だけどその理由を考えても答えがでない。なにかを忘れてるはずなのにそれがなんだかわからない。
ボクは悩んでいた。だけどそんなことはお構いなしにガジャが魔法で奥の部屋のドアを開けた。
「はぁ はぁ あッ あッ いく いく いっちゃうーーーー」
女の子の喘ぎ声がボクの頭の中に響いた。目の前にある天蓋ベッドがギシギシと揺れている。ピンク色のカーテンの奥に人影がみえる。ヒロの上にみうが乗っているようだ。
『あれって もしかして 騎乗位かな?』
『左様でございます 翼さま』
ガジャに念話で話しかけるつもりはなかったが、びっくりしてしまい伝わってしまった。
『いやいやいや 左様です じゃないよー 先に教えてよッ!』
『ですから 翼さまは来ない方がよいとご忠告させて頂きました お目を汚されるべきではないと思いましたので』
ドキマギして顔が暑くなってきた。ボクは手で顔をあおぐ。なんだどういうこと?2人は付き合っていたの?あれってエッチしてるんだよね!?
いやどうでもいいことを考えるな。落ちつくんだ。深呼吸をしよう。
翼よ、思い出せ。ボクはなにをしにここに来たんだ。それは復讐だ。ここでみうを殺すんだ。いや違うだろッ・・・
みう達は捕まえるんだった。落ち着け落ち着け落ち着け。冷静になれ。そして最後までやりきるんだ。そう決めてたはずだろ。なんどもなんども心を乱すな。
何があっても揺るがない鉄の意志を持って世界を変えるんだ。




