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魔法少女に転生したら〇〇されたww  作者: メろロメん
3章 白き魔女
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30話 牢の中の会話 その2

 牢屋はシュリが閉じ込められていた部屋だけではなかった。どの牢屋にも奴隷が押し込められていた。人間だけでなくいろいろな種族がいてかなりの人数がひしめきあっていた。


みんな何も言わずに死んだ目で鉄格子の向こうからボクらを黙って見ている。その横を全速力で走り抜けていたのだけど・・・


「シュリ ごめん ちょっとだけ 待っててもらえないかな」


「どうしたん 翼ちゃ?」


シュリをおぶっていたエマが不思議そうにボクをみる。


「ごめん 忘れもの すぐに戻るから ちょっと待ってて なにかあったら大声をだして」


そう言うと翼はひとり、来た道を戻りだした。そして倒れこんでいるシルクハットの男を見つけると彼を叩き起こした。


「牢屋の鍵を全部あけて」


「!?」


「そんなことできるか お前こんなことして 絶対に許さんからなー!」


どうも気絶していたようで状況が飲み込めていないみたいだ。


ボクは男を魔法で浮かすと天井に頭をぶつけてからそのまま床に落としてやった。


「ぐわぁぁ 痛っ! なにをするんだ・・・」


「あなたは本当にうるさいな 手下の人たちはすでにみんな降伏してる そこでひれ伏しているでしょう もう一度 天井に頭をぶつけたくなかったら 牢の中にいる人たちを 全員解放して」


シルクハットの男は取り乱しながらもまわりを見渡す。


「わ わかりました 解放するから 乱暴なことはしないでください・・・」


男は鍵の束を取り出して一番近くにある牢屋の鍵を開ける。


「助けにきたよ さあ 好きな所に逃げて」


だがボクを見て怯えているだけで逃げる気配がない。想定していたのと反応が違う。泣いて喜んでくれると思ったのに・・・


「逃げないの?」


「逃げたら なにをされるか・・・ それに逃げても 行くところがないので・・・」


そういえばボク達が牢屋の横を走っていても誰からも助けを求められなかったな。


「そっか じゃあいいや」


どうも善意の押し売りというヤツをやっちゃったみたいだ。本人がそういう選択をするなら仕方がない。一生奴隷のままでいればいい。


「誰かここから逃げたい人いますかー? いれば助けるよ〜!」


翼は大声で叫ぶ。


「いるぞ オレを助けろッ!!!」


奥の方から声が響いてきた。ボクは聞こえる部屋へと向かう。


「助けを求めたのはあなたですか?」


「そうだ オレを解放しろ」


獣人なのかな?いや違うか?頭から角がはえていて目が少し赤みを帯びている。肌の色は灰色だ。


その身体は鎖で幾重(いくえ)にも雁字搦(がんじがら)めにされていた。たぶんいろんなマジックアイテムや魔法も使われているのだろう。床にも魔法陣が描かれているしボクがヨハンに封印された時と状態が似ている。どうやらかなり厳重に拘束されているようだ。


「全部外して 魔法のギミックも解除して下さい」


「いや それはまずい こいつは本当に危険だ シャレにならん 街一つ 簡単に滅ぼせる」


おーげさだなあ。本当にそうならなんでこんな人達に捕まってここにいるんだよ。


「いいから早くやって ボクを怒らせないで」


「わ わかった やればいいんだろ どうなっても知らんからな」


シルクハットの男は意外と手早く拘束具を外し魔法を解除している。まぁ、それが仕事だもんね。


「これで 終わったぞ・・・」


「まだ 両腕と首に大きな拘束具がついてるじゃん」


「これは装着したら一生 外すことが できないマジックアイテムだ 魔法も完全に弾くし 壊すこともできない」


「貴様 なんてモノを俺につけやがったんだッ」


角がある赤目の黒い人が物凄い形相で睨んでいる。むしろボクが恐怖を感じてしまう。


「ちょっと待って ボクの魔法は弾かれないはずだから壊せるかもしれない でも一緒に身体を傷つけちゃうと思うけど どうする? 」


「やってくれ 魔力が戻れば身体を再生させることができる」


ボクはは両腕の拘束具を手で触れてそれが壊れるのをイメージしながら魔力を込める。


『壊れろ 壊れろ 壊れろぉ〜!』


ボクは心の中で叫ぶ。


「ガッキン」


金属音とともに手錠が砕け散る。腕からは血が滲んでいるがなんとか壊すことができた。だが問題は首の拘束具だ。


「これから首のも 壊すけど 本当に大丈夫?」


「大丈夫だ」


「そう わかったよ」


ボクは首の拘束具に手を触れさっきと同じ要領でこれを破壊する。


「ありがとう 感謝する お前 名前は?」


「ボクは翼だよ」


「翼!? そうかお前は白き魔女だったのか 覚えていろ 世界商会を敵に回したことを後悔させてやるからな」


なにを思ったのか急にシルクハットの男が横で(わめ)きだした。


「俺はストゥツガルド お前の望みを一つ叶えてやる 何がいい?」


「別に特にないよ」


「そうか お前は変な人間だな ところで こいつは殺してもいいか?」


「好きにすれば」


「そ そんな そんな(ひど)いことをおっしゃらないで下さい 翼様 (わたくし)めを お助けてくださいませ〜!」


シルクハットの男が土下座して頭を地面に擦り付けている。手のひら返しが早すぎるよ。


「人を人として扱わず 生きていく希望すら奪うことはヒドいことじゃないとでもいうの? 復讐されたとしても文句は言えないよ」


「こいつらは人ではないじゃないですか」


「あなたとはボクはもう話をしたくない」


翼は擦り寄ってきた男の手を振り払った。


「だけど ストゥツガルドさん 殺すにしたって ここだと魔法は使えないと思うよ」


「問題ない」


そう言うとストゥツガルドはシルクハットの男の口に手を突っ込んだ。男はバタバタと暴れていたが急に動かなくなった。


引き抜かれたその手には赤いモノが握られていた。


「心臓だ こいつが美味いのさ」


ストゥツガルドは心臓を一呑みにすると美味しそうに口から滴る血をベロでひと舐めする。


「あなたの首からもけっこう血が出てる この建物の中だと魔法が使えないから 再生できないんじゃない? 早くここからでた方がいいよ それじゃあね」


時間をかけ過ぎた。翼は急いでエマたちと合流して出口を目指す。


「こっちです 翼様」


翼は勢いよく扉を開く。


「きゃぁぁッ 泥棒よー はやくコッチにきて〜!」


女の人が叫んでいる。どうやらここはお店の中のようだ。奴隷の店なのかしら。騒然としていて人が集まりだしている。早くでよう。


翼たちは急いで外にでた。


「テスお願い」


「はい キタ! 翼ちゃん♪」


テスタロッテは瞬時に転移魔法を展開する。こうして翼たちはシュリの救出に成功したのであった。



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