20話 修行 その4
剣術も習いたかったのでガジャに誰かいい人がいないかを聞いてみた。するとエマ・アラバスターという女の子を勧められた。なんでも剣の達人で神童と言われているらしい。それに歳も近く性別が同じだから体格も似ているのでいいのではないかとのことだ。確かにオッサンに教わるより女の子に教わった方がいい。その真理に気づいたボクはエマに剣を教えてもらうことにした。
待ち合わせ場所はルネ導師と同じく王宮の庭園である。ボクは朝食を食べて再び庭園に向かった。
約束の場所に行くと紅い髪をした女の子が立っていた。多分あれがエマだろう。
ボクは相変わらずの人見知りで声をかけるのを躊躇してしまう。でも勇気を出して声をかけよう。大袈裟かな。別にいいじゃない。大袈裟でも。うん。
「はじめまして翼です よろしくお願いします」
「ウチはエマ・アラバスターと言います つーか はじめてじゃないって 忘れちゃった?」
「え?あ すいません どこかで会いましたっけ?」
「グラム様を翼様が殺した時に会ったやん」
「?!」
皇帝グラムと戦ったあの塔の上にいたということか?もしかしたら恨みを持っていたりするのかな?ボクはエマに警戒感を抱く。
「翼様はあの時 本当にカッコ良かったで」
「あ ありがとうございます」
とリまボクに対して好印象のようで一安心する。ただこの子もちょっと変な子かもしれない。
「でもそれで ウチの家 仕事無くなっちゃったけどね 今はみんなで職探ししとるよ」
「えと それはどういうこと?」
「ウチの家は皇族の護衛をやっていたんだけど 翼様がユリウス様とグラム様を殺しちゃたのでお役目御免で取り潰しになったんよ」
「えええぇ!?それはなんか・・・ごめんなさい」
「いいって いいって ぶっちゃけるとウチはユリウス様が嫌いだったし 小さい女の子に手をだしてマジでキモかったから翼様が殺してくれてスッキリしたわ」
「とはいえ ウチのお兄ちゃんは翼様のことを絶対に殺すって言ってたけどね」
「え・・・本当に?」
「ユリウス様を翼様は殺しちゃたから ウチらはちゃんと仕事してなかったってかなり糾弾されて お兄ちゃんは翼様を殺して 自分も死ぬって言ってたんよ」
「でも結局 翼様がグラム様を殺して救世主だとわかった途端 自分が死ぬ必要がなくなったって喜んでた 自分の意志を突き通さないなんてウチのお兄ちゃんにマジで失望したわ」
その理屈だとそのお兄ちゃんが自分の意志を貫きとおしてボクを殺せば良かったということにならないかな・・・あまり深く考えないようにしよう。
「えと それでさ そろそろ剣術を教えてもらいのだけども あと翼様と呼ばれるのはなんか恥ずかしいので止めてもらえないかな?」
「OK じゃあ 翼ちゃでよい?」
「うん それでお願い」
「剣術の話しだけど 翼ちゃはなんで剣術を覚えようとおもったん グラム様とは魔法で戦ってたでしょう?」
「たしかにそうなんだけど 魔法で戦うにしても身体能力がないと相手のスピードについていけないかなって思ったんだよ」
「なるる たしかに翼ちゃは身体能力は低くかったわ そんなら とりあえず走ったらいいんじゃない あとは剣の素振りとかいいかも」
「それで強くなれるかな 直接 相手をしてくれたり技を教えて貰えるの嬉しいのだけど?」
走って素振りって学校の部活と変わらないじゃん。
「いや 翼ちゃはそのレベルじゃないよ ヘタにやったら怪我をさせちゃうし」
そうなんだろうけどハッキリ言われると少しショックだ。
「ふふふ 翼ちゃ 強い人と弱い人の違いを教えてしんぜよう 弱い人はそんなんじゃ強くなれないでしょうと言ってやらないんだな そこが分かれ目なんよ とりあえず 騙されたと思ってやってみ 絶対強くなれるから ウチを信じて 」
そう言ってエマは翼の手を握りじっと目を覗き込んだ。
「う うん わかった 信じるよ」
目を見られて照れてしまってなんかついつい返事をしてしまった。散歩してそのあとはランニングと素振りをするのか・・・なんかボクがイメージしていた修行とどんどんかけ離れていっている気がする。でもとりまやってみるしかないか。うん。
体調を崩してしまい暫く更新できていませんでした。すいませんでした。明日からまたできるだけ毎日更新していきたいと思ってます。よろしくお願いしますm(*_ _)m




