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魔法少女に転生したら〇〇されたww  作者: メろロメん
3章 白き魔女
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22話 ケモミミ少女の行方


とはいえどうやって調べればいいのかな?


ボクはシュリの行方を調べることにしたんだけど初っ端から途方に暮れた。そもそもいまだに人と話すのを尻込みしてしまう。だけどもいつまでもそんなことは言ってられない。ボクは侍女長であるロゼッタの部屋のドアを叩く。


「どうぞ」


相変わらず抑揚の効いた冷たい感じの声だ。


「失礼します」


どうもこの人は苦手だ。今でこそボクの方が立場は上だけど以前は下の立場だったわけで目の前にするとどうしても緊張してしまう。それに嘘をついて彼女を騙したという負い目をあり今まで避けていた。やっぱりボクの奴隷時代を知っている人とはあまり会いたくないな。


「翼様 今日はどうされましたか?」


「あの シュリが王宮からどこにいったのかをもし何か知っていれば噂とかでもいいので教えてもらえませんか?」


「ショリ・・・翼様とここに来た餓狼族の少女のことですか 彼女は用済みということで奴隷商に売り払ったはずです」


「・・・」


「その奴隷商の名前と連絡先は分かりますか?」


「M商会のオルマンという男です 連絡先は紙に書きましょうか」


「お願いします」


ロゼッタは紙を翼に渡す。確認すると住所だけでなく事細かに情報が書き込まれている。よくこんなことまで記憶しているもんだ。


「差し出がましいようですがお一人で訪ねるようなバカな真似はされぬように 街に出るだけでかなり目立ち余計な混乱を招くでしょうし なにより万が一の危険もございます」


バカな真似しようと思ってました。すいませんねバカで・・・


とはいえなかなか自分の自由には動けないということか。逆にいえば安全が保証されている立場と言えるんだろうけど困ったな。


今までこういうことを全部任せていたガジャが使えないとなるとかなりできることが制限されてしまう。


あの人に頼るのはやめてなくちゃいけないな。代わりになる人は誰かいないだろうか?まず思い浮かぶのはルネ導師だな。ルネ導師はボクと会うと毎回嬉しそうにしているから相談くらいは乗ってくれるだろう。


あとはエマ・アラバスターかな。あの子は仕事がなくなったって愚痴ってて可哀そうだったので友達で皇帝のアルナ・レオンハートに取り潰しになってたアラバスター家を復活させてもらうようにお願いした。そうしたらすぐアラバスター家を皇帝近衛隊に任命してくれた。アルナはなんでもボクの言うことを聞いてくれる。なんていい友達だろう。


ボクを殺したかったというアルナのお兄ちゃんのオスカー・アラバスターは皇帝近衛隊隊長としてアルナの護衛を、そしてエマにはボクの警備をしてもらうことになった。色んな人に常に見られている生活なんて極力いやだから護衛なんかいらないとはじめは断ったんだけどアルナに強く薦められてエマ一人だけという条件で受け入れることにした。確かに安全の確保はしておきたいしね。ルネ導師の時だってあのおじいちゃんに悪意があってボクを殺そうとしていたら危なかったはずだ。それにエマなら警備兵ではなく友達として仲良くなれるのではないかと思った。


だから彼女には警備だけじゃなく話し相手として一緒にいて欲しいということを伝えて朝のルネ導師との散歩にも付き合ってもらっている。


ボクは朝の散歩の途中に二人にシュリのことを相談した。


「奴隷商に近づくのは危ないのでやめたほうがいいんじゃないかのう 爺は心配じゃ」


「いや ボクは失敗したりはしないよ 何としてでもシュリを救いたいんだ 結局みんな積極的には動かないから ボクが自分でやるしかないんだ」


「お主は優しい子じゃのう」


「やっぱり獣人に対してはみんな差別意識を持ってるの?」


「ワシはそんなことないぞ 差別意識は弱き者が持つものじゃ ワシは強き者じゃからそんなもの持たんよ」


「弱き者は努力して己を高めようとはせんで さらに下の者を探し求め彼らを(さげす)むことで自分の方がまだましとくだらん溜飲を下げるのじゃ 支配者が自らの不満を(かわ)すためにそいった差別される者たちを作っているだけというのも知らずにの」


「ウチも差別とかはせえへんよ ショリって子とは実はユリウスの警備をしていた時に会っていてよく覚えてる もの凄く酷いことをされていたんだ あんなことを絶対に許しちゃいけない」


「ガジャみたいに獣人に差別意識を持っている人はどちらかといえば少数派なの?」


「うんにゃ 残念ながら多くの者は獣人に対して差別意識を持っておるよ ワシらが少数派じゃな 人間同士なら差別しちゃならん 奴隷にしちゃならん というのは多くの賛同を得ることができるのじゃが こと獣人となるとむずかしいのう 聖法教の法典にも人でないものには何をしてもかまわない と記されておるじゃろ」


「え そんな物騒なことが書いてあるの?」


「慈愛の心を持ち全ての人間を分け隔てなく愛しなさい と書いてあるその一方でね」


「そうじゃの 魔族や獣人は神が創りしものではなくその存在自体が悪だとされておるでのう 神によって創られていないものはたとえ殺したとしても神の名において許されるとされておるのじゃ」


「なにそれおかしいよ ボクは神さまからそんな事は言われていない」


ボクは少し嘘をついた。正確に言えば神さまには何も指示を受けていない。神さまが何を考えているのかはボクには分からない。この世界には不干渉な気はするのだがそれならばなぜボクに力と武器を授けたのであろうか。


「であるならば 聖法教の法典が間違っておるのじゃろう」


そうだ。ボクは神の使徒と思われているわけだからボクの言葉が神の言葉になるはずだ。


「じゃあ ボクが神の使徒としてみんなにそれは事実ではないと伝えれば問題は解決するのかな?」


「うむ 正直なところを言わせてもらうと すぐには難しいじゃろうな 何百年にもわたり信じられてきたことであるし お主を神の使徒だと認めない者がまだ多い状況の中でそれを伝えるのはちと早計じゃよ」


「うーん 納得できない」


「気持ちはわかるんじゃが 今はまだ我慢すべき時だと 爺は思うの」


「じゃあ やっぱり ボクが一人で助けるしかないということか・・・」


「なにを言ってるのさ ウチも協力するよ いやさせてほしい あの時は勇気がなくて見ているだけだったけど今度こそは助けたいんだ」


エマはいつになく真剣な表情だ。


「ワシの事も忘れてもらっては困るな お主はワシの孫のようなもの 頼ってくれていいのじゃよ」


そういってルネ導師はニヤリと笑うのであった。



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